審査員もお手上げ……お笑いコンビ・オニイチャン、漫才は本心でブチギレる!?

2時間前

お笑いコンビ・オニイチャン(左から府上ふが、こんちゃん Lmaga.jp撮影)

(写真6枚)

『キングオブコント2025』で準決勝まで勝ち進むなど、勢いが出てきたお笑いコンビ・オニイチャン。関西若手漫才師の登竜門『ytv漫才新人賞決定戦』進出を賭けた『ROUND1』(9月放送)では最下位11位となったが、続く『ROUND2』(11月16日放送)では5位にランクインと、こちらでも爆発の予兆を見せている。

ボケのこんちゃんが「葉加瀬太郎博士になりたい」と意味不明な野望をぶちまけ、府上ふががブチギレなからツッコミをいれる漫才は強烈なインパクトを残し、審査員の文田大介(囲碁将棋)も「点の付け方が分からない」と驚愕。今回はそんな気になるコンビのオニイチャンに話を訊いた。(取材・文/田辺ユウキ)

■ 「本気の口喧嘩を見てもらいたい」(府上)

お笑いコンビ・オニイチャン(左から府上ふが、こんちゃん Lmaga.jp撮影)
お笑いコンビ・オニイチャン(左から府上ふが、こんちゃん Lmaga.jp撮影)

──『ROUND2』は5位でしたが、審査員の文田さんからは「点の付け方が分からない」「一番笑った」と賞賛がありました。

こんちゃん:囲碁将棋さんと僕らとでは漫才のジャンルが違いすぎて、ご自身たちではやっていないスタイルだからこそ逆に褒めていただけた気がします。

府上:でも、だからこそ文田さんのなかで最後にロジックじみたところがちょっと見えて、それが「冷めた」という意見に繋がったのかなって。僕らは普段から今日の漫才みたいな感じで喋っていて、ラジオ番組『言うことなんて、全然聞いてあげないんだからねっ!』(stand.fm)でもしょうもないことでキレ合っていますし。

お笑いコンビ・オニイチャンの府上ふが(Lmaga.jp撮影)
お笑いコンビ・オニイチャンの府上ふが(Lmaga.jp撮影)

こんちゃん:いつも僕の細かいミスや小さな火種を府上が広げて、徐々に加熱していくんですけど、その普段の感じを漫才に落とし込んでいるから、確かにロジックはほとんどないんですよね。

府上:僕らはコントをメインに活動しているので、漫才メインの人たちには技術、経験では劣ってしまいます。だから漫才のなかでコントの設定に入ったりするより、いつも通りの自分たちの会話をそのまま出そうって。嘘なしでやった方が自分たちの性に合っているんです。

──そういう意味も含め、文田さんは「結局、台本があるのか」と感じて「冷めちゃった」と。

府上:漫才として人にお見せできるものにするための台本はもちろんありますが、それでも漫才中、僕はこいつ(こんちゃん)の言動に本当に腹が立っているんです。だから本気の口喧嘩を見てもらいたい。言葉が被って、結果的になにを言っているか多少聞きづらくなってもいい、というくらいの意識なんです。アドリブに思われることを目指しているから、「冷めちゃった」は相当悔しいです。

こんちゃん:ほかの人から見たら「どうでもええわ」ということを、本気で揉めているのがおもしろいんじゃないかと思っています。それをやろうとしている、という点では確かに演技も入っているかもしれません。でもコント的な要素を入れている感覚はなく、漫才でお見せしている姿は「本当の僕ら」なんです。

お笑いコンビ・オニイチャンのこんちゃん(Lmaga.jp撮影)
お笑いコンビ・オニイチャンのこんちゃん(Lmaga.jp撮影)

府上:あと、漫才は自分の素を出せるせっかくの機会。だから、いつもコントでやっているネタを漫才に変えるのではなく、漫才専用のネタを作っています。特に府上個人としては「声を張り上げたい」という欲望があって。マインドだけはサンボマスターさんなんです。漫才のなかで魂を出したい。コントでは架空のキャラクターに代弁してもらっているけど、漫才は僕の叫びです。

こんちゃん:そういう意味では豪快キャプテンさんをちょっと意識するというか、「めっちゃおもろいな」って。みんな劇場で、ギャンゴリさん(山下ギャンブルゴリラ)がブチギレるところを楽しみに待っているじゃないですか?

