国宝2件ふくみ珍しい座像も、毘沙門天像の名品が奈良に集結

国宝 毘沙門天・吉祥天・善膩師童子立像 木造 素地 像高 [毘沙門天] 175.7cm [吉祥天] 100.0cm [善膩師童子] 95.4cm 平安時代 [毘沙門天] [善膩師童子] (11世紀) [吉祥天] (大治2年:1127) 京都・鞍馬寺
仏像ファンに朗報。仏像のなかでも毘沙門天像に注目した展覧会が、奈良国立博物館(奈良市登大路町)で、2月4日よりおこなわれている。
毘沙門天は、仏教世界や仏法を守護する四天王(持国天、増長天、広目天、多聞天)のうち、北方を守護する多聞天が単独の像として造像、信仰されたもの。日本では、仏教修行者を守り、これに福を与えたり、念仏の信者を保護する存在と考えられた。こうした福徳的な性格により、毘沙門天は七福神の一尊としても登場する。また、法華経のなかの「観世音菩薩普門品」では、観音菩薩が衆生を救うために三十三の姿に変化するうちのひとつが毘沙門天とされている。

このように日本の毘沙門天は多彩な姿に展開されており、本展ではそれらの魅力を選りすぐりの作品で紹介する。出陳件数は37件(うち国宝2件、重要文化財18件)。半世紀ぶりに特別出展される京都・鞍馬寺の「毘沙門天立像」(左右に吉祥天と善膩師童子を配した三尊構成)、かつては平安京の羅城門に安置されていたといわれる京都・東寺の「毘沙門天立像」、めずらしい坐像の京都・清凉寺「毘沙門天坐像」など、いずれ劣らぬ名品ぞろいであり、毘沙門天像の魅力を味わうまたとない機会になるだろう。料金は一般1500円、会期は3月22日まで。
文/小吹隆文(美術ライター)
『毘沙門天-北方鎮護のカミ-』
期間:2020年2月4日(火)~3月22日(日)※月曜休(2/24開館)
時間:9:30~17:00(金土曜~19:00まで)※入館は閉館30分前まで
※同時期に開催の特別陳列「お水取り」とは休館日と開館時間が異なります
会場:奈良国立博物館(奈良市登大路町50 奈良公園内)
料金:一般1500円、大高生1000円、中小生500円
電話:050-5542-8600(ハローダイヤル)
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