大河で衝撃シーン…『べらぼう』の覚悟見せた、攻めた性的描写

『べらぼう』第1回より。亡き朝顔(愛希れいか)にそっと触れながら、唐丸に朝顔との思い出を語る蔦屋重三郎(横浜流星)(C)NHK
江戸時代のポップカルチャーを牽引した天才プロデューサー・蔦屋重三郎の劇的な人生を、横浜流星主演で描く大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK)。1月5日放送の第1回「ありがた山の寒がらす」では、重三郎の命運を変えた大きな出来事の描写に、お茶の間が一斉にざわめくことに。それと同時に、あるスタッフの重要性に改めて注目が集まることになった。
■ 貧困の只中にあった浄念河岸の女郎たちは…第1回あらすじ
幕府公認の色街・吉原の側にある茶屋「蔦屋」で働く重三郎は、7歳の時に親に捨てられ、引手茶屋「駿河屋」の主人・市右衛門(高橋克実)に養育された。心優しき花魁・朝顔(愛希れいか)や幼馴染・花の井(小芝風花)に見守られてまっすぐに育った重三郎は、「明和の大火」で拾った少年・唐丸(渡邉斗翔)を連れて、女郎相手に貸本屋をしたり、長谷川平蔵(中村隼人)のような無粋な客をカモにしたりしていた。

引く手あまたの人気の花魁となった花の井は、今は最下層の女郎たちが暮らす浄念河岸で病に伏せっている朝顔への差し入れを届けるよう、重三郎に頼む。そこで暮らす女性たちは、はなやかで贅沢三昧の吉原の表舞台とはまったく違う、貧困の只中にあった。まもなく朝顔が、差し入れの食べ物をほかの女郎に与えて逝去したことを知らされた重三郎は、裸で墓場に打ち捨てられた朝顔を見て涙するのだった・・・。
■ 「べらぼう、本気だ…」命がけの火事撮影
吉原の宣伝のために次々に斬新なアイデアを繰り出し、それを足がかりに江戸最大のメディア王に成り上がった蔦屋重三郎。そんな彼のルーツを見せるために、どうしても避けて通れなかったのが、リアルな「吉原」の描写だ。江戸幕府公認の風俗街として、その名は広く知られているものの、意外とその実態は謎なのではないだろうか? 恐れながら筆者も、花魁と遊ぶためには引手茶屋で飲食→花魁が迎えに来る(花魁道中)→女郎屋に移動・・・なんて面倒な手順があったこと、今回で初めて知った次第だ。

大河ドラマでは初めて本格的な舞台となった吉原だけど、開始そうそう一帯が大火に襲われるという描写にはビビらされた。「火事とケンカは江戸の華」なんて言葉があるが、この「明和の大火(目黒行人坂大火)」は「江戸三大大火」の1つに入るほどの大惨事で、目黒から千住周辺(大阪なら、新大阪~帝塚山ぐらいの範囲)まで延焼したという。現代とは比べ物にならない火事の極限状態を、実際にセットを燃やす命がけの撮影によって見せたことで、多くの人が「この大河、本気だ・・・」と背筋を伸ばしたことだろう。
■ 大河ドラマ初? の衝撃シーン、その必然とは
その本気は、天国と地獄が文字通り隣り合っている、吉原の街の描き方にも現れた。女郎の頂点と言える花魁とその周囲の人々は、いかにも栄養がありそうな食事を取り、はなやかできらびやかな着物に身をまとい、読書などの娯楽もある、一見天国のような暮らしだ。しかし一方、自力で客を取らなければ生きていけない河岸の女郎たちは、横浜流星級の色男が来たって食べ物の方が優先されるほど、文字通り地獄の生活だった。しかも朝顔のような花魁級の女郎すら、病気で客が取れなくなると容赦なく河岸に追いやられるから、トップに立っても決して安泰ではなかったのがわかる。

しかしなによりもショッキングだったのが、病没した朝顔をはじめとする女郎たちの死体が、地面に裸で転がっているというシーンだろう。女郎たちが着けていた衣類は、墓掘りたちの駄賃がわりに、身ぐるみ剥がされる(ひどいときは髪の毛までむしられたそう)のが現実だった。生きている間だけでなく、死んでからも尊厳など認められない。彼女たちを搾取する吉原の人々にとって、女郎はまさに「商品」でしかなかったのだ・・・ということが、この数秒間で痛いほど伝わってきた。
そして今回、大河ドラマとしては初めて「インティマシーコーディネーター(IC)」が入ったのは、このためだったのか! と、感じた人も多かっただろう。セックスシーンやヌードシーンなどのインティマシー(親密)な描写の撮影を、スタッフと俳優の間に立ってサポートする役割だ。今回ICが入るのは、花魁のセックスワーク的な部分になるのかな? と思っていたら、女郎の悲惨すぎる境遇を突きつけるために、こんな形で裸体をさらす必要があったとは、思わぬ所からパンチが飛んできたような気分だ。

これは重三郎にとっても、我々視聴者と同じぐらい・・・いや、相手が恩人ともいえる女性だっただけに、何倍も大きな衝撃に打ち砕かれたことだろう。そしてそれは、忘八稼業に特に疑問を持っていなかった青年が「ここに棲む女性たちの生活を変えなければ!」という正義の衝動に囚われ、実際に行動に移すようになるには、十分すぎる出来事だった。
もしここでICが入っていなければ、夜の8時代というこの時間帯に、女性の裸体が飛び込んでくることに、もっと大きな抵抗の声が上がっていただろう。しかし「この撮影にはICが参加しています」ということで、制作側だけでなく演じる女優たちも、このシーンの必要性に納得し、さらに彼女たちの尊厳を守る形で撮影がおこなわれたはずだと、安心して受容できる。ICは作り手だけでなく、視聴者のためにも必要な存在ということが、この1回だけで了解できた。
脚本の森下佳子は、これまでも人間の理不尽さや下劣さや暴力性を真正面から突きつけるシーンをひるまずに描き、私たちに数多くのトラウマ(しかし大歓迎)を植え付けてきた。『べらぼう』はICが入ったことで、よりギリギリを狙ったインティマシーな表現に挑戦してくるはずだ。しかしその限界までドス黒い闇は、ひたむきに世のために動いていく蔦屋重三郎の光を、より際立たせて見せてくれることだろう。
◇
大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』はNHK総合で毎週日曜・夜8時から、NHKBSは夕方6時から、BSP4Kでは昼12時15分からスタート。1月12日放送の第2回「吉原細見『嗚呼(ああ)御江戸』」では、ガイド本で客を呼び寄せる案を思いついた重三郎が、序文の執筆を依頼するために、才人・平賀源内(安田顕)探しに奔走する姿を描く。
文/吉永美和子
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