ブラッサムはどんな朝ドラ? コロナ禍描いた『あなブツ』が出発点

連続テレビ小説『ブラッサム』の制作発表の様子。左から制作統括の村山峻平、主演の石橋静河、脚本の櫻井剛(5月29日・NHK大阪放送局)
2026年後期の連続テレビ小説『ブラッサム』の制作発表が5月29日、「NHK大阪放送局」(大阪市中央区)でおこなわれ、ヒロイン・葉野珠(はの たま)を演じる石橋静河、脚本家の櫻井剛氏、制作統括の村山峻平氏が登壇した。
朝ドラ115作目となる『ブラッサム』は作家・宇野千代をモデルに、明治・大正・昭和を駆け抜けて自由を求め続け、やがて昭和を代表する作家となる主人公・珠の波乱万丈の人生を描く。制作統括の村山氏が制作発表の会見と、その後の囲み取材で『ブラッサム』にかける思いを語った。
■『あなブツ』チームが育んだ、「平場の目線」から光をあてる作劇
制作統括の村山峻平氏と脚本家・櫻井剛氏がチームを組むのは、2022年放送の夜ドラ『あなたのブツが、ここに』(NHK総合)以来。同作は、運送業や飲食業に従事する市井の人々のコロナ禍における日常を通じて、人間本来の「生きる力」を鮮やかに描き出し、第60回ギャラクシー賞に選奨された。

村山氏は、「櫻井さんとは、私が『あなたのブツが、ここに』を企画したときにご一緒させていただきました。あの頃はコロナ禍で、社会の価値観が一変してしまった時期。そんななか櫻井さんは、日常から社会を鋭く切り取った物語を書いてくださいました。櫻井さんは目線がとても優しくて、物事を上から見ずに『平場の目線』から見えてくるものを書かれる方。それはすごく新しいことなのではないかと思います」と振りかえる。
そして「今回の『ブラッサム』のメインの舞台となるのは大正・昭和。これまでの朝ドラでもたくさん描かれてきた時代ですが、櫻井さんの脚本で、従来とは違う、新しい光をあてられないかと思い、お願いしました」と、櫻井氏を脚本に起用した理由について語った。
さらに、物語の主な舞台となる大正・昭和という時代について、「あの時代は1日1日が『濃い』と思うんです。当時の時代背景として、ある種、戦争が当たり前のようにあった。そういう時代について私たちは、いま一度ちゃんと考えなければいけないのではないかと感じます。そのリアリティみたいなものを、櫻井さんなら築くことができるのではないか、そして新しい入り口になるのではないかと思いました」と語った。

■ 困難な時代にあっても見つけ出す「幸せのかけら」
本作『ブロッサム』でも、ささやかな日常の描写を大切にするという。
村山氏は「主人公の珠は、故郷である山口を追われるようにして上京し、作家を志します。しかし震災、戦争、結婚に離婚、さらに倒産、借金と、さまざまな困難にぶつかります。そんななかでも、幸せのかけらを見つけ出し、小説にしのばせていく。それが読む人を魅了し、ファンを獲得していきます」と語り、さらにこう続ける。
「モデルである宇野千代さんは98歳まで生きられて、熱量あふれる生涯を送られた方。明治生まれでありながら『人生100年時代』の先駆けとも言え、今の時代だからこそ、合致するテーマではないかと。宇野さんをモデルとした主人公・珠の、自分で決めた道を1日1日、自分で前に進んでいく姿をドラマで表現できたらと思っています」。

■ 朝ドラは「幸福論」。タイトルにこめた思い
タイトル『ブラッサム』にこめた思いについて、脚本家の櫻井氏は「朝ドラは主人公の人生を長く描くという意味でも、幸福論になり得るんじゃないかと思っています。タイトルの『ブラッサム』には、花、開花という意味があります。主人公の珠と、それを応援して見てくださる視聴者の皆さんの人生に幸せが花咲くように、というイメージでつけました。
ただ、人生は花咲く瞬間ばかりではなく、そこに至るまでにはさまざまな出会いや別れ、困難が待ち受けています。それを珠が、力強く乗り越えていく姿を描くことで、見ていただく方にとって次の幸せのヒントになるようなドラマになればいいなと思っています」。
さらに、村山がこう加えた。
「チェリーブラッサム(=桜)は、淡墨桜を全国的に有名にした宇野千代さんのトレードマークでもあります。『ブラッサム』は、主人公・珠が自分を肯定し、自分を奮い立たせる言葉。私たちチームとしては、『咲き誇れ』という思いをこめました。
『あなブツ』や、制作の始まりから終わりまでコロナ禍だった朝ドラ『おちょやん』(2020年後期。村山はプロデューサーとして参加)の制作を通じて、私はずっと『世の中のみなさんに咲き誇ってほしい』との思いを抱きながらドラマ作りをしてきました。あの頃感じたことを朝ドラにして、みなさんに恩返ししていきたいと思っております」。

■ 石橋静河は「何があっても人物を見捨てない人」
また、主人公を演じる石橋静河について村山は、2024年に放送された「ドラマ10」枠の『燕は戻ってこない』(NHK総合)で石橋が演じた、貧困から金銭目当てに代理出産を引き受ける主人公・リキへの印象を交えながら、こう話した。
「『燕は〜』のお芝居を見ても、また実際にお会いしてお話しても感じるのですが、石橋さんは役への視座がとても深い方。役と対話しながら、その人物がどういうものを大切にしているのかを深く掘っていく役者さんなのだろうなと思います。
たとえば演じる役柄が、世の中からはなかなか共感されにくいキャラクターがだとしても、『日本中を敵に回しても、私は役の人物を最後の最後まで愛して、見捨てない』という寄り添いかたをされる俳優さんだと思います。そうした石橋さんの強さが、このドラマにはとても必要だなと思い、オファーさせていただきました」。
◇
連続テレビ小説『ブラッサム』は、2026年秋から放送をスタートする。
取材・文・写真/佐野華英
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