和歌山で、印刷と美術がテーマの展覧会

前田藤四郎《時計》1932年 リノカット、銅凸版
「和歌山県立近代美術館」(和歌山市)で、「印刷術」が美術に与えた影響を探る展覧会『産業と美術のあいだで』が、6月24日まで開催中です。
美術の表現は、世の中の様々な事象から影響を受けて生まれてきます。たとえばフランス印象派の誕生は、チューブ入り絵具の開発と鉄道の発達抜きには考えられません。そのおかげで画家は屋外で制作をするようになり、郊外にも気軽に出かけられるようになったのです。また20世紀のポップアートは、第2次大戦後の大量消費社会がなければ生まれなかったでしょう。

日本では昔から木版の技術が発展していましたが、明治時代になると西洋から、活版、銅板、木口木版、石版といった新しい印刷技術が導入され、近代的な印刷産業が発展しました。それらを用いた印刷物は人々に新鮮な視覚体験をもたらし、西洋の印刷術を用いた版画作品が生まれます。また、油彩画のなかに印刷物が描かれたり、印刷物を画面に貼り付けた作品も制作されるようになりました。

本展では、前田藤四郎などの版画作品、ロートレックの石版作品、明治時代の引札(広告チラシ)といった印刷術を用いた作品のほか、佐伯祐三によるポスターのある風景画、画中に版画や印刷物が登場する高井貞二や浜地清松の絵画など、印刷術と密接な関連がある美術作品が紹介されます。現代はデジタル技術が発達して、印刷の概念自体が変化しつつあります。19〜20世紀の美術作品を通して、表現とメディアの関係を考えてみるのはいかがでしょうか。
文/小吹隆文(美術ライター)
『産業と美術のあいだで 印刷術が拓いた楽園』
期間2018年4月14日(土)~6月24日(日)※月曜休
時間:9:30~17:00 ※入場は16:30まで
会場:和歌山県立近代美術館(和歌山市吹上1-4-14)
料金:一般510円、大学生300円 ※第4土曜(5/26、6/23)は「紀陽文化財団の日」として学生無料
電話:073-436-8690
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