横浜流星主演で、数多くの浮世絵や小説を世に送り出したメディア王・蔦屋重三郎の、波乱万丈の生涯を描く大河ドラマ『べらぼう～蔦重栄華乃夢噺～』（ＮＨＫ）。 １１月３０日の第４６回「曽我祭の変」では、ついに東洲斎写楽の作品が発売された興奮を、あっという間に上書きされる事件が勃発。とても次々回で最終回とは思えない怒涛の展開に、視聴者は翻弄された。

■ 『曽我祭』に一橋治済が現る…第４６回あらすじ

一橋治済（生田斗真）の元で暗躍していた、現将軍・徳川家斉（城桧吏）の乳母・大崎（映美くらら）は、彼女の正体を知った松平定信（井上祐貴）に脅されて、間者として治済の元に戻っていた。

大崎は治済に、平賀源内（安田顕）が描いたとされる戯作本を差し出し、さらに三浦庄司（原田泰造）がそれらしき男を元浄瑠璃小屋に匿っていると報告。源内の顔を知っている治済に、『曽我祭』にまぎれてその目で確かめてほしいと申し出る。

市中に出てきて、源内が描いたと噂される東洲斎写楽の絵を購入した治済だが、問題の戯作本の筆跡から、それが定信の手によるものと気づいていた。治済は祭のどさくさで関係者に毒まんじゅうを配り、大崎や定信の家臣たちの殺害に成功。

重三郎もそのまんじゅうを食べかけたが、長谷川平蔵（中村隼人）に阻止された。重三郎は自分たちを危険にさらした定信に抗議しようとするが、そこで治済の顔をした謎の男に遭遇する･･･。

■ 「このべらぼうが！」歌麿が本音の説教

蔦屋に関わった絵師や戯作者たちが大集合し、平賀源内が描きそうな役者絵を作り上げて、それを「写楽」という画号で売り出す、プロジェクトＸならぬ「プロジェクト写楽」の始まりが描かれた前回。

前代未聞のプロジェクトは、誰もがはっきりしたイメージを持てなかったため、温厚なチームリーダーがキレるほど難航した･･･と、田口トモロヲの声が聞こえてきそうな状況となっていたけど、重三郎の妻・てい（橋本愛）が歌麿の召喚に成功した！

歌麿が重三郎に、早速「好かれたくて、役立ちたくて、てめえを投げ出すやつがいんだよ！ このべらぼうが！」と、ていさんの内助の功を称えながらも説教をする場面では、

ＳＮＳは目ざとく「おていさんを主語にしているけど９割自分の長年の本音で草」「蔦重の鈍感さに歌麿がカツをいれるとは思ってもいなかった。よく言った、歌麿」「これは事実上の歌麿から蔦重への告白」「まじこのカップルだけは離ればなれにならなくてよかった」と、ようやく歌麿が胸の内を明かせたことと、再タッグの実現に喜びの声が上がった。

■ 東洲斎写楽、誕生！前世並みの「グニャ富」も

多くの絵師の技と戯作者たちの知恵が注ぎ込まれて、私たちが良く知る写楽の絵が完成！ そこに今回のパトロンの定信が「東洲斎」の名字をリクエストして、ここにめでたく「東洲斎写楽」が爆誕した。

越中守がまさかの名付け親となったことに「東洲斎を決めたのオタク定信なの笑う」「写楽は江戸の絵師。上方の方が最近は良い物作るって言われてピキってた頃の定信くんだ！」「東洲斎の名付け親となることで日本美術史に密かに爪痕残す定信」と、定信の役得ぶりにニマニマするようなコメントが見られた。

やがて、芝居町に蔦屋のポップアップストアが登場し、写楽の２８作品が華やかに売り出された。しかし、ここで役者・中山富三郎（坂口涼太郎）が、できあがった絵にクレームを入れるという騒動が。

炎上商法を狙った重三郎の仕込みか？ と思われたけど、あとで治済が持っていた自分の絵を取り上げて、クシャクシャにするという描写があったので、マジで気に入らなかったよう。というか富三郎を演じたクセメン俳優・坂口が、あまりにも写楽の描いた富三郎にそっくりで笑ってしまった。

ＳＮＳでも「もうグニャ富まんまじゃんか！」「あまりに似すぎてＣＧかと思った」「ＮＨＫは大人役に似た子役連れて来るのも上手だけど、浮世絵に似た役者連れて来るのも上手いんかい」「もう素晴らしい生き写しっぷりで驚きました。もしかして前世！？」などと騒然となり、

