戦う前から勝ちのはずが「戦い後負けた」信玄痛恨のミスは?【どうする家康】

笑みを浮かべる武田信玄(阿部寛)(C)NHK
古沢良太脚本・松本潤主演で、江戸幕府初代将軍・徳川家康の、厳しい選択だらけの人生を描きだす大河ドラマ『どうする家康』(NHK)。5月14日の第18回『真・三方ヶ原合戦』では、前回は描かれなかった戦の一部始終が明かされ、家康たちの必死の生き残り策と、武田家衰退のカウントダウンが始まったところが描かれた(以下、ネタバレあり)。
■どうする家康、「空城の計」を実行
三方ヶ原の戦いで討ち取られ、武田信玄(阿部寛)のもとに届けられた「家康」の御首。信玄はその首を見て、意味ありげにほほえむ。一方その頃、酒井忠次(大森南朋)や石川数正(松重豊)らの家臣たちは、辛くも浜松城に帰還するが、信玄の息子・武田勝頼(眞栄田郷敦)が城を攻めるべく、兵を率いてやってきてしまった。
忠次らは、あえて城門を開け放つことで敵を疑心暗鬼にさせるという、「兵法三十六計」のひとつ「空城の計」を実行。勝頼はそれに引っかかって、城攻めを中止してしまった。その話を聞いた信玄は、家康の家臣が故事を学んでいることと、その戦術を実際にやってしまったことに感じ入り、浜松を捨て置くことにする。
勝頼はその決断に反対するが、信玄は「その仕事、そなたの代に残していく。わしは時が惜しいのじゃ」と告げ、京への進軍を再開した。夏目広次(甲本雅裕)が身代わりになったおかげで、生き延びることができた家康は、心機一転浜松の立て直しをはかるが、そこに武田軍が甲斐に引き返しているという、不可解な情報が入ってきた・・・。
■信玄が西に向かった、そのユニークな解釈
金色の兜の首が武田軍に運ばれていく、というあまりにもショッキングな終わり方で「1週間待てません!」の声が続出した第17回。第18回は「真」というタイトル通り、あの合戦の最中にどういう出来事があったのかを「時を戻そう」という体で見せていく回に。家康の生存も確認され『どうする家康』終了の危機も、無事にまぬがれることになった。

信玄の遠江侵攻だが「侵略すること火のごとし」という風林火山の旗印とは違い、三方ヶ原の大勝後も完全に制圧することなく、即座に西に向かっている。これにはいろんな説が上がっているが「『空城の計』を本当にやったことに感心して目こぼしした」というのは、なかなかユニークなものだろう。
SNSでも「徳川方が兵法三十六計を知っていた(教養がある)、そしてトップのために死ねる家臣に恵まれている。これが信玄が徳川を見逃した理由だよなあ」「空城の計にひっかかったのではなく『見逃してやった』という解釈か」「信玄は身代わりの首を見て、あの若造やりおるわと思ったろうし、空城の計をやってしまう家臣らのタフさも感じとったのだろうな」などの言葉が。
■武田軍にとって「戦ったあとで負けた」戦

さらに信玄が、みずからの命が短いことを悟っていて、織田信長(岡田准一)との勝負を急いだから・・・という解釈も、さもありなんというところ。しかし勝頼が今のうちに家康を叩き潰すよう主張したのに、信玄はそれを受け流してしまった。数年後に武田が織田&徳川軍に滅亡させられることを知っている人は、痛恨の判断ミスと頭を抱えたことだろう。
SNSでも「残された時間が少ないことを悟っているから先を急ぐ信玄と、徳川攻めの好機を見逃したくない勝頼。歴史の結果的には勝頼の判断こそ正解だった」「ここで家康を討ち取っていたら、確実に歴史の流れが変わっていたのに」「徳川討滅の重要なタスクを息子の代に託した結果が、武田家滅亡の遠因になることを今描いたのに戦慄した!」などの声が上がっていた。
家康絶体絶命! な面が強調されがちな三方ヶ原の戦いだけど、実は武田側にとっては「戦う前から勝っていた」戦だったのが「戦ったあとで負けた」戦だったのかもしれない、という発見もある回だった。来週はタイトル的には、徳川方にとってはコメディ回となりそうだが、武田方にとっては悲劇のプロローグになりそうだ。
『どうする家康』は、NHK総合で日曜・夜8時から、BSプレミアム・BS4Kでは夕方6時からスタート(BS4Kは昼12時15分から)。5月21日放送の第19回『お手つきしてどうする!』では、戦国時代の状況が大きく動くなか、家康が侍女・お万(松井玲奈)に手を付けてしまったことで、一騒動起こるさまが描かれる。
文/吉永美和子
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