10年ぶりの長編、照屋年之監督「やっとチャンスをいただいた」

「芝居が上手い、に尽きますよね」(照屋監督)
──今回の映画って、前回のようなコメディではないにしても、どんなにシリアスなシーンでも徹底的にオチをつけるというか、笑いで締めるのがなんといっても素晴らしいですよね。
僕が12年間撮ってきた映画を見直すと、やっぱり前半はボケの羅列なんですよね。やはり「笑い」をやってきた分、笑いを入れたくなる。その結果、物語の起承転結を弱めてたんです。でも、脚本の書き方も徐々に磨かれてきて、今はちょうど良いバランスになってきた。人生の半分以上、お笑いの世界にいるので、そのテクニックは取り入れつつ、ちょうどよく配合できたと思うんです。カフェオレのように。
──カフェオレというと、これまでの作品は沖縄の俳優さんをメインに使われていますよね。でも、今回の主軸となる一家は全員沖縄の方じゃない。ま、かといってなんの違和感もないし、とりわけ大島蓉子さんなんか違和感ゼロなんですけど(笑)、そこは何か意図されたのですか?
基本的に、「芝居が上手い」に尽きますよね。沖縄にも器用な役者さんはいるんですが、僕のなかでこの役は・・・と思ったとき、やっぱり奥田さんや水崎さんに気持ちが行きました。かといって、僕もこれはスゴく悩む部分で、大阪を舞台にした映画で大阪以外の人を使ってるときもあるじゃないですか。でも、大阪の人からすると「その大阪弁、うぅぅぅ、首痒くなる」みたいになりません?

──関西人は特にそのアレルギーが強いです(笑)。
それも怖かったんですよ。でも、沖縄の人から「あの訛り、変だよ」というクレームは一切ないです。筒井道隆さんなんて休み時間もずっとテープレコーダーを耳に当てて、沖縄の人が吹き込んだ訛りを聞いているんですよ、音楽のメロディを覚えるように。そこは各々で役作りしてもらったのでありがたかったですね。水崎さんはお腹を付けたままプライベートも過ごしてもらったり、全部ありがたいです。
──メインキャラクターを演じるみなさんが演技巧者なのは自明なんですけど、そこにいきなり、水崎の彼氏としてハイキングウォーキングの鈴木Q太郎さんが闖入(ちんにゅう)して来るとは(笑)。
え、お前? って(笑)。島にやって来る前の水崎さんのセリフでは、男前のイメージがありますからね、はっはっは(笑)。
──それも鈍感力の権化のような男を絶品で。でも沖縄に住んではいない、その土地の習俗を知らない大多数の観客の代弁役でもあるという。
お客さんに伝えなくてはいけない代表的な役割が必要だったので。Q太郎が演じた神山亮司というのは、実は結構重要な役なんですよ。

──さらにひときわ大きな役割が、大島蓉子さん演じる信子伯母さんですよね。あの一家にとってだんだん重要度が増していくんですが、特に儀式の後に、あれだけの大スペクタクルを指示する役割になるとは。
女性が動けるとスムーズに進んでしまうので。やっぱり足枷を作ろうと思ったときに、ぎっくり腰が思い浮かんだんですよね。どこかで怪我させるとかいろいろ考えたんですけど、いや、これはぎっくり腰の方が笑って泣けるだろうなと。しかも、アザラシのように寝て欲しかったんで、絶対に手を動かさないでくださいって(笑)。
──修羅場なのに笑えるって(笑)。しかも、映画全体のテーマである「命を繋ぐっていうのはこういうことなんだよ」という言葉に繋がっていく美しさがあります。繋ぐというと、水崎さんの大きくなったお腹に、大島さんが「ちょっと借りるよ」と椿油を塗るシーンがありますね。その時点では「何を借りた」のか僕らは分からないわけですが、後に出てくる儀式の場において、キレイになった頭骨に最後に化粧するのが椿油だという。生と死の連環、また丸みを示す形状の連環に繋がって、また美しさが増すわけですよね。
脚本書いていて、楽しいところってそういうところなんですよ。最初は雑に流れで書くじゃないですか?どうしようかなぁって悩んで、こことここを繋げてみようかなとか、このところ事前に伏線やっておいた方がいいかなとか考えて。それがどんどん出来てくると面白いんですよ。
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