見る者を”不思議”へ誘うマグリット

「マグリット展」会場風景
20世紀ベルギーを代表する画家、ルネ・マグリット(1898~1967年)の大回顧展が「京都市美術館」(京都市左京区)で開催されています。
マグリット作品の特徴を一言でいうと「不思議」に尽きます。言葉とイメージの関係や、時間、重力といった、我々にとっての常識を超えた世界が展開されているからです。たとえば、古城をいただいた巨石が宙を漂う、人間の素足と革靴が融合する、真昼の青空なのに街路は夜景など、事物の意味、配置、関係をずらすことで見る者に謎を仕掛けてくるのです。
彼はシュルレアリスム(無意識や夢など、現実の向こう側の世界を表現した美術運動)を代表する作家に挙げられています。シュルレアリスムでは非合理的な世界を表現するために、自動筆記(ものすごく眠い時に文章を書く、超高速で文章を書くなど)、コラージュ(異なる素材を組み合わせる)、フロッタージュ(こすり出し)、デカルコマニー(転写)といった技法を駆使しました。しかし、マグリットは違います。オーソドックスな絵画の中に謎や神秘を忍ばせるのです。そのジェントルなたたずまい、知的ゲームのような様相が、21世紀の今も幅広い支持を受ける理由だと思います。
本展では、初期から晩年まで124点もの作品が展示されています。《大家族》《白紙委任状》《ピレネーの城》など多くの美術ファンが知る代表作はもちろん、「ルノワールの時代」「ヴァーシュ(雌牛)の時代」といったこれまで日本ではあまり見られなかった1940年代の作品や、若い頃の広告の仕事(アール・デコ調)も紹介されており、ビギナーからディープなファンまで新たな発見が得られるでしょう。

筆者は前回の「マグリット展」(2002年)も見ましたが、今回のインパクトはそれ以上だと思います。彼のような巨匠の回顧展はそう滅多に見られません。次回まで10年超待つこともざらなので、興味のある方は見逃し厳禁です。
取材・文・写真/小吹隆文(美術ライター)
『マグリット展』
期間:2015年7月11日(土)〜10月12日(月・祝)・月曜休 ※7/20、9/21、10/12は開館
時間:9:00〜17:00(入館は16:30まで) ※9/19、20は20:00まで
会場:京都市美術館(京都市左京区岡崎円勝寺町124 岡崎公園内)
料金:一般1,600円、高校・大学生1,100円、小中学生600円
電話:050-5542-8600(ハローダイヤル)
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