2018年・上半期、外国映画ベスト3

左から田辺ユウキ、春岡勇二、ミルクマン斉藤の座談会メンバー
数々の映画メディアで活躍し、Lmaga.jpの映画ブレーンである評論家 ── 春岡勇二、ミルクマン斉藤、田辺ユウキの3人が大阪市内某所に集結。お題は「ホントにおもしろかった外国映画・ベスト3」。2018年・上半期公開の作品について語った。
「観てる途中で正座しようかと思ったくらい」(田辺)
──2018年上半期に公開された外国映画のなかで、特に印象に残った作品はなんでしたか?
斉藤「ずばり『ファントム・スレッド』が1位」
田辺「僕も1位です(笑)。ちょっとずば抜けてる、お手上げです」
春岡「あれはスゴいよな、もうごめんなさい!ってぐらい」
田辺「僕、観てる途中で正座しようかと思ったくらいですもん(笑)」
斉藤「個人的にはもう『ファントム・スレッド』、『フロリダ・プロジェクト』、『シェイプ・オブ・ウォーター』で上半期ベスト3は決定かな」

田辺「『ファントム・スレッド』は最高のコメディ、最高に変態的やし」
春岡「あれはちょっと参った。あんな映画観た日には、もうハイハイみたいな」
田辺「それに最後、毒キノコで人をおかしくするなんて、久しぶりに聞きましたよ(笑)」
春岡「あのシーン、たまらんよな」
斉藤「ドン・シーゲルやん、まるで」
春岡「あぁ、『白い肌の異常な夜』ね。あれのパロディなんだよね」
斉藤「って、やっぱり思うのよね。どこまでも美しく、だけどいちいち意地悪く笑わせてくれる。しかもあれ、ポール・トーマス・アンダーソン監督(以下、PTA)がカメラを自分で扱ってるっていうのがなあ。まあ、日本の撮影システムとは根本が違うけど、あんなん撮れるんやったらロバート・エルスウィット(PTA作品で有名な撮影監督)要らんやろ」(監督自身はネットニュースにて否定、チームとして協力したと述べている)
田辺「あと、ジョニー・グリーンウッドの音楽が鳴り止むことは一切なくて、ひたすら美しい」
斉藤「『バリー・リンドン』(スタンリー・キューブリック監督の1975年作品)だよな。最後に献辞が出たジョナサン・デミの『メルビンとハワード』とか、まあ元ネタは察しが付くんだけどそのままではない。あと、キャスティングが最高やん。ヴィッキー・クリープスの絶妙なブスぶり、絶妙な肉の付き方!」
春岡「いちいち可笑しいし、ずっと観ていたくなる中毒性。もう何でもやってくださいみたいな。最高だよ、ホント」
田辺「1位は完全に『ファントム・スレッド』ですね」
春岡「素晴らしい。絶対にそうでないといけないと思う。ただ、『フロリダ・プロジェクト』、観れてないんだよ」
田辺「僕もそうなんですよ」
斉藤「そうなんや。やっぱり天才を感じるなあ、ショーン・ベイカー監督には」
田辺「ここ近年、確かに才能を感じる作家といえば、ショーン・ベイカーですね」
斉藤「iPhone3台で撮った『タンジェリン』は観たでしょ?」
田辺「あれを見せられたら、そう思わざるを得ないですよね」
斉藤「スタイリッシュで、ヴィジュアルはキマリまくってるけど、骨がある。根っからの社会派だけど、声高なメッセージなんて示さないしポップに攻める。で、最後でぶっ飛ぶ(笑)」
──ショーン・ベイカーって、日本ではあまり知られてないかもしれないですね。ウィキペディアも無いですし。
斉藤「え、ないの!?」
──英語版だけですね。
斉藤「そうなんや。パートナーがおそらく韓国の女性で、一緒に作品のプロデュースしてるねんけど、いつも底辺とか不法移民とかをテーマに扱ってて。そういう人たちを徹底リサーチして撮ってる。でも、ガチガチのリベラルには見えないってところが偉いよね。『フロリダ・プロジェクト』はリーマンショックで家を追い出された人たちが、ディズニー・ワールド周辺の・・・」
春岡「なるほど、それで『フロリダ・プロジェクト』なんだ」

斉藤「そう、ディズニー・ワールド周辺の、ものすごい紫とか真緑に塗られたさびれたモーテルを月極めで借りてるの、一家で。そういう地域の話。で、ガキが悪戯しまくるという(笑)。映画の最後には、戦前の「ちびっこギャング」へのエールとしてスタッフ、キャストの名前がクレジットされていて」
春岡「それは観とかないと。あと、俺は『シェイプ・オブ・ウォーター』が一番面白かった。まぁ、真っ当な意見で恐縮だけど(苦笑)」
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