テーマを疑え、国立国際美術館の収蔵作品

テーマ「タイトル」の展示室から、岡﨑乾二郎の絵画3点。タイトルがものすごく長いのだが、その文章と画面のギャップから想像を巡らせるのも楽しい
「国立国際美術館」(大阪市北区)で、7月1日まで開催の『視覚芸術百態:19のテーマによる196の作品』展は、美術館のコレクションで構成された、いわゆる「収蔵品展」ですが、ほかの収蔵品展とはひと味違う、独特の展示となっています。
通常、美術館の収蔵品展は、作品の「時代」や「地域」、あるいは「ジャンル」を軸に分類・展示されます。しかし現代は、あらゆる領域で情報が氾濫し、グローバル化と多様化が進んでいます。特に現代美術ではその傾向が顕著で、従来のカテゴライズでは対応が難しくなってきました。そこで考えられたのが「テーマ別」という方法です。既に欧米では一部の美術館が実践しており、本展でも19のテーマを設定して、多種多様な美術作品の繋がりが感じ取れるような展示がおこなわれています。作品の総数は196点(うち、新収蔵品が約50点)。美術館の2フロアを用いた大規模な展覧会です。

地下3階の入口すぐの部屋は「空間」がテーマとなっており、ヘンリー・ムア、高松次郎、竹岡雄二、宮脇愛子らの作品がゆったりと配置されています。時代でいえば1960年代から90年代にまたがり、表現方法も人間のフォルムを抽象化したヘンリー・ムアから合板の壁のような竹岡雄二まで、実に多様です。また、同じフロアの「タイトル」と題された部屋には岡﨑乾二郎の絵画3点が見られます。色彩の美しさが際立つ作品ですが、タイトルが長文なのも特徴で、そのギャップから想像を巡らせるのも良いと思います。

地下2階の「偶然」の部屋では、元永定正、モーリス・ルイス、ヴォルフガング・ティルマンス、柳幸典らの大作絵画や写真などが圧倒的な存在感を放っており、「流用」の部屋ではアメリカのポップ・アートの巨匠アンディ・ウォーホルとロイ・リキテンスタインの隣に日本の横尾忠則が陣取っています。この部屋にはマルセル・デュシャン、小川信治、シェリー・レヴィーンの作品もあり、ひねりの効いた作品が好きな人におすすめします。
このように、テーマから連想される「類似性」から作品をセレクトしているのが本展の特徴です。テーマを頼りに作品を鑑賞すれば、作品の新たな魅力が見つかるかもしれません。逆にテーマを疑ってかかるのもありだし、美術の知識がある人ならテーマに自分なりの解釈を加えて鑑賞することもできます。その意味で本展は、初心者からマニアまで幅広く対応した懐の深い展覧会と言えるでしょう。
取材・文・写真/小吹隆文(美術ライター)
『視覚芸術百態:19のテーマによる196の作品』
期間:2018年5月26日(土)〜7月1日(日)※月曜休
時間:10:00〜17:00(金土曜〜20:00)※入場は閉館30分前まで
会場:国立国際美術館(大阪市北区中之島4-2-55)
料金:一般900円、大学生500円 ※6/2は無料観覧日
電話:06-6447-4680(代表)
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