爽やかなのにクドイ? 怪優・イケテツこと池田鉄洋の新作舞台

『TRICK』や『サラリーマンNEO』などで、強烈な印象を残すこの風貌、みなさん見たことございませんか? ございますよね。では、この方のお名前は? ・・・と聞かれてすぐに答えられなかった方、この機会にぜひ覚えましょう。彼の名前は池田鉄洋、略してイケテツ!
今や個性派俳優として、お茶の間にも侵食している役者ですが、実は演劇界ではコメディ作家・演出家としても高く評価されてるのです。そんな彼が率いるコントユニット「表現・さわやか」の新作が、今年も関西に上陸。そこで! そのクドイほどさわやかな魅力を、鋭く解説いたします。
取材・文/吉永美和子 写真/本郷淳三
1 笑わせ仕様に変化?”さわやか”な顔。

自他ともに「笑わせる上で大きな武器」と認める、胡散臭さプンプン(すいません!)なご面相。『裸の銃』シリーズのレスリー・ニールセンに衝撃を受け、笑いの道を進むと決めた時から、次第にコメディ向きの顔になっていったそう。おそらくは国境をも超えるであろうオモシロ顔は、特に「空気読まないコメディリリーフ」をやらせたら天下一品。初の進行役を務める『額縁をくぐって物語の中へ』(NHK BS)でも、名画の世界にズカズカ入り込んで、その意外な背景を暴いていくなど、KYキャラを存分に生かしているのです。
「男前の役がしたい! という欲がある役者だったら大変でしょうが、人に喜んでいただく上では、この顔にデメリットはありません。普段でも“嘘くさい”と思われるのは大変ですけど(笑)」。とはいえシリアスな舞台では、この顔がギリギリの狂気やエキセントリックさを体現する大きな武器へと転化。そんなイケテツも絶品なので、TVや映画関係の皆さん、ぜひ一度シリアスな役もやらせてあげて!
2 苦笑するしかない”さわやか”な脚本。

もともと演劇を始めた動機は「コメディの脚本が書きたかった」というイケテツ。役者でブレイクした後に旗揚げした劇団[表現・さわやか]では、「春のパンまつりのシールを集めたら、目の前で本物の祭りが始まった」など、伝説に残りそうなほどくだらない苦笑系コントを、多数生み出している。
「キャラクターの面白さありきで書いているので、そうなるとストーリーやオチは二の次。しかもいわゆるツッコミ役がいないので、面白いかどうか判断できないネタが延々と続いて、観ているお客さんもどんどん妙なテンションになっていくという。それを私は“苦笑系”と呼んでます」。初めて長編映画の脚本に挑んだ『行け! 男子高校演劇部』でも、「キャラ第一、ギャグ第一」のポリシーは変えてないそう。「くだらねえ!」と蔑むように苦笑しつつも、数日経っても作品の中の様々なキャラが頭から離れなくなって、さらに苦笑。そんな負のスパイラル的な笑いこそが、イケテツの最大の持ち味なのです。
3 オモロさを生かす”さわやか”な演出。

キャラクター造形が命なイケテツ流コメディでは、そのキャラがいかに役者にハマるかが鍵になる。その演出の秘訣は「役者が通りやすい道を作ってあげること」。まずは脚本を元に演じてもらい、もし違和感があればその場でキャラを変更、脚本にフィードバックしていく。「役者は“◯◯で演じていた、あの役の感じ”ばかり求められると、テンションが上がらなくなるものなんです。だから表現・さわやかではできるだけ、あまり使ってない魅力を発掘してあげたい。得意分野と新しいことのバランスは、7:3ぐらいがちょうどいいかな、と」。
最近は、美人女優を客演に招いて、潜在的なコメディの才能を派手に花開かせる舞台が続いているが、今回はセクシー女優・及川奈央がそのターゲットに。「“及川奈央がこの舞台に出て、果たして得したのかどうか”と言われるぐらいの感じにしたい(笑)」というから、彼女の隠れた・・・というより、隠しておきたかったオモロさまもでが、イケテツの役者操縦術によって暴かれてしまうかも?!
4 仕事でなく趣味!”さわやか”な女装。

[表現・さわやか]ではあまり舞台の中心には立たず、コントの脇やラストを締めるためのアクセント的な登場・・・という役割に徹しているイケテツ。それがなぜか圧倒的に、女性の役で登場することが多いのだ! 「レギュラーメンバーで唯一の女優が、どんどんオジさんキャラになっていったので、女性役がいなくなってしまって。しょうがないので私が女装して登場したんですが、舞台を重ねるごとにクセになってしまいました(笑)」。
今回はついに、チラシの段階から女装を披露。これこそ正真正銘の苦笑モノなんだけど、実際に舞台で見ると、どんどんかわいらしく思えてくるのがイケテツの計り知れないところだ。「女装歴もいよいよ8年になりまして(笑)、自分でもメイクや演技がうまくなってきたと思います。今回の公演では最初から最後まで、女性ワンキャラクターでいくかもしれません」。TVではなかなか流れない(流せない?)姿だけに、これ目当てで観にいくってのも、それはそれでアリです。

池田鉄洋(いけだてつひろ)
1970年東京都出身。大学在学中に演劇を始め、1993年に劇団「猫のホテル」に入団し、主力俳優として活躍。2004年、同年代の劇団員らとともに「表現・さわやか」を旗揚げし、“苦笑系”の笑いで注目される。TV・映画などに出演する一方、2009年のドラマ『子育てプレイ』(MBS)では脚本・演出を担当した。
表現・さわやか「15♥0~フィフティーン・ラブ~」
作・演出:池田鉄洋
出演:佐藤真弓、いけだしん、村上航、岩本靖輝、菅原永二、池田鉄洋、伊藤明賢、佐藤貴史、及川奈央
本公演のテーマは「少女漫画の世界」。15歳の少年少女たちの、恥ずかしいほど甘酸っぱい恋愛模様を「八頭身でものすごくモテるキャラ」という設定を与えられたアラフォー俳優たちが演じるというだけで、すでにトホホな気配濃厚。仕掛け人のイケテツすら「今回は“できてねえじゃん!”というのを楽しむ作品。本当にひどい舞台になると思います」と不穏な宣言を・・・。金と時間を捨てることになるか、他にはない笑いの快楽を味わうことができるか? それはあなたの感性と、その時の役者たちのコンディション次第! ちなみに今回の内容に、テニスは一切関係ありません(笑)。
表現・さわやか 「15♥0~フィフティーン・ラブ~」
作・演出:池田鉄洋
出演:佐藤真弓、いけだしん、村上航、岩本靖輝、菅原永二、池田鉄洋、伊藤明賢、佐藤貴史、及川奈央
期間:6月16日(木)~19日(日)
会場:HEP HALL
料金:前売3,900円、当日4,200円(全席指定)
電話:080-3517-7033(猫のホテル)
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