「だし巻き定食」の存在に関東人驚き、白飯に合うワケを探る

大阪・天満橋「一富士食堂」の「出し巻定食」(660円)
先日テレビ番組で、関西人が「だし巻き玉子」をおかずにご飯を食べる姿が紹介され、ツイッターでトレンド入りするなど話題となった「だし巻き定食」。関西以外の人たちからは「信じられない」「え、卵焼きメインでなんでご飯が進むの?」など戸惑う声が多く上がった。
それとは反対に、関西で生まれ育った筆者には、だし巻き玉子がおかずとして認識されないことに驚いたが、そもそも関西のだし巻きと関東のだし巻きは作り方からして異なるようだ。
関西のだし巻き玉子がなぜご飯に合うのか? 創業以来「だし巻き定食」を提供し続けている大阪の老舗定食屋や、関西のダシといえば、の「ヒガシマル」にその由来を訊いた。
ダシたっぷり、あっさりした味わいのだし巻き
大阪・天満橋で創業時から60年以上にわたって「だし巻き定食」を提供している「一富士食堂」(大阪市北区)。だし巻き玉子をメインに、ごはん、味噌汁、漬物がセットになったシンプルな定食を求めて、昼時には近隣のサラリーマンやOLが駆けつける。そして夜にはだし巻きを肴にビールを飲む・・・そんな光景が毎日当たり前に繰り広げられてきた。

同店の店主・加藤さんによると、「関西のだし巻きは、昆布とかつおのダシをたっぷり入れて、塩や醤油も足しますからね。甘くなくてしょっぱい味付け。茶碗蒸しなんかに近い味で、とてもごはんに合います。うちではうどんと同じダシを使ってます」と、味付けの特徴を話す。
「近所のサラリーマンの方々も東京に転勤で行かれて、久しぶりに大阪に帰ってくると『そうそう。この味が向こうにはないねん!』と、うれしそうにだし巻き定食を食べてくださいます」と話すように、おかずとしてのだし巻きが、関西人の食文化に深く根付いていることを日々実感するという。
関西のダシメーカーに訊く、なぜご飯に合う?
関西のダシといえば、年間2億食(!)を売り上げるうどんスープなどを生み出したダシの名門企業「ヒガシマル醤油」(本社:兵庫県たつの市)。

「私も当たり前にだし巻きはご飯のおかずだと思っていました!」と同社の広報さんも驚きを隠せない。「玉子に京風割烹白だし、またはうどんスープを入れるだけで、あっという間においしいだし巻きができるのですが、どちらも昆布とかつお節、そして淡口醤油で仕上げています」といい、ご飯との相性は抜群だそう。ちなみに淡口醤油は約340年前に同社と同じ兵庫県たつの市で誕生している。
昆布とかつおダシ、淡口醤油で作る関西に対して、関東では、濃口醤油を使い、砂糖も入れるため甘塩っぱい玉子焼きが主流。これは江戸時代からそれぞれに伝わってきたものだとか。
気軽にだし巻きを楽しめるよう、ついに缶詰にも
そんなだし巻き玉子を缶詰にしちゃったのは、世界各地の缶詰を集めたバーでも知られる缶詰専門店「mr.kanso」。老舗玉子メーカー「京都 吉田喜」とコラボし、京風だしがじゅんわり染み込んだだし巻き玉子缶を作り上げた。

缶詰にするため、本来長期保存の効かないだし巻きを1年かけて開発。2011年に商品化して以来、多くの人から愛され、約10年経った今でもリピーターは絶えないという。
こちらも同様に、昆布とかつおのダシをしっかりと効かせ、ふっくらした食感になるよう何重にも丁寧に巻き上げられただし巻き。「お酒のつまみはもちろん、ご飯のおかずの一品として購入される方もとても多いです」と勧める。
◆
家でも関西風だし巻きは作ることはできる? 「ヒガシマル」さんに簡単な作り方(4人分)を訊くと、卵4個を割りほぐし、京風白だし大さじ1杯、水大さじ3杯を加えてよく混ぜ、熱した卵焼き器にサラダ油をひいて卵液を数回に分けて流し入れ、巻く・・・を繰りかえす。
卵焼きよりも水分が多いので、ヘラなどを使うと巻きやすいとのことだ。また、みじん切りにした柴漬け、ひじきなどを入れてアレンジすると、よりご飯に合うという。

関西の日常食である「だし巻き玉子」。ダシたっぷりのだし巻きを、ごはんのおかずとしてぜひトライしてみてほしい。
取材・文・写真/野村真帆
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