自粛要請解除もまだまだ続く、個人事業主のリアルな苦悩

大阪市内で日本料理店を営むKさん(36歳)
独自の判断基準「大阪モデル」の7日連続達成から、5月16日・午前0時から段階的に休業要請が解除された大阪。しかし、以前のような活気ある街になるのはしばらく時間がかかりそうだ。
そんななか、飲食店を営む個人事業主のどんな思いを抱えているのか。家賃や人件費などの固定費が大きくのし掛かる個人事業主のリアルな苦悩を取材した。
「労力に対して、利益は本当に薄い」
3月後半に新型コロナウイルスの感染が拡大したことから、大阪府では医療崩壊を防ぐために外出自粛やテレワークを推奨。4月7日には政府から緊急事態宣言が発令され、大阪は特定警戒の対象エリアとなった。
この間、飲食店で歓送迎会はほとんど中止になり、予約は一斉キャンセルに。多くの式典やイベントも中止になり、観光客がいなくなった中心地は閑散に。多くの個人事業主が1年のうちの大きな「稼ぎ時」を失ってしまった。
2019年11月、大阪市内の某地に日本料理店をオープンしたKさん(36歳)は、「年末にかけてお客さんに認知され、あまり動かない2月でも好調でした。これなら、4月の歓送迎会で一気に飛躍すると思っていたんですが・・・」と肩を落とした。
「利益は少ないが、やる意義はある」
そんななか、Kさんが始めたのは、弁当や総菜のテイクアウト販売。これまで店内で提供していたランチは1500円だったが、お弁当は1300円(予約制)でスタート。好調ではあるものの、不安はまったく払拭できてないという。
「容器が200円、中身が600円として、利益は1個約500円。10個売っても5000円ほど。労力に対して、利益は本当に薄いです。それでも、やらないよりはマシという感じ。とにかく徹底して廃棄ロスを無くすようにしてます。でも、利益率の高いアルコールなどの飲み物の注文がないため、収益はなかなか上がりません」と話す。

それでもKさんは、テイクアウトは食材の仕入れ先に対してやる意義はあるという。「お客さんが減ると、仕入れも減り、それが連鎖してきます。小さい店なので微々たるものですが、なるべく、いつもの仕入れ先で買うようにしています。少ないですが仕入れ先にも利益を出し、継続させられるという点では大きな意味があるんです」と語る。
また、Kさんの店は国の「持続化給付金」、大阪府の「休業要請支援金」の対象にもなっているが、「とても助かりますが、このままの状況だと9月まで持たないです」という。そして、「従業員を抱えている知り合いのお店は、150万円じゃ全然足らず、夏には給料を払えなくなると言っていて。先行きが見えないなかで答えを探さないといけないのが、本当に難しいです」と不安を口にする。
かつての賑わいを取り戻すまで・・・
大阪・吉村知事は5月14日、独自の指針「大阪モデル」の基準達成から、自粛要請の緩和を発表。飲食店は20時までの営業(酒類の提供は19時まで)が2時間延長された。しかし、さまざまな感染防止策はおこなっているものの、再開の目途は立たない。
「うちの場合は年配のお客さんが多いので、もし感染してしまったらと慎重にならざるを得ない。万が一、店で発生でもしたら、すぐさま閉店に追い込まれます。もし再開するなら、入場制限はもちろん、完全予約制にするなど、さらに工夫はしなければならないです」とKさん。

それと同時に、飲食店共通の悩みとして、以前のようにお客さんが戻ってきてくれるのか、そういう心配もある。実際、ビジネスマンは在宅ワークが主流となっており、また若者たちの間ではオンライン飲み会が定着しつつある。
「店に行かなくても満足する人が増えつつある。それに、解除後に再度自粛要請が出たら、精神的なダメージは相当大きい。やる気はあるけれど、思いっきりできない。本当になにが正解か分からない。ワクチンができるまでは、なかなか本格的な営業再開は踏み出せない。それまで絶対に生き延びるしかないです」とKさん。
16日に休業要請の段階的な解除がおこなわれた大阪だが、国の緊急事態制限は継続のまま。コロナ終息が見えないなか、個人事業主の戦いは長期におよびそうだ。
取材・写真/岡田由佳子
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