阪急「バレンタイン本」が異例の人気、溢れすぎたバイヤーの熱量

「阪神うめだ本店」のバレンタインガイドブック。全352ページがフルカラー&丈夫な紙質で、重さは580g!(2023年版)
全国の百貨店で盛大におこなわれるイベント『バレンタインフェア』。なかでも、約3000種を取り扱い日本トップクラスの規模を誇る「阪急うめだ本店」(大阪市北区)では、チョコレートに負けない濃厚な「ガイドブック」が名物となっている。
2023年版は352ページと過去「最厚」を更新し、ネットでは「年々分厚くなってて笑う」「なんでタダやねん」「この気合いはどこから」というツッコミの声も多くあがるほど。ガイドブックをもらうために店に行ったという人も多く、今回は1月4日の配布開始からわずか10日間で予定冊数に達した。
そんな人気のガイドブックの制作指揮を15年にわたって執る同百貨店のバイヤー・高見さゆりさんに、その尋常でない熱量の原点を訊いてみた。
■ わずか10日で配布終了、転売も・・・異例の「ガイドブック」人気
──バレンタインの冊子は各百貨店が力を入れて制作されますが、阪急さんの場合はネットで出品されるほどとりわけ人気です。
無料のカタログですが、「パラパラっと見ただけで ゴミ箱に捨てられるようなものは作らない」と、たくさんの想いを込めて制作しています。ほかの百貨店さんもそうだと思うのですが、自分たちが一生懸命作ったものを捨てられるのはやっぱり残念ですよね。
紙の高騰で昨年より少し減っていることもあり、今年はとくに配布終了が早かったので、部数については今後検討していきます。
──昔からこのボリュームだったのですか?
15年前に私が担当になった当初はCDブックレットのようで、商品の写真・値段・場所の記載だけでした。どの百貨店も同じ感じで、あまり個性がないなと。
そこで、モノを売るだけではなく何かメッセージを伝えたいと思い、「フェアトレード」(公正な貿易)や社会貢献に取り組まれているブランドを紹介し、さらにその商品やブランドを選んだ理由まで伝えたいと考えるようになり、2011年頃からだんだんページが増えていきました。

■ 「エクアドル行かへん?」ある有名シェフの一言
── なるほど。そこからどうされたのですか?
当時、いち早くフェアトレードの原料を商品化されていた「パティシエ エス コヤマ」の小山進シェフにお話を伺ったところ、「現状を見ないとわからないと思う。僕は現地に行って想いを感じたから、こういう商品にしたんだ」と。そして「一緒にエクアドル行かへんか?」と誘っていただいたんですよ。
──そこではどんな体験を?
あるカカオ農家の男の子に会ったんですが、小山シェフが初めて訪れた時は「将来サッカー選手になりたい」と言っていたのに、3年後には木になるカカオの実を見ただけで熟度の選別ができるほど勉強していて、前向きに「家族とカカオ農家をやっていく」って決心していたんです。
フェアトレードって児童労働させられているというネガティブなイメージもあったので、丁寧にカカオを作ることで価値を上げ、適正な価格で売買するという現状を見させてもらったことや、自分たちが栽培しているカカオに誇りを持たれていることにすごく感動しました。
ほかにも、コロンビアを拠点に活動されているカカオハンター(R)小方真弓さんから「あなたはどんなチョコレートが食べたいですか?そのチョコレートの価値は?」と問いかけられたことで、お客さまに伝えるべきことをより考えるようになったり。このときから、ほかの百貨店と比べるのではなく、「自分が何をしたいか」と強く思うようになりました。
──そういった出会いや経験が、ページ数に反映されているんですね。
実際に現地を見ているので、彼らの想いを伝えたいんですよね。生産者から消費者までの想いを繋ぐ、それが私の仕事だと。そうやって関わるブランドや人が増えるほど、伝えたいことも増えてきて。当時のカタログではサイズやページ数が完全に足りなかったので、CDサイズからA5判に変わり、ページ数も年々増加していきました。

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