若者に広がる「論破文化」、Z世代芸人らの漫才ネタにも波及

左から『第13回ytv漫才新人賞決定戦』王者の空前メテオ、準優勝のぐろう(C)ytv
結成4年目のコンビ、空前メテオ(茶屋、大門正尚)が優勝を飾った『第13回ytv漫才新人賞決定戦』(3月3日放送/読売テレビ)。同大会を見てクローズアップしたい点は、空前メテオら若手勢が披露した「偏った意見のネタ」のおもしろさである。(文/田辺ユウキ)
■ 25歳の「暴論」、審査員や観客を翻弄

空前メテオがファーストラウンドで披露したのは、ボケの茶屋が、成長するにしたがってメスからオスへと性別が変わる「魚」と、幼少期は女子の憧れの職業として挙げられるのに実際は男性が多いとする「パティシエ」の世界を重ね合わせ、「パティシエ=魚」と持論を展開するネタ。不条理で埋めつくされた「茶屋ワールド」に、ツッコミ役の大門だけではなく、審査員、観客も翻弄され、同ラウンドをトップで通過。茶屋はネタ後「最高のパズルができました」とアーティスティックな感想を口にした。
決勝ラウンドでも茶屋の「暴論」が炸裂。犬にはさまざまな犬種があるが、猫は痩せているか太っているかしかないなどと言い、観る者の混乱笑いを誘った。ここでも茶屋は最後、自分たちの漫才について「最高のダンスでした」と充実の表情を浮かべた。
■ 審査員のフット岩尾「2組とも偏った意見」

空前メテオと優勝を争った同期のぐろうも、ファーストラウンドのネタではボケの家村涼太が「永久脱毛にはメリットがない」と言い切り、決勝ラウンドでも「結婚式でおこなわれることはすべて茶番」と独自の見解で話を進めていった。
審査員の岩尾望(フットボールアワー)が「2組とも偏った意見。よりスッと(ネタが)入ってきたのが空前メテオ」と評したのは、今大会を象徴する審査評だったのではないか。
そもそも漫才のネタのほとんどは、ボケ役が偏った考え方で話を推し進めるものである。そしてツッコミ役は、観る者の側に立つためにボケ役に対して異論を唱えていく。そうすることでボケ役がいかにおかしい人間であるかや、その無茶苦茶な話はあくまで笑わせるためのネタであることを示していく。
ただ空前メテオのボケ役・茶屋、ぐろうのボケ役・家村は、ツッコミ役の反論を聞き入れる素振りを一切見せない。ひたすら自分の偏った考え方をゴリ押ししていくのだ。これは結成5年目で今大会に進出したハイツ友の会(7位)にも感じられることで、清水、西野は喫煙者と飲酒者に関する偏見を次々と口にする。同コンビの話には明確なボケ役、ツッコミ役がないため2人の意見も対立せず、「反論の余地なし」で展開していった。
■ 相手を言い負かす「論破文化」の影響も?

岩尾が評する「偏った意見」を若手コンビたちがネタのスタイルとして取り入れている背景のひとつには、ここ数年、カルチャー化した「論破文化」が影響しているのかもしれない。論破とは、自分の考えが暴論、屁理屈、逆張り、不条理だったとしてもその「正しさを証明すること」以上に、「相手を言い負かすこと」におもしろみを見出し、詭弁に陥りそうになると論理のすり替えをおこなうなどし、ゲーム的に勝利を目指していくものだ。
空前メテオ、ぐろうのネタからは、今やひとつの芸事となった「過剰なディベート」がモチーフになっているようにも思える。ちなみに予選会・事前ROUND2(11月5日放送)でも、空前メテオのネタについて審査員の久保田かずのぶ(とろサーモン)が「居酒屋で論破対決してみたい」とコメントしていたので、やはり「論破文化」と無縁ではないだろう。
例えば、芸歴10年目のラストイヤーで『ytv』に挑んだバッテリィズは、アホのエースに寺家がおすすめの世界遺産を教えるが納得してもらえないというネタだが、こちらは話としてラリーがあった。同じく10年目のドーナツ・ピーナツも、ワイドショーのコメンテーター役のドーナツを、司会者役などのピーナツがメチャクチャな進行で困らせていくが、こちらもドーナツには反論の余地が用意されている。バッテリィズ、ドーナツ・ピーナツは2人のやりとりで成り立っていく内容だった。
ただ空前メテオとぐろうは、とにかくボケ役がツッコミ役の反論を封じ、なんなら相手を上回ることに躍起になっていく。空前メテオに至ってはもはや、茶屋の耳に大門の反論が届かない風でもあった。その様子はまるで、政治や経済の問題を朝まで激論する某生番組の出演者のようだ。両コンビにとっては、ツッコミ役の定番の締め言葉「もうええわ」も、話に収まりがつかなくなったので強制終了させるための合図に感じるのがおもしろいところ。
ともあれ今回の王者・空前メテオ、準優勝・ぐろうからそういった昨今の「論破文化」がチラついたのは、それだけ両組の話に圧倒されたということである。
◇
『第13回ytv漫才新人賞決定戦』の模様は、TVerで見逃し配信中。
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