2024年はよく燃えた、奈良の「若草山焼き」に大歓声
古都・奈良に早春を告げる伝統行事『若草山焼き』が1月27日に開催され、迫力満点の炎を間近で体感しようと、「若草山麓」(奈良県奈良市)は多くの見物客で埋め尽くされた。夕方6時15分から約600発の「大花火打ち上げ」、続く一斉点火では大歓声が上がった。
「春日大社」「興福寺」「東大寺」「金峯山寺」の神仏が習合し、先人の霊魂と慰霊、奈良全体の防火と世界の人々の平和を祈る炎の祭典として、明治33年から今に続いている山焼き。例年1月の第4土曜日に開催され、約180万人もの人が楽しむ奈良県の一大行事だ。
点火は、普段火を消すことが仕事である奈良市消防団約300名によって、山麓中央の大かがり火から松明に火が移され、若草山正面に運ばれてから、延焼などが起きないよう細心の注意を払って一斉におこなわれる。
消防団の出発式では、奈良市の仲川げん市長が「今年は予想もしなかった年の始まりでした。これ以上、災いが起きないよう心静かに祈りたいと思います」と、元旦に起きた能登半島地震について言及し、祈りが捧げられた。
コロナ禍中では、一般の山麓への立ち入りができず、オンライン配信だった同行事。ようやく2023年から通常開催になったが、同年は天候不良で湿気ってしまい、残念ながらほとんど焼けなかった事情がある。
打って変わって、今年は天候に恵まれ、圧巻の力強い炎を目の当たりにできた。和歌山県から夫婦で訪れた70代男性は、「何度も見に来ているけれど、今年はよう燃えている。すばらしい!景気も山焼きのように炎上するくらいになって欲しい」と、笑顔でユーモアたっぷりに感想を語ってくれた。
家族で訪れた5歳の男の子(奈良市在住)も「来て良かった。あっちもこっちも燃えていてすごい」と大興奮の様子。多くの観覧者がスマートフォンやカメラを片手に、一年に一度しか見ることができない山全体がダイナミックに燃え上がる様子を撮影しながら楽しんだ。
取材・文・写真/いずみゆか
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