大阪の地で100周年、立ち飲み「赤垣屋」が愛され続ける理由

2023年で100周年を迎えた「赤垣屋」(写真はなんば店にて)
■「難しいお客さんを呼んでたのは自分たちやった」
──100年もの間、大阪の地で立ち飲みをやっていて、ここ数年で「変わったなあ」と感じることはありますか? 今日も若い女性が何人かいらっしゃいますね。
考えられない、もうほんまに男性ばっかりでしたから。でも今は常連の女性のお客さんも多くて、話を聞いてみると安心して飲めるって。それはうれしいことです。
あとはね、やっぱりこれは会社の成長とともに、というとこもあると思うんですけど、僕たちがちゃんと襟を正したっていうのもあると思いますわ。

──制服ですか? みなさんネクタイを締めてはりますよね。
そうです。今の常務が店長やった頃(30年ほど前)、新人で入った高卒の社員はまず「パンチパーマ当ててこい」って言われるんですよ。お客さんに舐められんように。そのとき常務はサングラスかけてオレンジ色のスーツ着てて・・・新喜劇みたいな(笑)。「なんやこのイカつい会社は」って思ったのをよう覚えてます。
──想像つかないです(笑)。
そのときはお客さんは敵という感じでやってた。お店を開けたらもうなんぼでも入った時代やったんですよ。だから、今聞いたらびっくりするんですけど、「おでんの厚揚げと卵ちょうだい」って言われたら、もう注文させんように2つずつ出すとか、焼鳥も6本一気に出したり。こんな頼んでないやんって言われたら睨みきかして。
そんな時代があったんです。でも先代の社長が「このやり方やったらアカン」と言って、そこから接客マニュアルを作ったんです。「いらっしゃいませ」「こちらへどうぞ」「はい、かしこまりました」っていう感じで、全部みんなに説明して実践したんですよね。
──なかったんですね、それまで。
そう。で、僕らはサービスが良くなると自信満々でやったら、お客さんに「なんやお前。こんな赤垣屋みたいな立ち飲みで堅苦しい言葉使いやがって」って言われて(苦笑)。
──ええ。
もうビビリあがりましたわ。僕らは良かれと思ってやってるのに。それで社長に「無駄ですよ、お客さん嫌がってますわ」って言ったら、「ちゃうよ大島くん、そういうお客さんは来んでええねん」って言うて。
そのあとも言葉遣いをきっちりして、お客さんも仕事帰りでネクタイを締めてるんやったら、僕らもネクタイ締めようということで、ネクタイ付の制服に変えたりとかして。それからね、やっぱりそういうお客さん、減っていきましたよ。
僕らが言葉遣いを改める、身なりを改める、お客さまに対する態度を改めることによって、お客さんも変わってきた。結果的に難しいお客さんを呼んでたのは自分らやったんですよ。多分、気づかずにそのままやってたら、もう衰退していったと思います。
■ 関西人も大満足、「早い」「安い」の秘訣
──今の接客はその頃にできあがったんですね。そういうお客さんが減って、大阪で愛され続けるお店になったわけですが、やっぱり料理やドリンクの提供スピードは素晴らしいと思います。
うちの強みですよね、ファーストドリンクの速さは。「飲みに来てるんやから、お客さん来たら、はよ飲み物出せ」って先代に叩き込まれてました。なのですぐにドリンクを出せるよう、カウンター3カ所にビールサーバーを置いてるんです。
──本当だ。だからあんなに早いんですね(笑)。
料理はポテトサラダとか一品ものは、各ポジションごとのショーケースに振り分けといてパッと出せるように。

──なるほど! あと安さですけど、最近では物価も上がってるなか、この安さはすごいと思います。
お客さまに理解いただいて値段を上げたんですけど、生ビールも330円やったんが360円、瓶ビールも500円が550円っていう形で。これも会議で議論して、どれぐらいが適正価格かシミュレーションして、いろいろ数字見ながら検証して、この値段でお客さまに納得してもらおうと。
お客さまには、もう何十年って来てる人もいてて、毎日同じ金額で帰る人もおるから、かなりのご負担があるんかなって僕は思ってたんですけど、意外になかったんです。「いや、しゃあないやん」って。適正に上がってるっていう風に感じてくださったんでしょうね。
──それは、正直に今までやってきたからってことですよね。
そうですね。ありがたいです。

立ち呑み 赤垣屋
「お立ち吞み処 赤垣屋 なんば店」
住所:大阪市中央区難波3-1-32
営業:10:00~22:30(LO22:15)、日祝10:00~21:30(L.O 21:15)
電話:06-6641-3384
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