連日行列!大阪の「日本国宝展」、後期展示の目玉作品が出そろう

2025.5.30 07:00

「大阪市立美術館」に平日の開館前に並ぶ行列の様子(5月27日撮影)

(写真6枚)

大阪初の国宝展とあって、連日開館前から行列ができるほど話題の「大阪市立美術館」(大阪市天王寺区)の『日本国宝展』。展示作品(参考出品除く)135件すべて国宝であり、6期に分けて展示替えがおこなわれているが、5月27日より、後期展示の目玉作品が概ね出そろった。

■ ユニークグッズ化、同展アイドルも登場!
 狩野永徳の代表作など注目作が目白押し

大阪・関西万博の開催にあわせておこなわれている同展。後期の目玉のひとつが安土桃山時代に活躍した絵師・狩野永徳(かのうえいとく)による金碧障壁画(金箔地に濃彩で描く襖や屏風)の代表作「唐獅子図屏風(からじしずびょうぶ)」(右隻 桃山時代・16世紀、左隻 江戸時代・17世紀、皇居三の丸尚蔵館収蔵)だ。

「唐獅子図屏風」右隻 桃山時代・16世紀、左隻 江戸時代・17世紀、皇居三の丸尚蔵館収蔵 展示期間:~6月15日
唐獅子図屏風」右隻 狩野永徳筆 桃山時代・16世紀、左隻 狩野常信筆 江戸時代・17世紀、皇居三の丸尚蔵館収蔵 展示期間:~6月15日

右隻(うせき)が狩野永徳筆、江戸時代に補われた左隻(させき)が狩野常信筆で、唐獅子というライオンをモデルにした霊獣が威風堂々とダイナミックに描かれている。

図録によると、聚楽第(じゅらくてい)など、太閤さんで知られる豊臣秀吉関係の城館を飾った障壁画であったとも推測されているそう。「威風堂々、これがMOMOYAMAだ!」とキャプションがあるように、教科書でおなじみの桃山時代の代名詞といえる名品だ。

■ 光琳の優れたデザインセンス…
 きらりと光る燕子花(カキツバタ)

「八橋蒔絵螺鈿硯箱」尾形光琳作 江戸時代18世紀 東京国立博物館蔵 展示期間:~6月15日
「八橋蒔絵螺鈿硯箱」尾形光琳作 江戸時代18世紀 東京国立博物館蔵 展示期間:~6月15日

日本美術を代表する琳派は、本阿弥光悦(ほんあみこうえつ)と俵屋宗達(たわらやそうたつ)によって創始され、尾形光琳(おがたこうりん)が大成させたとされるが、前期の注目作品が本阿弥光悦作の「舟橋蒔絵硯箱(ふなはしまきえすずりばこ)」だったのに対して、後を引き継ぐように、後期には、尾形光琳による「八橋蒔絵螺鈿硯箱(やつはしまきえらでんすずりばこ)」(東京国立博物館蔵)が登場。光悦をリスペクトした光琳を表したかのような展示だ。

『伊勢物語』の三河八橋に取材し、群生する燕子花(かきつばた)と八つの板橋をデザイン化した硯箱で、6月3日から展示予定の同じく光琳の代表作「燕子花図屏風」で意匠化した燕子花が螺鈿でキラリと輝いている。

■ ユニークグッズ化された同展のアイドル
 雲母がきらめく縄文のビーナス!

「土偶(縄文のビーナス)」長野県茅野市米沢棚畑遺跡出土 縄文時代中期約5400~4500年前 長野県・茅野市(茅野市尖石縄文考古館保管)展示期間:~6月8日
「土偶(縄文のビーナス)」長野県茅野市米沢棚畑遺跡出土 縄文時代中期約5400~4500年前 長野県・茅野市(茅野市尖石縄文考古館保管)展示期間:~6月8日

そして見逃せないのが、同展限定のユニークグッズ化された「土偶(縄文のビーナス)」(長野県茅野市米沢棚畑遺跡出土)だ。

縄文のビーナスのグッズコーナー
縄文のビーナスのグッズコーナー

ぷっくり膨らんだ乳房や腹部、どっしりとした安定感ある下半身が特徴で、縄文中期の土偶の典型的な特徴があり、図録によると、表面のキラっとしたきらめきは、粘土に雲母(うんも)が含まれているからなのだとか。日本各地で出土する土偶は、故意に壊された状態で出土することが多いが、この土偶は、壊されることなく出土した希少な例とのことで、何か深い意味があったのか?と想像してみるのもおもしろい。

「土偶(縄文のビーナス)」の後ろ姿
「土偶(縄文のビーナス)」の後ろ姿

ほかにも、室町時代、中国の明で水墨画を深めた画聖・雪舟の代表作「四季山水図巻(山水長巻)」(山口・毛利博物館蔵/巻き替えあり)、「天橋立図」(京都国立博物館蔵)、「慧可断臂図(えかだんぴず)」(愛知・齊年寺)の名画や熊野速玉大社の古神宝などが並ぶ(一部の注目作品は6月8日まで)。

後期展示に入り、ますます目が離せない同展。あまりの人気と混雑ぶりのため、公式Xで【混雑状況】日本国宝展というアカウント(@kokuhou_konzatu)が開設されるほど。そのため6月3日より、平日は18時30分(最終入館は17時30分)、土日が19時30分(最終入館が18時30分)までと、少し開館時間を延長することが決定している。

「大阪・関西万博開催記念 大阪市立美術館リニューアル記念特別展『日本国宝展』」の会期は6月15日まで。一般2400円、高大生1700円、小中生500円(土日祝は日時指定予約優先)、詳細は公式サイトにて。

大阪・関西万博開催記念 大阪市立美術館リニューアル記念特別展『日本国宝展』

会場:大阪市立美術館
会期:4月26日(土)~6月15日(日)

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