SNSで認知拡大!? 大阪の新星・天ロクの丘「俺らもやっと始まった」…漫才師としての思い

2時間前

お笑いコンビ・天ロクの丘(左から奥野賢一、馬田バジリスク Lmaga.jp撮影)

(写真7枚)

『第15回ytv漫才新人賞決定戦』進出をかけた「ROUND2」(11月16日放送)に出場し、惜しくも敗退したものの、今後を期待させる漫才を披露したお笑いコンビ・天ロクの丘(奥野賢一、馬田バジリスク)。ちなみに、2人の漫才を見て「この芸人、知ってる」とピンときた視聴者も多かったのではないか。

それもそのはず、馬田はTikTokやInstagramで人気を集める「インフルエンサー」の一面も持っている。活動拠点の「よしもと漫才劇場」(大阪市中央区)にも、馬田の動画をきっかけにコンビの漫才を見に来る「天ロクファン」が多いとか…。今回はそんな気になる2人に話を訊いた。(取材・文/田辺ユウキ)

■ 始めた頃には、すでに「SNSの人」でした(奥野)

──2024年5月結成とあって、コンビとしての認知度はまだまだこれから…と思いますが、ただ馬田さんはTikTokのフォロワー数約27.8万、Instagramは3.2万人の人気インフルエンサーで知られていますね。

お笑いコンビ・天ロクの丘(奥野賢一、馬田バジリスク)
「こんなインタビュー初めてなんで…」と緊張の面持ちの天ロクの丘(左から馬田バジリスク、奥野賢一 Lmaga.jp撮影)

馬田:前のコンビではお互いにネタを持ち寄る形でやっていたんですけど、僕が「いいな」と思ったことがほとんどネタにならなくて。そのコンビが解散したあと、「なにかやっておきたいな」と思って、それまで考えていたことを動画投稿するようになったんです。どれも舞台でやるほどではなくて、「これって伝わるかな?」と試すようなものばかり。でもそれが、再生数やいいねが伸びるようになりました。

奥野:天ロクを始めたくらいからすでに「SNSの人」でしたね。「TikTok、やり始めてん」と言っていて、そのときは「また変なことをやってるな」くらいに思っていたら、ちょっとずつ知られるようになっていきました。だから僕からしたら、隣にいるやつがSNSで伸びているというより、伸びているやつとたまたまコンビを組んでいる感覚です。

天ロクの丘・馬田バジリスク(Lmaga.jp撮影)

馬田:舞台だったら、考えたことをちゃんと笑いにできるように仕上げなアカンけど、TikTokはちょっと違って、「なんでやねん」がなくても見ている人に伝わるんです。ウケたかどうかも、いいねの数が自分の基準になっています。個人的には1万いいねを越えたら「ウケた」という感覚ですね。

──TikTokで馬田さんを見て、劇場へ足を運ぶ方も多そうですね。

馬田:「そうなったらいいな」と思ってやっているところもあります。僕らの今のお客さんのほとんどは、TikTokから入った方かも。だからみなさん、TikTokでやっているようなネタを期待して見にきてくださいます。そうしたら隣の青い服(奥野)ばっかり喋っているから、「全然違うやん!」って(笑)。

奥野:申し訳ない気持ちいっぱいです(笑)。僕らが出てきたら「馬田さーん!」みたいな雰囲気になるんですけど、ネタをやっていくうちに表情が変わっていくのは何度も見ていて。でも、僕からしたら「TikTokの馬田みたいな感じのネタは絶対にやりませんからね」と思っています。「絶対にそれで笑わせへんぞ」って。そこは僕の漫才師としての意地かもしれません。

──そもそもコンビを組むきっかけはなんだったんですか。

天ロクの丘・奥野賢一(Lmaga.jp撮影)

奥野:前のコンビが解散したタイミングで同期とご飯へ行ったとき、その同期が馬田を呼んで。馬田は同じNSC43期だったけど、あまり印象になかったんです。でも実際に会ってみたら、食事中にお箸の先端の食べる部分が机に触れないようにはみ出させたり、食べた手羽先の骨を箸置き代わりにしたり…。気持ち悪っ!って思ったんですけど、でもなんかおもろいなってなって。

馬田:そんな不思議なことかな? 手羽先って形が箸置きみたいじゃない?

