盛り上がってきた万博「西の果て」…「刺さる人には絶対刺さる」パビリオン

さまざまな展示が並ぶ「未来の都市」(撮影:8月25日/大阪・関西万博)
10月13日まで開催の『大阪・関西万博』、西エリアが盛り上がってきている。そんな「西の果て」と言われるフューチャーライフゾーンに位置する「未来の都市」パビリオンが、科学館や技術見本市のような展示で、「子どもの学びにもつながる」「刺さる人には絶対刺さる!」と好評。9月17日には来館者150万人を突破した。
SNS上でも「ゲームショーみたいな雰囲気で楽しかった」「子連れおすすめパビリオン」「これぞ万博って感じ」「ここだけで1日過ごせる」などと言われているが、どんな展示なのか、現地を取材した。

万博会場の西ゲートよりさらに西端の海に面した場所に立つ、白い幕のパビリオンは、全長150メートル。広い館内で、IoTやAI、ビッグデータなどの最新技術を活用して、地球課題や社会課題を解決する未来「Society5.0」(ソサイティ5.0)の展示を博覧会協会と12の企業がおこなう。

展示は映像や体験型アトラクションが多く、楽しみながら2035年というそれほど遠くない未来を、現実味を持って想像できるのが魅力だ。館内には子連れファミリーの姿も多く見られる。
入館してすぐに、立体的に見えるキューブ型の映像で、ソサイティ5.0の世界はどのような世界なのかを見せてくれる。ロボット(AIコンシェルジュ)がリビングにいてその場にいない人と誕生日を祝ったり、就寝中の体の異常を検知して寝室に医者が現れたりする。10年後にこんな世界になっていくのだろうか・・・。

具体的な未来の生活をイメージしたあとは、企業ごとに考える未来が、アトラクションや展示で紹介される。12企業が協賛しているので、展示をじっくり見て体験もすると、1時間はあっという間に経つ。そのため、何度も訪問して全てのアトラクションを体験する人もいるそうだ。
最新技術をできるだけわかりやすく見せる展示になっているので、興味が持続しやすいこともあり、どのブースも人だかりができていた。その中から、今回は話題の3アトラクションをピックアップして、各展示担当者のコメントとともに紹介する。
■ 参加者たちの選択で未来が変わる「Mirai Theater」(日立製作所・KDDI)
同パビリオンは事前予約するか、予約がなくても並んで入場することができる。入場後は、ほとんどのアトラクションが先着で体験できるが、参加者の選択で未来が変わるシミュレーション体験「Mirai Theater(ミライシアター)」だけは、事前予約が必要だ。

同アトラクションは、自分のスマートフォンなどで専用サイトにアクセスし、未来の選択に参加する。2035年の未来から来た子どもの問題を聞き、参加者が選んだ回答から未来が決まるというもの。おもしろいのは、3つある選択肢が「どの未来も良いな」と思える点。そのため自分にとって、もっとも大切だと思う未来を、時間内に一生懸命考えることになる。

「日立製作所」の沖田さんは、「最後に選ばれる未来は、参加した皆さんの選択によって作り出されます。選択した人が少なかったからと言って、その未来がなくなるわけではなく、それぞれの未来に織り込まれていきます。未来を自分たちで変えられる、選択できることをお子さんたちに体験していただきたい」と、アトラクションに込めた想いを明かす。
タッチパネルに現れる社会課題に同じ色のボールを投げて解決するゲームのような「Mirai Arcade」は、予約不要で楽しめる。

■ 動物のような4足歩行「オフロードパーソナルモビリティ」(川崎重工業)
館内で一際目をひき、写真を撮る人が多かったのは、動物のような4本足の水素で動く乗り物「CORLEO(コルレオ)」だ。タイヤで走る乗り物と異なり、ゴツゴツとした石の山道も、馬に乗るようにまたがった人を乗せて駆け上ることができる。ときおり姿勢が変化する実物大のモックアップに、子どもも大人も「かっこいい」「乗ってみたい」と釘付けになっていた。

「オフロードのタイヤではいけないような場所に、安全・安心に遊びにける移動価値をみなさんどう思われますか?という思いで4脚の新しいジャンルのモビリティを展示しています。まるっきり未来の話ではなく、カワサキの技術開発をベースにしています。2030年に水素バイクができ、水素エンジンがしっかり開発されれば、これをコルレオに搭載できます。災害救助用の人型のロボットの開発も進めていて、足の部分もその技術があればできる。リアリティのある未来を本気で考えました」
「サバンナの百獣の王・ライオンフォルムには、人に愛される乗り物にしたい想いがありますが、アニマルロボット(愛玩ロボット)にならないようにデザインしました。実物大を展示することもこだわった点です」と、川崎重工業の村上さん。
同社はほかに、公共交通システム「ALICE Cabin」を展示。リビングのようなキャビンごと、電車や飛行機、船などに組み込まれて移動できるシステムで、歳を取ってもハンデがあっても関係なく、乗り換えなく目的地にいける。これは1社で実現できることではなく、このパビリオンのようにいろいろな企業が力を合わせて未来を作る必要があることも感じられる展示だ。

■ 何もない空間に手をのばす生き物のお腹を撫でているような感覚に「空中感覚装置」(日本特殊陶業)
会場の中で、「それってどういうこと?」となったのが「空中感覚装置」。何もない空間に手をのばすと、3D投影されたボタンを押している感覚や、生き物のお腹を撫でているような感覚が体験できるというもの。これは超音波をつかった技術で、空気の振動により、硬い柔らかい、ぷにぷに、雨、電気などのいろいろな感覚を再現できるそう。

この技術をどうつかっていくかは、まだ決まっていないそうだが、たとえば遠くにいる孫と話すときに、音と映像だけでなく頭を撫でる触覚をプラスするとか、触覚を記憶しておくことができるので亡くなったペットを撫でるなんてこともできるかもしれない、と言う。現在はさまざまな触覚を開発中で、「泡がはじける触覚」は今回初めて実現した最新の触覚になっている。

展示ブースではほかに、水と空気が水素や電気に姿を変える循環をイメージしたパフォーマンスもおこなわれている。
原理を考えたりするのは、小学生にはちょっぴり難しいかもしれないが、「1から10まですべて伝えるのではなく、なんだったんだろうなという疑問を持って帰ってもらいたい。なんか水素って言っていたなとか、そういうことでもいいかなと思っています」と、日本特殊陶業の北澤さんがいうように、何もないのに触っている感覚があることの不思議や、光るボールを見ていたら水が最後は電気になってカッコよかったと感じたことが、将来につながるかもしれない。

このように、遠すぎない未来を楽しみながら体感して、未来の技術に関わるさまざまな企業があると理解できることが、「未来の都市」パビリオンの良さ。複数の今回ご紹介できなかった展示もまだまだあるので、「西の果て」のパビリオンを自身の目で確かめ、未来を体験してみては?なお、「未来の都市」は、予約優先、先着順で並んで入場が可能(状況により変更の可能性あり)。
取材・文・写真/太田浩子
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