洗濯してしまった財布…尼崎の革職人が3日かけて元通りに!?

3時間前

洗濯してしまったお財布。色も形状もすっかり変わってしまっています(Grande uomoさんXより)

(写真8枚)

ギターベースストラップ専門店「Grande uomo」(兵庫県尼崎市)を経営する安田宏樹さん(@Grandeuomo2016)の元にお客さんから依頼が。Xで注目を集めた安田さんに、その後についてお話を聞きました。

「一度見せてください!やれる事はやってみます」と送ってもらった写真には、原型を全くとどめていないグシャッとなったキャメル色の物体が。革製品ですがしっかりと脱水され、絞ったまま乾いたような形になっています。色味も白くとんでしまっている部分が多々あり、到底財布とは思えない状態に。

その後、「僕は諦めたくないんですよね、逆に燃える。笑。とりあえず形を整えたところ」と、正方形に折り畳まれた状態となり、最後は見事にリペアされた財布の写真が公開されました。

なんとか元のお財布の形に(Grande uomoさんXより)
なんとか元のお財布の形に(Grande uomoさんXより)

「スゴイな。。!このミギーみたいなのが財布だったなんて!」
「ここまでになった財布を送るお客様、かなり愛着があるのでしょう」
「なんか感動しました」
「財布、こんな完璧に戻るんですね」
「手袋かと思った」
「諦めるしかないって思ってました」
「復活させる技術素晴らしいですね!」
「職人魂…!!」
「シワがいい味出してて新品より良い」
と称賛の声が続々と寄せられています。

どのように修復されたのか、安田さんにお話を聞きました。

革のプロとして…自分への挑戦

――お客さんはどのくらい前に購入を?

リペア依頼の2ヶ月前です。

――まだ比較的新しいお品物だったのですね。実際にお財布を目にした時には?

派手にやったな~って思いました。でも、革のプロフェッショナルとしてどこまで戻せるのか自分への挑戦でもありましたね。

中の部分は色ムラがまだはげしい状態(Grande uomoさんXより)
中の部分は色ムラがまだはげしい状態(Grande uomoさんXより)

――見事な修復でした。縮んだ革をどうやって伸ばすのかが気になりました。ちょっと固くなっていそうな感じもして。

革は水分を入れた後、完全に乾燥する際に固くなる性質を持ちます。
つまり、完全に乾燥するかしないかの絶妙なタイミングを見計らい、手作業で揉みほぐしながらオイルを入れると…後は試行錯誤です。おおよそ3日間くらいで完成させました。

――プロならではの感覚で作業していったのですね。この革はどんな特徴が?

これは鹿革なのですが、柔らかく、繊維構造が牛革と違いきめ細やかです。

シワを伸ばすと味のある雰囲気に。この先も十分使えそうです(Grande uomoさんXより)
シワを伸ばすと味のある雰囲気に。この先も十分使えそうです(Grande uomoさんXより)

――ちなみに修復費用は?

今回は購入後間もない事もあり、無料で施工させていただきました。

修理費用は要相談です。 ご購入後の期間は関係なく、修理等はやれるだけの事はやらせていただくスタイルですのでお気軽にご相談ください。

――修復後、持ち主のお客さんは何と?
「ここまで戻って返ってくるとは思わなかったので、驚いています。これも縁なのでこれからも使用していこうと思います!」とおっしゃっておられました。

財布を染め直してオイルを入れ、ツヤッとした状態に至るまで修復(Grande uomoさんXより)
財布を染め直してオイルを入れ、ツヤッとした状態に至るまで修復(Grande uomoさんXより)

――きっと喜ばれたことでしょうね。ビフォーアフターに大きな反響がありました。

皆さんが驚かれていて楽しかったです!革の素晴らしさや可能性を少しでも知ってもらえたかなと思います。

◇   ◇

安田さんが経営する「Grande uomo」では、厳選した国産の最高級レザーを使用し、丈夫さと美しさを兼ね備えたギターストラップをひとつひとつ丁寧に製作。使い込むことで革の風合いや色味が変化していく「エイジング」の魅力を伝えており、プロのミュージシャンも愛用しています。

安田さんが手がけるギターストラップの一例。表革に極上のイタリアンスエードを使用し、裏革は好みの革でお仕立て。「ロシアンブルーストラップ(イタリアンスエード)」30,800円(Grande uomo BASEサイトより)
安田さんが手がけるギターストラップの一例。表革に極上のイタリアンスエードを使用し、裏革は好みの革でお仕立て。「ロシアンブルーストラップ(イタリアンスエード)」30,800円(Grande uomo BASEサイトより)

「弊社製品の修理やリペアはいつでもお受けしています。革は形を変えてしまえばいくらでも使い直せます。例えば、ギターストラップの穴が使えなくなったから捨てる…のではなく、リメイクして、キーケースやカードケースにしちゃうみたいな。革という素材はそういう素材なんですよ。我々人間が食肉の為に頂いた動物の命なので、簡単に捨てたりしたくないんですよね」と安田さん。

お話から、革製品への愛情と唯一無二で永く愛されるものを創りたいというクラフトマンシップを感じました。

今回話題となった財布「コンパクトウォレット Panini」22,000円は、現在は販売休止中ですが、今後再販の予定ありとのこと。最新の情報はSNSやホームページにて公開。11月上旬に、兵庫県尼崎市の古民家を改装し、工房兼店舗をオープン予定。

取材・文/太田真弓

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