坂口本人もＸ（Ｔｗｉｔｔｅｒ）で「ご先祖さまなのかしらん。メイクさんが浮世絵を研究して私をグニャ富さまのお顔にしてくれたのよん」と、そっくりぶりを認めていた。

■ 暗殺計画バレる…「饅頭テロ」で返り討ちに

定信君の計画通り、源内生存の噂を聞きつけた治済がお忍びで芝居町を訪れた。あとは定信のスパイとなった大崎が元浄瑠璃小屋に案内し、そこで暗殺する手はずだったが、治済はその計画をまるっとお見通しだった！

バレたきっかけとなったのは、源内作を装った戯作の文字が、定信君の文字だったこと。定信の公式文書なんか全部流し読みしてたかと思いきや、キチンと筆跡をチェックしてたとはさすがラスボス、隙がない。

このまさかの計画頓挫に、ＳＮＳは「筆跡？ えーっ気付かなかった！」「筆跡鑑定スキル高ぇなオイィイイイ！！」「定信くん！ どうして筆跡変えるとか代筆するとかしなかったの！」「自筆原稿をそのまんま出しちゃダメじゃん･･･」「もおおう詰めが甘いから定信坊ちゃんはー！！！！」「定信は敢えて自筆を渡したのか？ うっかりではなく罠であって欲しい」と、ふんどしの守様のうっかりさを糾弾する声が一斉に上がった。

そして、関係者の一網打尽を狙う治済は、曽我祭のご祝儀のまんじゅう配布に便乗して、みんなに毒まんじゅうを食わせるという静かなテロを決行。これで大崎だけでなく、定信の配下も犠牲になる。

さらにみんなが大好きな長谷川鬼平が止めなかったら、重三郎まで危うくあの世行きになるところだった。しかし、次回予告を見ると、手代のみの吉（中川翼）は口にしてしまったようで･･･。

まさかのまんじゅうが引き起こした悲劇に、ＳＮＳも「ガチの『まんじゅうこわい』を見た」「毒饅頭によるピンポイント爆撃とか物騒この上ない」「とんでもねぇ超絶返り討ち」「やはりラスボス一橋治済一枚も二枚も上手すぎるんだが」「向こうの諜報能力おかしいでしょ･･･こっちには鬼平がおるんやぞ･･･？？」「この大河いつからミステリーになったの？ ラスボスが怖すぎるよ」と、超人的な強敵ぶりに改めて震え上がる人が続出した。

■ 誰！？生田斗真似「謎の人物」に勝ち筋？

もうこんなん、ピッコロ大魔王とか白面の者とか鬼舞辻無惨とかばりに、倒すの無理ゲーじゃん･･･と思われた治済。さらに重三郎までターゲットになったことも判明し、まさか重三郎が割と早死なの、治済が絡むの？ などと絶望したところに、ひょっこりと現れたのが一橋治済！

･･･と思いきや、先程までと装いも違うし表情もオドオドしてるので、瓜二つの他人とか生き別れの双子だろうか。なんで最終回直前で、まだこんな飛び切りの謎を投下するのか森下佳子！ 好き！

ＳＮＳも「つづきはよ！！ というかちょっとおとなしそうな治済、誰だ！？」「がちで悲鳴あげたわ。最高に面白い」「一年通して謎やミステリ要素は結構あったけど、ここに来てものすごい謎来ちゃったよ！」「生田斗真の美貌がこの世に２つあるとかありえないのでたぶん一橋様が改心したンダトオモウヨ（混乱）」「立派な鼻の侍さんのちょっときょどってる感じ。斗真さんいいよいいよ！」「あと２話でどうにかなるんですか？？ この巨悪が？？？」と、来週が待ち切れないというような声が止まらなかった。

今回は前半で、東洲斎写楽がついに世の中に出たという最高に盛り上がる展開があったにも関わらず、一橋治済の毒まんじゅうテロにすべてをかっさらわれて、こんなどよーんとした気分で月曜日を迎えねばならぬのか･･･と思っていた。

しかし、あの最後に出てきた生田斗真（まだ正体がわかんないから中の人の名前で呼んでおく）の存在が、もしかしたらまだラスボス成敗の道筋があるのか？ とかすかな希望を持たせてくれた。

オセロの４角中３角を治済に取られて盤面が真っ黒になったような状況から、重三郎と定信のデコボココンビが、黄表紙のようにあざやかな「正義は勝つ！」なストーリーを実現してくれたら･･･。

予告編からはその気配はほとんど感じられなかったけれど、本編では見事な「そうきたか！」を、２人が見せてくれることをひたすら願おう。

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大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』はＮＨＫ総合で毎週日曜・夜８時から、ＮＨＫＢＳは夕方６時から、ＢＳＰ４Ｋでは昼１２時１５分からスタート。１２月７日の第４７回「饅頭（まんじゅう）こわい」では、重三郎が出した驚きの策により、一橋治済の仇討ち計画が、将軍・家斉も巻き込んで再開されるところが描かれる。

文／吉永美和子