大阪で101歳の影絵作家・藤城清治の展覧会、飽くなき創作意欲…100歳以降の新作も

入口で出迎えてくれる大型作品『日本一大阪人パノラマ』
日本における影絵作家の第一人者・藤城清治の展覧会『藤城清治101歳展 生きている喜びをともに』が、商業施設「グランフロント大阪」(大阪市北区)で開催中。大阪での開催は8年ぶりとなり、藤城が100歳以降に制作した展覧会初公開の最新作も鑑賞できる。
■ 大阪を描いた大パノラマがお出迎え

動物やこびとたち、雄大な自然が細やかに切り出され、光と影が織りなすメルヘンの世界へ誘われる藤城清治の世界。戦後の物資不足のなか、自然の美しさに目を向けた藤城は、「人がいて、光と影があれば影絵はできる」と創作に没頭。雑誌『暮しの手帖』への連載を契機にカラー作品の新境地を開き、「楽しさ」「喜び」が込められた世界観で人々を魅了してきた。

本展は16歳の時に描かれた油絵から最新作の影絵まで展示され、彼の歩みとともに、時代の変遷を追体験できる内容。まず入口で出迎える、横6m✕縦3mの大作『日本一大阪人パノラマ』は、大阪城や通天閣、道頓堀の看板など、大阪の名所が盛りだくさん。東京出身の藤城から見た大阪の賑やかな魅力が表現され、ビル群の数え切れないほどの窓1枚1枚にも、手を抜かない気迫が感じられる。

会場内には、ユーモアあふれる孫悟空の顔が印象的な『西遊記』など物語の挿絵シリーズをはじめ、1952年に結成された人形と影絵の劇団・木馬座で大人気となったオリジナルキャラクター・ケロヨンのコーナーといった往年のファンにうれしい展示も。作品下部に水槽がある展示ではより影絵の魅力が発揮され、ファンタジーな森の世界『風の中の白いピアノ』は鏡の中と水面へ果てしなく作品が続くような夢空間が広がる。


■ 戦争体験者として「平和」への願い

日本各地の美風景作品も印象的だが、80歳以降は明るい面だけでなく、戦争や震災にまつわる作品も制作。広島の原爆ドームや、特攻隊で亡くなった親友を想って描いた桜並木の滑走路がモチーフの作品は、カラフルな千羽鶴や虹、こびとも描かれ、平和への願いが伝わってくるよう。東日本大震災後に、現地で防護服を着てデッサンした『福島 原発ススキの里』は原発そばの川で産卵のために遡上する鮭に、未来へ向かう人の姿を重ねた力作だ。

日々、飽くなき創作意欲で新作を生み出し、本展には100歳以降の作品も多数展示。内覧会に訪れた藤城は101歳の誕生日に公開された影絵『藤城清治101 アビーと共に生きる』を解説し、音楽を奏でるこびと、浮遊する愛猫たちに囲まれた階段で、未来への希望を表現したそう。本展メインビジュアルにも愛猫を描き「動物は言葉が通じないからこそ、気持ちを考えるようになり、この地球で同じ命をもって一緒に生きている」と、あたたかな眼差しを向けた。

本展は「グランフロント大阪」 北館 ナレッジキャピタル イベントラボにて、2026年1月4日まで開催(12月31日・1月1日は休館)。時間は10時~17時(入館は閉館30分前まで)。料金は一般2000円ほか。併設カフェ「CAFE Lab.」ではこびとや猫など、作品にちなんだ柄が浮かぶ「『影絵』カプチーノ」(5種・各990円)が限定販売される。


取材・文・写真/塩屋薫
『藤城清治101歳展 生きている喜びをともに』
期間:2025年10月22日(水)~2026年1月4日(日)
※12/31(水)・1/1(木・祝)は休館
時間:10:00~17:00(入場は閉館30分前まで)
場所:グランフロント大阪 北館B1 ナレッジキャピタル イベントラボ(大阪市北区大深町3-1)
料金:一般2000円、高大生1500円、小中生700円※未就学児無料
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