知ってる!?大阪生まれの伝統芸能・文楽のこと。

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知ってる!?大阪生まれの伝統芸能・文楽のこと。

2021.11.5 update

vol.01

※この記事は2021年11月5日に掲載された情報です。
取材時から内容が変更している場合がございますのでご了承ください

Contents

1文楽とはどんなもの?

文楽とは、江戸時代初期の大坂で生まれた、語り・音楽・人形が一体となった人形芝居のこと。正式名を「人形浄瑠璃文楽」といいます。大阪の町民が愛したエンターテインメントで、竹本義太夫(たけもとぎだゆう)と劇作家・近松門左衛門がタッグを組んだ「竹本座」が人気を得ると、享保年間(1716-36)には全盛期に。「豊竹座」など、ほかの人形浄瑠璃の芝居小屋も競い合うように芸を発展させていきました。幕末、淡路島出身の植村文楽軒が大阪ではじめた一座が中心的な存在になると、「文楽」という呼び名が人形浄瑠璃の代名詞となりました。
世界に人形劇は数多ありますが、人々の心を揺さぶる脚本、高度な音楽性、一体の人形を三人がかりで操る表現力の豊かさは他に類を見ません。日本独自の総合芸術として評価され、2008年にはユネスコの無形文化遺産に登録されました。

太夫と三味線による浄瑠璃に合わせて人形を操る

2文楽の「三業」とは?

文楽では、物語の語り手である「太夫」、三味線を奏でる「三味線」、人形を操る「人形」の三者を「三業(さんぎょう)」と呼びます。三者がピタリと息を合わせ、互いが磨き上げた技をぶつけ合うことで、物語をよりドラマティックに展開していくのが最大の見どころ。文楽が「三業一体の芸能」といわれる所以です。

※写真右から
◉三味線/太夫の隣で三味線を演奏する人。三味線の音色や間、弦を弾く撥(ばち)の緩急で、情景説明や泣き・笑いなどの登場人物の感情を鮮やかに描写します。重厚で迫力のある音が出る「太棹三味線(ふとざおしゃみせん)」を使うのも特徴です。
◉太夫/舞台上手の「床(ゆか)」で義太夫節を語る人。すべての登場人物のセリフから、場面説明のナレーションまでをひとりで語り分けるのが特徴。マイクは使わず、情感たっぷりに語って舞台をリードします。
◉人形 /舞台上で人形を操る人。一体の人形を3人で操るのが特徴で、人形の首(かしら)と右手を「主(おも)遣い」が、左手を「左遣い」、足を「足遣い」が担当。これによって、生身の人間以上にダイナミックな動きや、繊細な心情の表現が可能になります。

3文楽の聖地は大阪に!

現在、大阪の道頓堀といえば“くいだおれ”でおなじみですが、江戸時代はNYのブロードウェイのごとく、演劇の街として有名でした。人形浄瑠璃の芝居小屋も多数立ち並び、『曽根崎心中』『仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)』などの名作が次々と誕生しました。全盛期の人気は、歌舞伎をしのぐほどだったとか……! そんな道頓堀に近い日本橋に、1984年に誕生したのが国立文楽劇場。文楽公演のホームグラウンドです。
大阪生まれの芸能とあって、文楽には大阪が舞台となっている演目がたくさん。代表的なものに、『曽根崎心中』の露天神社(つゆのてんじんしゃ)や生國魂神社(いくくにたまじんじゃ)、『夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)』の高津宮(こうづぐう)などがあります。観劇後は舞台めぐりをして、物語に想いをはせてみては?

年始に開催される初春文楽公演(はつはるぶんらくこうえん)ではお正月の飾り付けが

国立文楽劇場のHPはこちら

観劇後は史跡めぐりも!

観劇後は史跡めぐりも!

4観劇にはどんな準備が必要?

STEP1チケットを手に入れよう!

文楽のチケットを購入するには、複数の方法があります。一番便利なのは、国立劇場チケットセンターのインターネット予約(PC・スマートフォン)。ユーザー登録が必要ですが、好きな座席を自分で選ぶことができ、当日でも会場の券売機で発券するので、チケット紛失の心配もありません。ほかに、劇場のチケット売場窓口や電話受付、各プレイガイド、JR西日本の主要駅のみどりの窓口でも購入できます。

国立文楽劇場のHPはこちら

STEP2おおまかなストーリーを知ろう!

文楽作品の多くは江戸時代に生まれたもの。時代背景も言葉遣いも現代と異なるので、初めて観る人は戸惑うことも多いかも!? 観劇前にあらすじを頭に入れておくとよいでしょう。劇場の売店で販売している公演プログラムは、演目のあらすじや解説に加え、太夫のセリフが書かれた床本(ゆかほん)も付録されているので便利です。また、イヤホンガイドのレンタルもおすすめ。舞台の進行に合わせ、話の展開や演出の見どころを解説してくれます。

プログラムやイヤホンガイドは必携。
舞台上部には字幕も!

STEP3開演前には、資料展示室&売店をチェック!

文楽ビギナーにおすすめしたいのが、国立文楽劇場1階にある資料展示室。文楽の歴史にまつわる資料のほか、人形や衣裳などの舞台道具が展示されていて、舞台裏を覗いている気分で鑑賞できます。公演期間中は、演目にちなんだ特設コーナーも登場。さらに、売店チェックもお忘れなく。手ぬぐいやお菓子など、グッドデザインな文楽グッズを手に入れて!

1階の資料展示室の後は2階でおみやげのチェックも

文楽せんべいをおみやげに!

文楽せんべいをおみやげに!

文/山口紀子 写真/川隅知明 バンリ

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