05文楽女子と一緒に考えよう初めての文楽観劇のためのQ&A

文楽を劇場で観てみたい!と思っても、初めての場合はやっぱり緊張しますよね。どんな服装で行けばいいの?そもそも、物語なんて全然知らないんだけど・・・などなど、いろんなギモンが浮かんできます。そこで、観劇ビギナーの文楽女子と一緒に考えてみました、「初めての文楽観劇・Q&A!」

Q&A

Question

文楽のチケットはどこで買えるの?

Answer

文楽のチケットを購入するには、3つの方法があります。いちばん便利なのは、国立文楽劇場のインターネット予約(PC、スマホ)。ユーザー登録が必要なものの、自宅や外出先でも空席状況が確認でき、当日会場にある券売機で発券するので、紛失の心配もナシ!そのほか、国立文楽劇場にはチケット売り場がありますが、人気の公演だと購入できない可能性も。各プレイガイドでも購入できますが、公演により取り扱いが異なります。

Question

文楽鑑賞って、やっぱり着物が正装なんですか?

Answer

観劇慣れている方のなかには着物の人も多いですが、伝統芸能だからといって、特に身構える必要はありません。初めての観劇であれば、普段通りの服装で大丈夫です。ほかのお客さんに迷惑(後方の邪魔になる帽子や、席をはみだすような服装、など)をかけなければ、もちろんTシャツにジーンズでも大丈夫です。でも、せっかくの観劇なので、いつもよりちょっとオシャレして行くのも楽しいですよ。

Question

公演中は飲食してもいいんですか?

Answer

公演中、客席に座ってお食事をするのはNGです。演目の間に休憩時間がありますので(15〜30分ほど、公演によって異なります)、そのときにお食事を取るようにしましょう。国立文楽劇場内にレストランや喫茶店もありますが、多くの人がロビーでお弁当を食べています。会場のお弁当を購入してもいいですし、持参してもOKです。この休憩時間の間に、お手洗いは済ませておきましょうね。

Question

太夫さんの言葉が分からなくても平気?

Answer

公演中は舞台上部に日本語字幕が表示されます。太夫さんの語りを耳で聴くだけより、字幕があるとストーリーも分かりやすいですが、ビギナーさんにぜひオススメしたいのが「イヤホンガイド」。物語を分かりやすく説明してくれるだけでなく、技芸員さんの裏話や演出のタイミングなども教えてくれるんです。舞台の見どころを邪魔することなく、文楽観劇をぐっと盛り上げてくれます(英語版もあり)。

文楽がもっと楽しくなる「あらすじ」予習
開催中の11月文楽公演を、1分間でチェック!

今回の「文楽女子」企画にご登場いただいた豊竹咲寿太夫さん、鶴澤友之助さん、吉田簑紫郎さんらも出演する11月文楽公演。詳しい配役表はこちらで確認して、ぜひ国立文楽劇場に足を運んでみて!

『八陣守護城(はちじんしゅごのほんじょう)』

(浪花入江の段・主計之介早討の段・正清本城の段)※11月文楽公演・第1部(午前11時開演)

登場人物

加藤正清(主人公)、主計之介(息子)、雛絹(息子の妻)、ほか

あらすじ

時の権力者・北条時政と都で会談した加藤正清。そこで時政の重臣・森三左衛門と盃をかわすが、盃には時政の陰謀から毒が盛られていた。

毒入りと知りながらも盃を飲み干す森三左衛門に、正清は忠義を感じ、自らもその盃を飲み干す。そして、体調の異変を悟られぬよう、悠々と船で帰国する。

そのとき、息子の婚約者・雛絹を伴って帰国した正清は、異変に気づかれぬよう自室に籠もる。雛絹以外は妻・葉末でさえも自室に近づけなかった。

時政の命令により、正清の様子をうかがうため、次々といろんな男が見舞いに訪れてくる。夫の異変を知らない妻・葉末は、その状況に不安になる。

ちょうど、時政の使者として見舞いに訪れた息子・主計之介に、正清の安否を確かめるように頼む葉末。主計之介は父に、時政からの手紙を渡そうとする。

その手紙の内容を見抜いた正清は、「女に会いに帰ってきたか!」と一喝。主計之介は、雛絹に離縁状を渡して立ち去る。泣き沈む雛絹は、短剣をのどを突き立てる。

そこに現れた正清。「主計之介も死ぬ覚悟だろう。未来で夫婦になれ」という言葉に安堵して、息を引き取る雛絹。若い2人のために正清は祈るのだった。

『鑓の権三重帷子(やりのごんざかさねかたびら)』

(浜の宮馬場の段・浅香市之進留守宅の段・数寄屋の段・伏見京橋妻敵討の段)
近松門左衛門 作 野澤松之輔 脚色、作曲※11月文楽公演・第1部(午前11時開演)

