佐々木蔵之介「逃げたらあかん」、舞台に立ち続ける男の今

舞台『守銭奴 ザ・マネー・クレイジー』で主演をつとめる俳優の佐々木蔵之介
中井貴一とW主演の映画『嘘八百』シリーズをはじめ、数々の作品で主役をつとめている京都出身の俳優・佐々木蔵之介。関西小劇場出身の彼は、年1~2回のペースで舞台に立ち続けており、現在もフランス喜劇の巨匠・モリエールの代表作に挑んだ主演舞台『守銭奴 ザ・マネー・クレイジー』が、大阪で上演中だ。
その初日の直前に、佐々木のインタビューが実現。一筋縄ではいかない本作の内容と、舞台に対する思い、そして公開されたばかりの『嘘八百』の新作について話を訊いた。
取材・文/吉永美和子 写真/渡邉一生
■ 「関西のお客さんは、笑いに対して度量が広い」
──あけましておめでとうございます。お正月はやっぱり、京都のご実家で過ごされていましたか?
はい。実家(佐々木酒造)で新酒をいただいておりました。本当に寝て食べて呑んで、食べては寝るだけだったんですけど、なんでこんなに体が疲れるんやろう? と(笑)。明日が初日やから(※取材は1月5日)、しっかりせなあかんなあ、台詞を間違えないようにしないとなあと思ってます。
──この作品は、東京でひと足先に拝見させていただいたのですが、美術も音楽も不気味な雰囲気ながらも非常に凝っていて、ほかのコメディ作品にはあまりないムードだったのが、かえって面白かったです。
まずみなさん、チラシを見てから行くと「ええ? 全然違うやん」ってなりますよね(笑)。

──チラシの佐々木さんはパンキッシュな出で立ちでしたが、実際の舞台はハゲ頭の老人ですからね。
舞台はすりガラスみたいな部屋だし、変な笛の音がずーっと鳴っているし、たまに犬の遠吠えとか、耳をつんざくようなベルの音が入るし・・・「なんなのこれ? ちょっと怖いなあ」というところから入っていくんですよ。喜劇のなかにも陰影があり、奥行きがあるのが、演出の(シルヴィウ・)プルカレーテさんの真骨頂だと思っています。
──佐々木さんが演じるアルパゴンは、金に汚いうえに、息子の恋人と結婚しようとする、とんでもなく非道な親父ですが、どんな風にキャラを作っていきましたか?
プルカレーテさんに「昔のイタリアの喜劇には、こういう若い娘と結婚したがるケチなジジイという、典型的な役があるから、そんな感じで」と言われたんです。とはいえやっぱり主人公だし、笑ってもらえた方がいいので、迷惑でイヤな感じが、1周回ってチャーミングという風に作れたらいいなあ、と思っていました。

──それってかなり、微妙な案配ですよね。
だからそこは、お客さまと一緒に作った感じです。初日が開いてから、お客さまの反応を「あ、ここは楽しんでもらえてるな」「思ったほど(笑いが)来ないから、前振りをもっとこうしよう」と感じながら、本番中も作っていきました。でもやっぱりプルカレーテさんの、ちょっとノッキングするようなテイストは、絶対残しておきたいと思ってましたね。
──確かに観客が気持ちよく笑うというよりも「あれ、これって笑うところ?・・・だったね」みたいに、少し足踏みしてから笑う空気になっていたのが、逆に愉快でした。
そうそう。「わ・・・らって・・・いいのか?」「笑っちゃったけど、う~ん」みたいな、いろんな笑いがあって。ずっとなめらかにテンポよくというのではなく、わざとテンポを悪くしたりするんですよ。プルカレーテさんから授けていただいたものは、ちゃんと育てたつもりです。(東京公演の劇場の)芸術監督の野田秀樹さんは、ゲネプロを観てめちゃくちゃ笑ったあとに、楽屋に来て「おもしれえよ、これ! ただお客さん、最初笑わないかもしれないな」と言ってました(笑)。
──この反応を予言していたと。さすがですね。
でも関西のお客さんは、そういう笑いに対して度量が広いというか、絶対引き受けてくれると思うんです。(大阪公演の前に)東京や宮城でだいぶ練り上げて来たから、楽しんでくれるし、笑ってくれるんじゃないかなと思っています。
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