古と現代、時空を超えた美の競演

第1展示室の会場風景
みなさんは琳派(りんぱ)をご存知でしょうか。
琳派とは桃山時代後期に本阿弥光悦と俵屋宗達が創始した美術ジャンルで、江戸時代中期に尾形光琳・乾山兄弟により発展、その後、酒井抱一、鈴木其一などが登場し、近代まで断続的に継承されました。琳派の特徴は、大和絵の伝統をベースにした豊かな装飾性とデザイン性で、その影響力は現代にも及ぶと言われています。
今年は琳派誕生から400年に当たるため、京都を中心に数多くの関連企画が行われています。本展もその一つですが、いわゆる「琳派展」ではありません。先人の営為へ眼差しを向けつつ、常にその時代の最先端として活動した琳派の精神をリスペクトして、細見美術館の所蔵品と3人の現代美術作家がコラボを繰り広げているのです。
第1展示室の作家は名和晃平。彼は円山応挙筆《若竹に小禽図》(江戸時代)や、《金銅春日神鹿御正体》(南北朝時代)などからインスピレーションを得て、剥製のカナリアや小鹿を大小様々なガラスビーズで覆った立体作品等を出品しています。
第2展示室では、独自の「ニッポン画」を提唱する山本太郎が登場。彼が敬愛する神坂雪佳をはじめ江戸後期から明治時代の作品をピックアップし、共通するモチーフやテーマを持つ自作と並列させています。
最後の第3室を担当するのは、陶芸家の近藤髙弘。彼は、自身の顔をモチーフにしたオブジェと仏具、自作の茶碗や陶筥と平家納経(模本)をはじめとする蒔絵や螺鈿の作品など多彩なアンサンブルを試み、濃密な美的世界を創出しています。

単独でも成立する作家・作品が時空を超えて競演することにより、過去、現在、そして未来へとつながる美術史の流れに身を置いているような感覚が味わえます。とても贅沢な、そしてセンス抜群の展覧会です。
取材・文・写真/小吹隆文(美術ライター)
「琳派四百年 古今展 ー細見コレクションと京の現代美術作家ー」
期間:2015年5月23日(土)~7月12日(日)
時間:10:00~18:00 ※入館は17:30まで 月曜休
会場:細見美術館(京都市左京区岡崎最勝寺町6-3)
料金:一般1,100円、学生800円
電話:075-752-5555
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