万博イタリア館の彫刻を見た医師、感動した理由にSNS驚き

26分前

重い天空を支える腕にはたくさんの血管が浮き出ていますが、全部正しいに感動(提供:シャントの医ンフルエンサーさん)

(写真4枚)

10月に閉幕した『関西・大阪万博』(大阪市港区)で、国宝級の芸術作品を次々と投入して人気を集めたイタリアパビリオン。2026年1月12日までは「大阪市市立美術館」で(大阪市天王寺区)展示されている『ファルネーゼのアトラス』について、万博会場で鑑賞した医師ならではの視点で感動したことをXに投稿したところ、19万以上の「いいね」がつく大反響となりました。

「万博イタリア館で、ファルネーゼのアトラスを見たんですが、血管がリアルに表現されてるのに感動してたら、家族に冷たいまなざしで見られました。

でも、凄くないですか?
大理石彫刻でこのレベルで血管を表現するんですよ!
しかも解剖学的にも正しい位置を走行してるんですよ!

マジで感動してました」

こうポストしたのは、「シャントの医ンフルエンサー」(@KotaroSuemitsu)さんです。投稿主さんは、透析治療のために主に動脈と静脈をつなげる手術をおこなう医師で、言うなれば血管の専門医。そんな投稿主さんが感動するほど、天空を支えるアトラスの体の正しい位置に、血管が浮き出ていることが表現されているというのです。

拡大された腕の画像を見てみると、重い天空を支える腕にはたくさんの血管が走っています。「お医者さんが見ると、感動の場所も増えそうです。勉強になります」「それ、分かります。注射のしやすそうな血管ですね」「あらためて持ってる写真見直しましたが、確かに凄いです!」と感動したというコメントが寄せられています。

国宝級の展示のなかでも、注目度が高い『ファルネーゼのアトラス』(提供:シャントの医ンフルエンサーさん)
国宝級の展示のなかでも、注目度が高い『ファルネーゼのアトラス』(提供:シャントの医ンフルエンサーさん)

『ファルネーゼのアトラス』は、西暦2世紀に制作された作品で、天空を肩で支えるギリシャ神話の巨人神「アトラス」が表現されています。この彫刻を1562年にアレッサンドロ・ファルネーゼ氏が取得したあと、現在はナポリ国立考古学博物館に展示されています。大理石で、高さは191センチ、重さは約2トンあります。

血管の専門医に話を聞いた「シャントの医ンフルエンサー」さんにお話を聞きました。

──かなりの数の血管が表現されていますが、全部正しい位置なのですか?

「腕の写真は別にも撮ってますが、見た限り腕はすべて完璧だったように感じます」

──すごいですね!! ほかのアートと比べて、ダントツの凄さだったのでしょうか。

「仕事ばかりのでアートなど全然興味もなく、知識もないのですが、だれが見てもわかる彫刻の技術、そして正確な解剖学の知識に感動しました。もちろんほかの展示品もすごいのですが、アトラスが完全に圧倒していました」

反対側の腕の血管も完璧です(提供:シャントの医ンフルエンサーさん)
反対側の腕の血管も完璧です(提供:シャントの医ンフルエンサーさん)

──絵画でも血管の位置が気になったりしそうですね。ほかにも医師ゆえに気になることはありますか?

「私の仕事は、透析のシャントといって腕の動脈と静脈を手術でつなげることなので仕事中はずっと血管を見ているため、他人の腕の血管は見てしまいます。いい血管の人を見つけると少しテンション上がります」

──太くて弾力がある健康そうな血管ということでしょうか。家族に冷たい目で見られるほど、『ファルネーゼのアトラス』に見入っていたのですか?

「石でできているとは思えなるくらいリアルすぎる血管と、それが正しい位置に走行しているのに興奮して写真を撮りまくっているのを見た嫁に「職業病発症してるで!」ってツッコまれました」

大理石の彫刻です(提供:シャントの医ンフルエンサーさん)
大理石の彫刻です(提供:シャントの医ンフルエンサーさん)

シャントの医ンフルエンサーさんが、医師目線でも感動した『ファルネーゼのアトラス』は、大阪市立美術館で開催中の特別展『天空のアトラス イタリア館の至宝』にて見ることができます。会期は、2026年1月12日(月・祝)まで。前売りチケットは完売していますが、当日券の販売については、特別展『天空のアトラス イタリア館の至宝』公式アカウントにて確認を。

取材・文/太田 浩子

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