年間23万円もらえる!? 「加給年金」って何なの【知らんと損するお金の小咄】

2時間前

年金と言えば、国民年金、厚生年金は知っているけれど……。これ以外にも、申請すればもらえるかもしれない年金があるんです ※イラストはイメージ

(写真4枚)

関西出身の経済・金融キャスターDJ Nobbyさんが、日常生活で知らないと損をするかも!?という、「お金」にまつわる疑問を解説。経済ネタに疎い編集Nの疑問をNobbyさんに教えてもらう新連載1回目は、「知っていないと将来、損するかもよ!」友だちに言われた『給付年金』についてです。


■Lmaga.jp編集Nからの質問「加給年金って何ですか?」

「先日、友だちと話している時に『加給年金』という言葉が出てきました。申請すると、国民年金や厚生年金に加えて年間23万9300円支給されるとのこと。『加給年金』は初めて聞きました。私も将来、もらえますか?」

DJ Nobbyさん解説「国民年金、厚生年金とはまた別の年金が存在する!

年金と聞き、みなさんがすぐに思い浮かぶのは国民年金、厚生年金でしょうか。国民年金とは、月々約6万8000円、年間約80万円、そこに会社勤めをしてきた人は、厚生年金が支払われます。それとは別に「〇〇年金」というプラスしてもらえる年金があるんです。但し、これは申請しないともらえません。その一つが、この「加給年金」です。

加給年金って何? 

加給年金とは、厚生年金に20年以上加入している人が65歳になり老齢厚生年金を受け取るとき、その人に生計を維持されている(生計を共にする家族の生活費、半分以上を支払いしている)配偶者や子どもがいる場合に、年金に上乗せして支給される家族手当のような年金です。

加給年金を受給するには、以下の4つの条件を満たしている必要があります(※1)。
① 厚生年金保険に20年以上加入している
② 65歳到達時点(または定額部分支給開始年齢に到達した時点)で、その人に生計を維持している65歳未満の配偶者、あるいは高校3年生(18歳到達年度の末日)までの子ども、もしくは1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子がいる
③ ②の該当者が年収850万円以下である
④ 配偶者が、厚生年金に20年以上加入していない

加給年金の額は、配偶者と1人目・2人目の子については各239,300円で、3人目以降の子は各79,800円と決められています(日本年金機構のHPから引用)
加給年金の額は、配偶者と1人目・2人目の子については各239,300円で、3人目以降の子は各79,800円と決められています(日本年金機構のHPから引用)

配偶者、子どもともに一人につき各23万9300円(3人目以降の子どもは各7万9800円)支給されます。ちなみに、②の「生計を維持している」とは、生計を共にする家族の生活費の半分以上を、継続的に自分の収入で賄っている状態を指します。

・人によっては、年間約42万円貰えることも!?

この「加給年金」は、申請しないともらえないので、加給年金自体の存在を知らなかったり、自分が該当者ということに気がついていないなど、ひょっとしたら逃してしまっているかもしれないという恐れがあるんですね。

さらに、配偶者の加給年金の額には、老齢厚生年金を受けている人の生年月日に応じて、年間3万5400円~17万6600円が特別加算されるので、多い人では年間415,900円に!(※1)

配偶者の加給年金の額。老齢厚生年金を受けている人の生年月日に応じて、35,400円〜176,600円が特別加算されます(日本年金機構のHPから引用)
配偶者の加給年金の額。老齢厚生年金を受けている人の生年月日に応じて、35,400円〜176,600円が特別加算されます(日本年金機構のHPから引用)

年齢が近い夫婦の場合は、配偶者が65歳未満である必要があるので、ここがネックになってほとんど貰えないということがありますが、5歳、10歳と年齢が開いていると、知らないと損ですよね。5歳離れていた場合は5年間支給されるので、41万5900×5=207万9500円という金額になるんです。

Nさんの場合をシュミレーションしてみましょう

Nさんは現在48歳、ご主人は1歳違いの49歳、お子さんは11歳、4歳。ご主人が65歳になる16年後、Nさん64歳、お子さん27歳、20歳ですね。なので、Nさんのみ1年間、加給年金の対象か……!?となりますが、ここでもう一つ注意していただきたいことがあります。

Nさんがこれまで「厚生年金を支払っている(いた)のか」、「何年間支払っているのか」という点。20年以上厚生年金を支払っている場合は対象外に。 ちなみにNさんは、25年会社勤めをしているとのことなので……残念ながら、加給年金は対象外です。

Nさんはがっかりせずに、ぜひ周りの「専業主婦」「扶養内で働いている」「高齢で子どもを授かった」というお友だちがいらっしゃれば、この「加給年金」制度があることを伝えてみてください。きっとその方たちの役に立つと思います。

このように年金には、知らないと損してしまう可能性のあるポイント、見落としがちな仕組みがあります。ぜひ、時期を逃して「知らなかった〜」と泣きを見る前に、チェックしてみてください。

※1 参考文献 日本年金機構「加給年金額と振替加算」

Voicyでフォロワー10万人を超える経済・金融キャスターのDJ Nobbyさんが、知らないと損するお金にまつわるニュースを解説
Voicyでフォロワー10万人を超える経済・金融キャスターのDJ Nobbyさんが、知らないと損するお金にまつわるニュースを解説

DJ Nobby
Voicyでフォロワー10万人を超える経済・金融キャスター。関西学院大学経済学部卒業後、シティバンクで海外為替ディーラーとして勤務後、東京金融取引所に転職、その後、プルデンシャル生命、メットライフ生命にてコンプライアンス部門マネージャーなどを歴任、2021年に独立。金融マンとして働く傍ら、ラジオパーソナリティとして活動。高校生のときに兵庫・西宮の「さくらFM」でDJデビューしてから、2025年でラジオパーソナリティ歴28年。ラジオ関西では経済系エンターテイメント番組『絶対わかる経済ニュース 知らんけど』(月〜木曜・6時30〜7時)を担当。12月15日に著書『世界情勢をつかんで波に乗れ! 経済ニュースのネタ帳2026〜27』(ハゴロモ書籍出版)を発売。

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