登場人物

笹野権三(主人公)、川側伴之丞(ライバル)、浅香市之進(師匠)、おさゐ(師匠の妻)、ほか

あらすじ

鑓(やり)の名手と名高い美男子・笹野権三(ささの・ごんざ)は、茶道の師匠・市之進の不在時にひらかれる茶会で、出世のチャンスとなる役目を同門の伴之丞(ばんのじょう)と争うことに。

師匠の留守宅を訪ねた権三は、茶会で披露する一子相伝の秘伝を教えて欲しいと、師匠の妻であるおさゐに頼み込む。

権三を娘の婿に迎えたいと思ったおさゐは、結婚と引き換えに秘伝の伝授を約束。ところが、権三に約束を交わした女性がいることを知り、嫉妬にかられる。

夜、秘伝を聞きに来た権三は、おさゐと2人で部屋に籠もる。そこにやってきたのが伴之丞。伴之丞は横恋慕するおさゐを口説くと同時に、秘伝を聞きに来たのだった。

庭でおさゐと権三の様子をうかがう伴之丞。「誰か庭にいる」と気配を感じる権三に、おさゐは昼間の嫉妬心から、権三が身につけていた女の贈りものの帯を解いて、庭に投げつける。

そして、この帯を替わりに着ければ良いと、おさゐは自分の帯も庭に投げつける。庭に潜んでいた伴之丞は帯を拾い上げ、権三とおさゐは帯を解いたと2人の浮気をでっち上げる。

あらぬ疑いながら、証拠の帯を取られた権三とおさゐは、京都伏見に逃亡。しかし、追ってきた師匠・市之進に2人は討たれるのだった・・・。

『心中宵庚申(しんじゅうよいごうしん)』

(上田村の段・八百屋の段・道行思ひの短夜)
近松門左衛門 作※11月文楽公演・第2部(午後4時開演)

登場人物

八百屋半兵衛(主人公)、お千代(妻)、姑(養母)、ほか

あらすじ

武士の家に生まれるも、大坂・新靫の八百屋の養子となった半兵衛。ある日、実父の十七回忌で静岡・浜松へ行く。

半兵衛はその帰り、妻・お千代の実家に立ち寄るが、なぜかそこには妻の姿が! なんと、半兵衛の養母に離縁を言い渡され、実家へ戻されたという。

お千代の父から責められた半兵衛だったが、武士の根性を見せて自害しようとするが、思いとどまって大坂にお千代を連れて帰る。

大坂の八百屋に戻った半兵衛は、養母への遠慮からお千代を従兄弟にあずかってもらうことに。そこで密かに会うようになる。

しかし、すべてお見通しの養母。責められた半兵衛は、養母に悪名を着せないために、一度お千代を許すことを提案。その上で、自分がお千代と離縁すると約束する。

養母に許されたと思って、家に帰ってきたお千代。そこで半兵衛から言われたのは、離縁して、それから一緒に心中しようという言葉。

半兵衛は、家に戻ってきた養母の前で離縁を宣言。その後、人目を忍んで家を抜け出してお千代と合流。そして、2人の最期の場所に向かっていく・・・。

『紅葉狩(もみじがり)』

※11月文楽公演・第2部(午後4時開演)

登場人物

平維茂(主人公)、更科姫、ほか

あらすじ

紅葉が美しい季節、信州・戸隠山をひとり歩いていた平維茂は、更科姫を囲む美女たちのもみじ狩りの宴会に出くわす。

通り過ぎようとする維茂だったが、美しい更科姫に酒宴に誘われる。一度は断ったものの、しつこく引きとめる更科姫に、さすがの維茂も負けてしまう。

美女と美酒、そして、更科姫みずからのもてなしに、維茂も打ち解けてきて、ついうとうとしてしまう。

日が暮れ、寝込んでいる維茂のもとに、山神が現れる。そして、起きて危機に備えるよう警告する。

目を覚ました維茂が見たのは、鬼女と化した更科姫の姿。かつて、維茂に討たれた仲間の復讐のため、維茂に襲いかかるのだった。

秘術を使い、維茂をなき者にしようとする更科姫だったが、逆に維茂に討ち果たされてしまうのだった。