関西カルチャーの集積地「味園ユニバース」中納良恵とONIが語り尽くす

5時間前

ユニバースへの思いが溢れる中納良恵とONIの対談、ときどき赤犬タカタカ・アキでお送りします(8月1日「味園ユニバース」撮影:佐伯愼亮)

(写真22枚)

◆ 「ユニバースは、どうやってでも残してほしかった!」今後はどこでライブを…?

ONI:EGO-WRAPPIN’のワンマンは、これからどこでやるの?

中納:それが、まだ決まってないねん。「ユニバース」みたいな場所って、探しても絶対にないでしょ。今後どこでやるか、というのとても悩ましいところ。東京は「東京キネマ倶楽部」(東京都台東区)があるけど、今年関西は、たぶん普通にライブハウスとかホールでやることになるのかな…。「ユニバースはどうやってでも残してほしかった!」と、この場を借りて強く言っておきたいです。

ユニバース閉館前のプロジェクトで、白かった外壁にはペインティングが施された(8月1日「味園ユニバース」撮影:佐伯愼亮)

ONI:「ユニバース」のスタッフと話してたら、「クラウドファンディングとか、やっても良かったかもな〜」って言うてて、ほんま、それやってたらめちゃくちゃお金集まるのにって思った。まあ、でも建物がかなり古いし、維持するのも大変なのかもね。

中納:ライブハウスとして営業していると、人がたくさん出入りするし、クリアせなあかんハードルが多いんやろな。

──まだ、大阪にも「ミス大阪」など昔から続くキャバレーがいくつか残っていますし、「グランドサロン十三」(大阪市中央区)や「月世界」(神戸市中央区)など、ライブができる場所もありますが、内装の特殊さや広さを考えると、ユニバースは唯一無二でしたね。

ONI:「ユニバース」が「味園ビル」と一緒になくなってしまうというのが、まだ想像がつかへんね。

中納:歴史の長い建物が取り壊されるのも時代の流れやし、素直に受け入れるしかない…。とはいえ、私のような「ザ・昭和」の人間からすると、重厚な県民ホールとか、「昭和心」をくすぐる建物がなくなるのは、やっぱり寂しい。日本全体で、もっと文化的な建物を残すような心があってもいいのにな、って思います。

看板を下ろしたユニバースの様子が気になりすぎる3人(8月1日「味園ユニバース」撮影:佐伯愼亮)

──文化財に指定されている建物でも、再開発や老朽化で解体されるケースが多いですよね。

中納:「味園ビル」みたいな建物って今、同じようなものは作れないでしょ。私は東京に住んでしばらく経つけど、繁華街は今、どこも似たような景色ばかりで…。もしかしたら、それは50年後に「令和心をくすぐる」となるのかもしれないけど、そうなると「昭和はもっと面白かったで!」と言いたくなってしまう。

戦後の元気がない状態から、高度経済成長期を経てエネルギーに溢れていたから、「希望の塊」みたいな建物が多いですよね。タイルやシャンデリア一つとっても贅沢かつ丁寧に作られていて、そういった美しさがなくなっていくのは、非常にもったいないなって思います。

◆ 「ユニバース」は誰でも受け入れてくれるような、懐の広い箱

お互いの味園でのラストイベントのTシャツを交換(8月1日「味園ユニバース」撮影:佐伯愼亮)

──最後に、お二人にとって「味園ビル」や「ユニバース」は、どのような場所でしたか?

中納:「ユニバース」は柔軟というか、誰でも受け入れてくれるような懐の広い箱でしたね。賢い人も、アホも、みんないっしょに楽しめる優しさ、みたいな。「味園ビル」も包容力というか、大阪のすごく良い部分が凝縮された場所だったと思います。

ONI:うちの旦那も、しょっちゅう酔っ払って、「味園ビル」の廊下で寝てたからな〜。「ユニバース」の最後の日も、気づいたらフロアで寝てた(笑)。ほんまにライブでも呑みでも、お世話になりっぱなしでした。

中納:まさに、そういうことよね(笑)。こんな感じの自由さ、遊び心が許される場所を残すのは、社会にとってすごく大事なことやと思う。

最近のニュースなどを見ていると、世の中、みんなで同じ方向を向くことが良しとされつつあって、私はそれが怖い。こだわりを持った若い人たちには、私たちにとっての「味園ビル」や「ユニバース」みたいな場所を見つけて「アホはここにおるでー!」と叫び続けてほしいです。

「アホはここにおるでー!」(8月1日「味園ユニバース」撮影:佐伯愼亮)

<EGO-WRAPPIN’ ライブ情報>
2025年09月5日『Slow LIVE '25 in 池上本門寺』「池上本門寺」(東京都大田区)
2025年09月27日『Slow LIVE '25 in 金沢』「北國新聞赤羽ホール」(石川県金沢市)
2025年09月28日『Slow LIVE '25 in 軽井沢』「軽井沢大賀ホール」(長野県北佐久郡軽井沢町)

<EGO-WRAPPIN’ リリース情報>
2025年10月22日「phosphorus」
(映画『THE オリバーな⽝、(Gosh!!) このヤロウ MOVIE』主題歌)
アナログ12インチ(重量盤)/完全生産限定盤

<ONI &SUPERFUNCY ライブ情報>
2025年09月3日『輪』『大阪・関西万博』ポップアップステージ西(大阪市此花区)
2025年09月13日『ITAMI GREENJAM'25』 「昆陽池公園」(伊丹市)
2025年09月14日『SUPERFUNCY』「BAOBAB music and food kitchen」(大阪市東成区)
2025年09月21日『水と木のまつり』「マイアミ浜オートキャンプ場」(滋賀県野洲市)
2025年09月28日『りんご音楽祭』「アルプス公園」(長野県松本市)
2025年10月5日『MASHUP FESTIVAL kobe』(神戸市中央区)※ONIソロ出演

撮影協力:「味園ユニバース」、スイスホテル南海大阪「レトロバー・ナンバー10」

(次のページ)【動画】「味園ユニバース」 民謡クルセイダーズ×中納良恵×ONIで『炭坑節』

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