奥野:いや、お前のそういう理屈が分かるから余計にキモいというか。僕は、理屈が分からんキモさが苦手なんです。でも馬田の場合は、分かるキモさだったんです。

馬田:でもその後「正式なコンビではなく、まずユニットからやろうか」と改めて会って軽く話すつもりだったはずが、奥野は当然のようにネタ合わせをやり始めて止められなくなったんです。僕からしたら勝手に契約の話が進んでいったみたいな感じ。いつの間にか本契約をさせられていました。

──コンビ名の由来は平安時代の元号「天禄」がモチーフだそうですね。

馬田:奥野が「平成ノブシコブシさんとか、令和ロマンさんとか、元号が付いたコンビ名ってかっこいい」ってなったんやんな? あと「丘」も、奥野は丘が好きなんです。

奥野:お前、具体的に名前出すなって。恥ずかしいやろ。「あ、そこに憧れていたんですね」ってなるやんか…。あと丘好きってなんやねん。丘は好きでも、嫌いでもないって。単純に元号が付いたコンビ名にしたかったのと、好きなゲームのフィールドの名前に「何々の丘」って付いてたんで、それをくっ付けただけです。もともと30個くらい候補があったなかから、「SNSの人」の馬田が「これ、バズりそう」と選んだのが天ロクの丘でした。

■ 同期の例えば炎は「一度、完全に見上げた」(馬田)

──そんなお2人ですが、『ytv漫才新人賞決定戦』進出をかけた「ROUND2」(11月16日開催)に初出場されました。突破はなりませんでしたが、関西の賞レース路線にようやく乗ることができたましたね。

お笑いコンビ・天ロクの丘(奥野賢一、馬田バジリスク)
インタビュー中の天ロクの丘(左から馬田バジリスク、奥野賢一 Lmaga.jp撮影)

奥野:常に賞レースで戦っている人たちの視界に少しだけ入ることができたかな、という気持ちはあります。でもNSCの同期だった例えば炎、マーティーは『ytv』の「ROUND」にもよく出ていますし、以前まで一緒に走っていたつもりが、いつの間にか「こいつら、ペースが上がってるぞ」と。僕らは2025年の『M-1』は3回戦敗退でしたが、彼らはしっかり突破していますし。

馬田:例えば炎は一度、完全に見上げた時期があったんです。「あ、こんなに上へ行くんや」って。でも『ytv』に初めて挑戦させていただいて、「俺らもやっと始まったぞ」という気持ちです。今のコンビになって、初めて「ほんまにウケるってこういうことなんや」と思えたので。

奥野:僕もこれまで組んでいたコンビでは自分が主導権を握ってネタを作っていましたが、馬田は「もっとこうせえへんとウケへんけどな」とはっきり言ってくるんです。で、実際にそうだなと思うことも多くて。変なやつですけど芯があるから、なんでもきっちりやりたいタイプの僕とはいい感じでバランスがとれるんです。

お笑いコンビ・天ロクの丘(左から奥野賢一、馬田バジリスク Lmaga.jp撮影)

馬田:ネタ作りに関しては基本、奥野。「2人で一緒に、奥野が考える」みたいな感じ。2人でいるときに作るんですけど、なにも喋らず3時間くらい経つんです。奥野が一体なにをしているのか、分からん時間がほとんど。とりあえず「集中しているから邪魔はせんとこう」と。

奥野:でも僕がネタを考えているとき、馬田の方からTikTokを見ている音が聞こえてくるんです。「勉強やから」と言うんですけど、絶対に「おすすめのスニーカー」とか見てるんですよね。お笑いの動画やったら分かるけど、「おすすめのスニーカー」は遊びのフェーズやん!って(笑)。

馬田:いやいや、そういう動画にネタが転がってるねんって。バレへんように見てたつもりやってんけどな。

お笑いコンビ・天ロクの丘(左から奥野賢一、馬田バジリスク Lmaga.jp撮影)

──今後はどんなコンビを目指していきたいですか?

馬田:僕がずっとSNSをやり続けられるようなコンビの状況でいたいです。僕のTikTokやインスタの更新が途絶えたときは、どちらかが苦しんでいるとき。僕が安心して毎日投稿ができている間は、コンビの活動はちゃんとできていると思ってください。

奥野:実際に馬田が毎日投稿とかで頑張ってくれているので、僕は漫才のネタ作りを絶対にサボったらアカンなって。そうやってまずお互いに個人を磨いてそれをネタに落とし込みながら、賞レースで勝ちに行く漫才をやっていきたいです。「僕らの漫才、ハマる人いるでしょ?」ではなく、もっと貪欲にいこうと思います。

2人の出演する『ytv漫才新人賞 ROUND2』はTVerで見逃し配信中。『ytv漫才新人賞決定戦』は2026年春に放送予定。

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