ベリーグッドマン、応援歌を歌う理由「僕らが励まされてる」

ベリーグッドマン(左からHiDEX、Rover、MOCA)
『ライオン』『ライトスタンド』など頑張る人の背中を押す「パワーソング(応援歌)」が代名詞となっている、大阪出身の3人組ボーカルユニット・ベリーグッドマン。プロ野球ではなんと10球団24名の選手が彼らの楽曲を登場曲に使用しているほか、高校球児ら部活に励む学生からも高い支持を集めている。
さらに近年は、大切な人を歌った『それ以外の人生なんてありえないや』が、配信から3カ月足らずでストリーミング再生700万回超えを突破するなど、カップルや夫婦にも寄り添う楽曲を発表しており、いまや彼らは全国民を応援しているといっても過言ではない。しかしコロナ禍でライブ自粛など彼ら自身も大変な状況のなか、人々の背中を押し続けるのはなぜなのか。メンバーのRoverとMOCAに話を訊いた。
「みんな戦ってんねんなって伝わったウェディングツアー」(MOCA)
──4月から延期などもありつつ開催された、全国12都市の結婚式場を巡るライブツアー『ベリーグッドマンへの道 WEDDING TOUR 2021』。コロナ禍で結婚式を思うように挙げられなかった新郎新婦を招待するといった試みなど、これまでなかなかないライブになったと思います。やってみていかがでしたか?
Rover「幸せな空間でしたね。結婚式場がそうさせてくれたのもあるし、みなさん楽しんでくれてたかな、と思います。今は声が出せないので、ずっとすべってる風なんですけど(笑)」
──コール&レスポンスができないですもんね(笑)。でもベリーグッドマンは歌詞をじっくり聴きたい曲が多いので、こういった会場でのライブも合うんじゃないかなと思いました。
Rover「そうかもしれないですね。僕らもライブハウスよりホールとかのほうが良いなと思ってる理由はそれで。入り込みやすいというか、僕らに合ってる気がする。フェスになると、僕らのことを知らない人にパンチを打つことを心がけるのでまた違いますけど、ファミリー(ファン)とは結婚式場とかのほうが、和やかな雰囲気に包まれて良いなと思いました」
MOCA「結婚式場でのライブは『それ以外の人生なんてありえないや』という曲があったからできたこと。自分たちが納得できる曲を出せて、コロナ禍でもガイドラインを守って動いていこうっていう前向きなチームだったので、その延長線上でこういった形でやれた。やってみて気づいたのが、いつもより涙を流してくれる瞬間が多かったなって。ウェディングツアーという名目ではあったけど、みんなそれぞれの思いがあって、戦ってんねんなってこっちにも伝わってきて、それを感じられて良かったし、またその思いを持ち帰って新曲などに取り組みたいと思いましたね」
──ベリーグッドマンはスポーツ選手とか学生への応援ソングのイメージでしたけど、今回のツアーを見て「もう対象、全国民やん」って思いました。
MOCA「ベリーグッドマンなんでね! でも応援ソングって自分たちで決めているわけでもないんですよね。僕たちが1曲目に作った『コンパス』って曲は、どこまでいっても『世界平和』っていうのが1番でかいテーマとしてあるんです。でもそれってなんなんやろって考えたときに、自分が幸せにできる人って自分の半径1メートル以内、家のなかで完結してることに限られてるよなと思って。この曲を聴いた人がそういう思いになってハッピーの連鎖が続いていけば、というのがスタートだったので、その思いは変わってないですね」
──でも、コロナ禍でベリーグッドマン自身もライブがなくなったり、辛いことも多かったと思うのですが。逆に励まして欲しいとか、ちょっと落ち込んでしまったことはなかったんでしょうか。
MOCA「Roverとも話したことがあるんですけど、ほんまの激励って励まされたほうが元気になるのはもちろんですけど、逆に励ましてるほうが実は1番鼓舞されて励まされてるんですよ。相乗効果になるって思いが強くて、だから僕たちはやり続けられてるんやと思います。それにそもそも僕は楽観主義なんで、いつか明けるだろう、明けたら笑い話にしようぜって。パンデミックをともに乗り越えた伝説の奴らになろうぜっていう思いがあるので、1回も気持ちが落ちてないんですよね」
Rover「僕も後ろ向きではないね。何かが決まれば頑張るし、決まらなかったら受け入れる。僕がやらないといけないのは、過去の曲を捨て続けて今新しいものを生み続けるだけかなって」
──捨て続けるとは?
Rover「記録として残っちゃってるんで捨てる必要はないとしても、アーティストとして何かを作る者としては新しいものを生み続けなくちゃいけない。でもその賞味期限はいつなんやろって恐怖はありますけど。応援する気持ちがいつ出てこなくなるんやろって」
──そんなことを考えるんですね。
Rover「考えますよ。歌詞も同じことばっかり言ってるなとか、言ってもいいけど立て続けに言い過ぎるの良くないんで、時期をずらして言おうとか。しかも応援ソングを50年続けられるとは考えられないじゃないですか。でも今、元気に脂がのってるときに僕たちは何ができるのかといったら、向こう10年を考えて『やっぱ俺たちは応援歌やな』っていうのは思いますよね」
MOCA「そうやな」
Rover「トータス松本さんとか、応援歌を歌ってるイメージないけどめちゃくちゃ励まされるじゃないですか。『イエーイ』って言葉だけで励まされるというのが、僕のなかでゴールやと思うんです。つらつらと何かを言うわけでもなく。僕たちはテンポの良い曲をやってるんで、いろいろ言っちゃってるんですけどね。本当に思わないと歌われへんってことは心で歌ってるのと同じやとしたら、何を歌っても響くと思うんですよね、振動として。あ、この人マジやなって。僕はそれに挑戦してます」
MOCA「今の良い言葉だったんで、僕が言ったことにしてください」
Rover「おい、やめろ!」

──言葉として応援しすぎずとも、応援する・・・。以前、おふたりが友人の方に「お前ら、背中押しすぎや!」と言われたという別のインタビューを拝見したのですが。
MOCA「当時そういったときもありました。メジャーにいっていろんな期待を受けて、もっともっとって思いがあった。『ライオン』と同じBPMで4〜5曲作ってたときもあるしな。あの曲を越えなければってなってたところで、友人にその言葉を言われて、1回スッと『コンパス』の位置に戻ってこれたのが『アイカタ』という曲でした。寄り添うというか、いつも隣におる人に感謝を伝えようっていう。そこに一旦、コロナの時期に戻れたんです」
Rover「うん、でも仕方ない。もっともっとって背中を押しすぎること、通るべくして通る道やったと俺は思ってるよ。ただ、まじで最近『応援歌』について考えますね。でも、応援する気持ちにゴールなんてないし、だから背中押しすぎててちょうどいいとも思うし。無理なら『応援歌をやめまーす』って言った方がいい。できないんだったら作るしかない」
『ベリーグッドマン 超好感祭 2021「ナツノオモイデリリースパーティー編」』
日時:2021年9月23日(祝・木)・18:00〜
会場:舞洲スポーツアイランド 空の広場
料金:ドライブインチケット一般【車枠指定】20000円、スタンディング一般【立ち位置指定】6800円
※3歳以上チケット必要
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