映画『国宝』がロングヒット!盛り上がる歌舞伎…新春特別公演は「世代交代」を意識?

2時間前

『壽 初春歌舞伎特別公演』の概要発表会見より(11月10日 Lmaga.jp撮影)

(写真5枚)

歌舞伎の女形をテーマとし、2025年最大のヒット作となった映画『国宝』。歌舞伎指導を行った歌舞伎俳優・4代目中村鴈治郎と、その息子で所作を指導した中村壱太郎(かずたろう)が、1月に「大阪松竹座」(大阪市中央区)でおこなわれる『壽 初春歌舞伎特別公演』に出演。『国宝』絡みの演目に加えて、人間味あふれる上方歌舞伎の魅力を味わえる作品がそろった公演だ。

■ 『つまんない』と思われたら最後(壱太郎)

中村壱太郎(11月10日 Lmaga.jp撮影)

大阪府と大阪市が共同で立ち上げた「大阪国際文化芸術プロジェクト」の一環で、2024年から開催されている上方歌舞伎の俳優中心の歌舞伎公演。上演されるのは「THE歌舞伎」というほど、スタンダードな古典歌舞伎の名作ぞろいだ。なかでも注目されるのは、『国宝』にも登場した『京鹿子娘道成寺』(映画では舞手を2人にアレンジした「二人道成寺」を上演)だろう。

主役の白拍子花子を演じる壱太郎は、「『国宝』で興味を持ったお客様が観て『つまんない』と思われたら最後。『美しい、きれいだな、素敵だな』と思っているうちに、パッと終わる『道成寺』にできればと思います」と並々ならぬ決意を語るとともに、初めてこの役を大きな舞台で踊ったときの、こんなエピソードも披露。

「ちょうど演じさせていただいたのが、2024年1月の(東京の)歌舞伎座でしたけど、偶然にも『国宝』の撮影期間でございまして。そのときに、吉沢亮君と横浜流星君も観に来てくれていました」と明かし「映画が終わっても、2人が観に来たいと思えるような『道成寺』にしたいと思っています」と意欲を見せた。

片岡愛之助(11月10日 Lmaga.jp撮影)

また『国宝』に関しては、会見に同席していた片岡愛之助も「『国宝』で初めて(歌舞伎公演に)来るお客様も多いというお声もいただいておりますし、映画を観て『いいな』と思っていただいた方は、ぜひ歌舞伎ど真ん中の演目がたくさんあるこの公演に来ていただければ」と誘いの言葉を。鴈治郎は「正月の興行として、大変めでたく終われるのでは」と、さらに期待をもたせる言葉を投げかけていた。

中村鴈治郎(11月10日 Lmaga.jp撮影)
中村鴈治郎(11月10日 Lmaga.jp撮影)

■ 「世代交代」を意識、若手の俳優を抜擢した演目も

『壽 初春歌舞伎特別公演』の概要発表会見の様子

また今回の興行は「世代交代」を意識しているということで、通常の歌舞伎公演よりも若手の俳優を抜擢した演目が多い。なかでも『菅原伝授手習鑑 車引』は、メインの3兄弟が20~30代の俳優のみという、大きな興行ではなかなか見られないものだ。実はこの演目も「『国宝』で喜久雄たちが、小さい頃に河原で稽古しているときに出てきています」と、梅王丸を演じる中村歌之助が明かしてくれた。

このラインアップに加えて、来年5月の閉館が決まった大阪松竹座の、贅を尽くした内外装をじっくりと楽しめる、今となっては貴重な機会となる公演。ぜひ2026年の始まりを、この舞台で寿いでほしい。ほかに片岡孝太郎、市川中車、中村種之助、市川猿弥などが出演する。

公演期間は1月7日~25日(16日休演)で、昼の部は『菅原伝授手習鑑 車引』『祇園祭礼信仰記 金閣寺』『らくだ』、夜の部は『女鳴神 龍王ヶ峰岩屋の場』『仮名手本忠臣蔵 祇園一力茶屋の場』『京鹿子娘道成寺』を上演。出演者は演目によって異なるので、事前に確認を。チケットは一等席1万6000円、二等席は9000円、三等席は5000円で、11月16日から発売開始。

文/吉永美和子

  • LINE

関連記事関連記事

あなたにオススメあなたにオススメ

コラボPR

合わせて読みたい合わせて読みたい

人気記事ランキング人気記事ランキング

写真ランキング

関連記事関連記事

コラム

ピックアップ

エルマガジン社の本