「不評」から「社会現象」に…ミャクミャクその誕生秘話が絵本に、神戸で展覧会も

7時間前

9月24日から「フェリシモ」特設ウェブサイトで予約受付が開始された、絵本『ミャクミャクと… ミャクミャク誕生ものがたり』(作・絵:山下浩平、フェリシモ出版)2200円、『2025 大阪・関西万博』公式ライセンス商品(10月11日/大阪・関西万博)

(写真8枚)

独特な見た目から当初は不評ながらも、今や万博黒字の立役者として絶大な人気を誇る『大阪・関西万博』公式キャラクターのミャクミャク。その「誕生秘話」が初めて明かされる絵本が、通販大手の「フェリシモ」(本社:神戸市中央区)から販売される。「ミャクミャクは、2025年の社会現象」と語る矢崎和彦社長に、ミャクミャクが多くの人を魅了する背景を訊いた。

(10月11日/大阪・関西万博)
万博会場にはミャクミャクの登場を待ちわびるファンでいっぱい(9月30日/大阪・関西万博 Lmaga.jp編集部撮影)

■ ミャクミャクをデザインした山下浩平さんの描き下ろし…ミャクミャクに託されたメッセージとは?

「最初は心配の声の方が多かったけど、万博を訪れ東ゲートの像を見た時から『あれ? いいな』と気持ちが変化し始め、『ミャクミャクくじ』の長い列にも並びましたよ」と、すっかりミャクミャク好きになった矢崎社長。

長年キャラクター商品も手がけてきた同社だが、「他の有名なキャラクターたちは最初から可愛いアイドルですが、この子はそうではなかった」と、逆境こそが後の人気に繋がった要因ではないかと言う。

開幕前、ミャクミャクがここまで人気になるとは予想がつかなかった…(4月9日/大阪・関西万博)
開幕前、ミャクミャクがここまで人気になるとは予想がつかなかった…(4月9日/大阪・関西万博 Lmaga.jp編集部撮影)

万博閉幕を控えた9月24日から予約受付を始めた絵本『ミャクミャクと… ミャクミャク誕生ものがたり』は、ミャクミャクをデザインした絵本作家・デザイナーの山下浩平さんによる全編描き下ろし。小さな細胞として誕生したミャクミャクが、他の生き物などに出会うことで変化しながら未来へ繋がっていく姿が描かれ、貴重な初期のスケッチなどデザイン過程の解説も掲載している。

「予約開始以来、フェリシモの予約ページとSNSページには1日平均1万人以上のお客さまが訪問するなど、際立った人気となっています」と担当者は話し、予約も好評となっている。

(10月11日/大阪・関西万博)
絵本『ミャクミャクと… ミャクミャク誕生ものがたり』(作・絵:山下浩平、フェリシモ出版)を手にする「フェリシモ」矢崎和彦社長(10月11日/大阪・関西万博)

もともと山下さんは同社と20年来の付き合いがあり、「実は未発表の絵本がある」と原稿を見せてもらったことから、ミャクミャク誕生の背景を絵本として出版することに。そして、万博閉幕までに発表できるよう、異例の2~3カ月という早さで絵本化を実現。当初の原稿データは小さめの長方形サイズだったが、同社の提案により、下部に載せる英語の翻訳が見やすい正方形の絵本に仕上がった。

絵本『ミャクミャクと… ミャクミャク誕生ものがたり』(作・絵:山下浩平、フェリシモ出版)より
絵本『ミャクミャクと… ミャクミャク誕生ものがたり』(作・絵:山下浩平、フェリシモ出版)より(10月11日/大阪・関西万博)

矢崎社長は出版を熱望した理由について、「絵本の中でミャクミャクは魚、恐竜、乗り物など目にしたものの姿に転じていく。これは1人の思いや命が持っている可能性を絶対にあきらめなければ、いかようにも変化・進化していけるという重要なメッセージを、山下さんがミャクミャクに託している」と感じたからだと言う。

■ 弱小野球部みたいな逆境が、泣ける「物語」に

絵本『ミャクミャクと… ミャクミャク誕生ものがたり』(作・絵:山下浩平、フェリシモ出版)より
絵本『ミャクミャクと… ミャクミャク誕生ものがたり』(作・絵:山下浩平、フェリシモ出版)より(10月11日/大阪・関西万博)

そして、当初不評だった万博や自身のイメージまでも「変化」させていったミャクミャク。矢崎社長は「まだ会場にひとつも建物ができる前の草だらけの場所で、朝日を背景にミャクミャクが一生懸命踊っている万博公式テーマソングの動画を見たら、『こんな時から君は健気に頑張っていたんだ』『泣けてくる』といったコメントがあふれていて、やはり共感する方がたくさんいるんだなと」。

改めてその魅力について、まるで施設がボロボロで人数も少ない野球部がはい上がっていくような「物語性」といい、今後は「万博のキャラクターだけでなく、日本人あるいは人類の宝に」と期待を寄せる。

絵本『ミャクミャクと… ミャクミャク誕生ものがたり』(作・絵:山下浩平、フェリシモ出版)より
絵本『ミャクミャクと… ミャクミャク誕生ものがたり』(作・絵:山下浩平、フェリシモ出版)より(10月11日/大阪・関西万博)

そんな願いも詰まった絵本は「子どもが何年かたって読み返した時に、『そういう事だったのか』と意味が分かったり、読み手によって感じ方が変わると思います」と、万博後もミャクミャクの輝きや作者の思いが脈々と読み継がれる新たな扉になりそうだ。

絵本『ミャクミャクと… ミャクミャク誕生ものがたり』作・絵:山下浩平、フェリシモ出版(ポストカード3枚付き・2200円)は、「フェリシモ」特設サイトにて予約販売。11月下旬から順次発送予定。今後は一部の書店でも販売予定。

万博の思い出はこれからもミャクミャクとともに…(9月30日/大阪・関西万博 Lmaga.jp編集部撮影)

■ 展覧会『ミャクミャク絵本 ミャクミャク誕生ものがたり』も神戸で開催決定

また、この絵本『ミャクミャクと… ミャクミャク誕生ものがたり』の展覧会『ミャクミャク絵本 ミャクミャク誕生ものがたり』を、11月5日から11月30日まで開催する。

本展では、作者の山下さんのサイン入りデザイン画を初めて展示。絵の解説や、絵本の世界に入り込んだような体験ができるパネル展示など、絵本の世界をより深く知ることができる。

展覧会『ミャクミャク絵本 ミャクミャク誕生ものがたり』は、「Stage Felissimo」(神戸市中央区)2Fの「FELISSIMO GALLERY」にて。11時から~18時(最終入館17時30分)。入場は無料。なお現地での絵本の販売はない。

取材・文・写真/塩屋薫

  • LINE

関連記事関連記事

あなたにオススメあなたにオススメ

コラボPR

合わせて読みたい合わせて読みたい

人気記事ランキング人気記事ランキング

写真ランキング

関連記事関連記事

コラム

ピックアップ

エルマガジン社の本