万博ご当地映画『タローマンを応援しない上映』でファンの芸術が爆発だ

10時間前

タローマンを応援しない愉快な仲間たちが、映画館に集まった。タローマンファン、岡村渉ファン、映画コスプレ好き、みんな一緒に撮影だ(9月20日/109シネマズ 大阪エキスポシティ Lmaga.jp撮影)

(写真22枚)

「鑑賞、味わうというのは、じつは価値を創造することなんだよ」そう、岡本太郎も言っていた…。映画『大長編 タローマン 万博大爆破』(以下『タローマン』)が好調だ。興行収入は時点で2億円を突破、動員もまもなく15万人を達成見込み(10月14日発表)で、これには宣伝担当者も「まさかまさかの大ヒット…リピーターの方も本当に多くて」と驚いている状況だ。

過去に、滋賀県のCM「石田三成」や、ゲームアプリ『宇治市~宇治茶と源氏物語のまち~』などを手掛け、何度も広告業界をザワつかせてきた、映像作家でクリエイティブディレクターの藤井亮氏。本作は、彼が手掛けた深夜の5分番組で、カルト的人気を得た『TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇』(NHK Eテレ)を長編映画化したもの。

(9月20日/109シネマズ 大阪エキスポシティ)
舞台挨拶に登場した藤井亮監督(9月20日/109シネマズ 大阪エキスポシティ Lmaga.jp撮影)

1970年の「万博」と「昭和100年」である2025年の「万博」が物語の軸となっており、『大阪・関西万博』が人気大爆発で閉幕した今、非常にタイムリーな作品だ。現在、上映8週目にして、まだまだロングラン続映中。今回、岡本太郎が手掛けた「太陽の塔」の「お膝元」で開催された、『タローマン』の「『応援してはいけない』応援上映」の模様を、興行収入2億円の大ヒットを記念して紹介しよう。

◆「『応援してはいけない』応援上映」ってどういうこと?

(9月20日/109シネマズ 大阪エキスポシティ)
タローマンは舞台挨拶でも動きが早すぎて、その姿をとらえきれませんでした(9月20日/109シネマズ 大阪エキスポシティ Lmaga.jp撮影)

8月の映画公開直後から、SNS上には作品を鑑賞した人たちからの「タローマン応援しない上映やってほしい」「『非』応援上映をやってほしい」「反・応援上映、やってほしいな」「来るなタローマン上映やってほしい」というたくさんの投稿が。

中には、「タローマン応援上映やってほしいけど、応援するとタローマンはやる気を失ってしまうから難しいな」と真剣に考えている人もいた。それは作中の主人公である「若い太陽の塔」の顔を持つ、謎の巨人・タローマンが、「応援されると、逆にやる気を失う」という性格をもつことからだ。

ご当地映画(9月20日/109シネマズ 大阪エキスポシティ)
藤井亮監督とタローマン(9月20日/109シネマズ 大阪エキスポシティ Lmaga.jp撮影)

そんなたくさんの要望を受け、全国各地の映画館で開催されているのが、「『応援してはいけない』応援上映」。作品ホームページや、公式Xの「『応援してはいけない』応援上映」告知には注意事項として、「タローマンは応援されるとダメになってしまいます。タローマンを応援してはいけないよ!」と明記されている。

(9月20日/109シネマズ 大阪エキスポシティ 画像提供:新通)
イベント前に開催されたサイン会にもたくさんの人が詰めかけた(9月20日/109シネマズ 大阪エキスポシティ 画像提供:新通)

そのうち、今回取材した「109シネマズ大阪エキスポシティ」(吹田市)は、1970年に開催された『大阪万博』の跡地、「万博記念公園」に隣接する場所にあり、「太陽の塔」に見守られるような位置にある。これは、まさにご当地中のご当地の映画館。約350席のキャパシティのシアターで9月20日に2回開催された藤井監督とタローマンの舞台挨拶付のイベントは即完売で、当日は気合の入った猛者たちが続々と劇場に集結した。

ご当地映画(9月20日/109シネマズ 大阪エキスポシティ)
「ご当地映画」ならではの特別企画も(9月20日/109シネマズ 大阪エキスポシティ Lmaga.jp撮影)

◆ 「なんだこれは?」参加者たちの芸術が爆発だ!

(9月20日/109シネマズ 大阪エキスポシティ)
前日までコツコツ紙で作ったタローマンの顔を付けた少年。もちろん、前は見えていない。(9月20日/109シネマズ 大阪エキスポシティ Lmaga.jp撮影)

上演を前に、参加者にお話を聞いた。作品Tシャツを着用して、一番乗りでシアターに入場してきた中学生は、手作りの「芸爆(芸術は爆発だ)」うちわ、3Dメガを持参し、気合充分。「応援グッズは家で頑張って作りました。もっと予算かけたかったけど、この映画と同じく低予算で…タローマングッズを買い過ぎてお小遣いがたりなくて。でも、『マイナスに飛び込め』って岡本太郎も言ってたんで、オッケーです」と岡本太郎イズム全開で挑んでいる。

(9月20日/109シネマズ 大阪エキスポシティ)
劇場に入ってきた、タローマンファンの皆様の作品。どれもいい!(9月20日/109シネマズ 大阪エキスポシティ Lmaga.jp撮影)

また、この日関東からきた20回以上鑑賞しているという人、お母さまの手作りの岡本太郎な服を着用している人、指先までタローマン一色な人などなど、個性的なメンバーがどんどんシアターに入ってくる。応援上映という特殊な形式にもかかわらず、参加者がキッズ含むファミリーから中高年まで、非常に幅広いのは少し意外でもある。

ユートピアエナジーバーを摂取しています(9月20日/109シネマズ 大阪エキスポシティ)
ユートピアエナジーバーを摂取しています(9月20日/109シネマズ 大阪エキスポシティ Lmaga.jp撮影)
(9月20日/109シネマズ 大阪エキスポシティ)
上映前から盛り上がるシアター。ひとりで参加という人はもちろん、本作品は家族ぐるみのファン多し(9月20日/109シネマズ 大阪エキスポシティ Lmaga.jp撮影)

◆ 帰ってくれタローマン!こっちに来るなタローマン!

「タローマンは応援されるとダメになってしまいます。タローマンを応援してはいけないよ!」に則して、司会者に促され、上映前に観客みんなで「ブーイング」の練習。映画が始まる前から「帰れタローマン」「こっちにくるなタローマン」と発声も全力だ。

そして上演を前に、藤井監督、続いてタローマンが呼びこまれる。参加者一丸となり、タローマンに、やはり先ほど練習した「ブーイング」で熱烈歓迎を表現した。

タローマンの登場に大ブーイング(9月20日/109シネマズ 大阪エキスポシティ)
タローマンの登場に大ブーイング、でもまだ足りません(9月20日/109シネマズ 大阪エキスポシティ Lmaga.jp撮影)
タローマンの登場に大ブーイング(9月20日/109シネマズ 大阪エキスポシティ)
タローマンの登場に大大大ブーイング。タローマン、テンション上がってます(9月20日/109シネマズ 大阪エキスポシティ Lmaga.jp撮影)

(次のページは…)いざ上映開始…会場が一体になったのはあのシーン

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