府上:ギャンゴリさんはネタのなかで理不尽にブチギレるところがめっちゃおもしろいですよね。逆に僕らって、実生活でも相方がヤバいから、それに対して筋を通してブチギレているというか。こいつは普段から「葉加瀬太郎博士になりたい」みたいなことを言うんで。

──「こいつはなにを言ってんねん」となりますね。

こんちゃん:自分でも変なことを言っている自覚はあるんですけど、他人に指摘されたくなんです。特に府上には指摘されたくないし、それを認めたくもない。

府上:でもこいつのヤバさで言えば、いつもかばんのなかにマイボトルを8本くらい入れているんです。で、その全部に劇場のウォーターサーバーの水を入れていく。みんなから「水泥棒」って言われていますから(笑)。

■ 「大爆発させて、人気者になりたいです!」(こんちゃん)

──あと余談ですけど、府上さんは現在も大阪で実家暮らしをされているんですよね。それなのに、ネタとは言え「実家暮らしで余裕があるはずなのに、なんであんなにブチギレることがあるんだろう」と思います。

府上:なんでですか! 実家暮らしで不自由なく暮らしてなにが悪いんですか!!なんなら僕はバイトもしていないですから。でも裕福には裕福なりに苦労と闇があるんですよ!!!!

お笑いコンビ・オニイチャン(左から府上ふが、こんちゃん Lmaga.jp撮影)
お笑いコンビ・オニイチャン(左から府上ふが、こんちゃん Lmaga.jp撮影)

こんちゃん:三遊間のさくらいさんもついに実家暮らしを卒業されましたし、若手芸人の実家暮らし人口が年々減少するなか、府上は頑なにそれを守っていますからね。きっと府上は、先を見据えての実家暮らしなんだと思います。「いつか重宝される日が来るだろう」と。

府上:なにに重宝するねん! そういえば『ROUND1』のときの密着のVTRで、僕が親に料理を出してもらっている映像が流れたんです。そんな温かい家庭風景の後に、紹介のアナウンスで「オニィイチャンッ!」とかされても、「こんなにぬくぬく育っているやつのことを誰が笑うねん!」と思っちゃいました。

──そんなお2人ですが、今年の『キングオブコント』では準決勝までいきましたね。

府上:準決勝まで勝ち進んだことで、お客さんから「変な人たちだけど、『キングオブコント』のセミファイナリストだからおもしろいんだろう」という担保が得られた気がしています。そういう見方が、コントでも漫才でも良いように作用するかなって。

こんちゃん:賞レースでの準々決勝と準決勝の差の大きさはずっと感じていたので、今回の経験は自信になりました。特に芸人間の評価はちょっと上がったんじゃないかなって。でも大きな変化があったのは準決勝進出が発表された8月だけ。敗退したら、また以前と変わらなくなりました。やっぱり「その先に進まなあかんな」と。

──『ytv』では『ROUND1』11位、『ROUND2』5位と順位を上げてきました。『ROUND3』で決定戦進出を決めることができれば、コンビとしてさらに弾みがつきそうですね。

お笑いコンビ・オニイチャン(左から府上ふが、こんちゃん Lmaga.jp撮影)
お笑いコンビ・オニイチャン(左から府上ふが、こんちゃん Lmaga.jp撮影)

府上:もし『ROUND3』に出場することができれば、思いっきり声を出したいです。これから『M-1』もありますが、賞レースで勝ち進むと周りの見る目が変わります。「お前らすごいな」と思われすぎるのはやりづらいけど、かといってナメられすぎたくもない。結果を出した上でバカにされたいですね。

こんちゃん:いつも通りフルスイングでやりたいです。どんな出番順でもいいので大爆発させて、お客さんの拍手のなかでネタを終えたい。『キングオブコント』準決勝進出の流れを『ROUND3』に持っていきたいです。そして人気者になりたいです!

府上:これだけ散々喋って最後は「人気者になりたい」で終わるんや(笑)。でも、とにかく全力でがんばります。

2人の出演する『ytv漫才新人賞 ROUND2』はTVerで見逃し配信中。『ytv漫才新人賞決定戦』は2026年春に放送予定。

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