前半終えた「ブギウギ」、多視点の戦争描写について訊いた

2023.12.28 08:15

防空壕にて、赤ん坊をあやすため歌を唄うスズ子(趣里)(C)NHK

(写真2枚)

12月28日、朝の連続テレビ小説『ブギウギ』(NHK総合)年内最後の放送となる第64話が放送された。ドラマの舞台は今、昭和20年夏。ますます激しくなる戦禍と、スズ子(趣里)と愛助(水上恒司)の恋愛の高まりが混在して描かれた。

地方巡業から戻ったスズ子と小夜(富田望生)を待ち受けていたのは、焼け跡と化した東京の街。三鷹の家に走って戻ったスズ子は愛助の無事に息を吹き返すが、二度と愛助と離れたくないという思いから、もう歌の巡業はしたくないとマネージャーの山下(近藤芳正)に告げる。

しかし、防空壕のなかでパニックになる人々に向けて『アイレ可愛や』を歌い、勇気づけることができたスズ子は、愛助の「こんなときやからこそ、スズ子さんに歌(うと)てほしい」「福来スズ子の歌声は生きる糧、生きる希望になるんやから」という励ましを得て、再び歌うことを決意する。

一方、スズ子の恩師でありパートナーである羽鳥善一(草彅剛)は陸軍の報道班員として上海に渡り、文化工作の名目で、国内では敵勢音楽として禁忌されているジャズに触れ、新たなイマジネーションを得る。こうした、従来の朝ドラに類を見ない多視点の戦争描写について、制作統括の福岡利武さんに聞いた。

■ スズ子も時代の波に逆らえずに飲み込まれていく

『カーネーション』(2011年後期)をはじめ、昭和初期を舞台にした数々の朝ドラに携わってきた福岡さんは、『ブギウギ』の戦争描写について、「決して簡単な話ではないので、戦争がいいとか悪いとかについて、僕は朝ドラであまり語りたくはないんです。ただ、『事実としてそういうことがあった』ということを描いて、観ていただく方それぞれにいろんなことを感じていただければ、と思っています」と語る。

お互いの無事を確認し合う愛助(水上恒司)とスズ子(趣里)(C)NHK

また、スズ子と愛助のささやかな日常と空襲警報を混ぜこぜに配置した作劇については、「スズ子の生活感の具合の細かいレベルと言いますか、トーンと言いますか、そこはすごくデリケートなところで、とても難しいなと思いながら作りました。戦争のせいで自由に歌えなくなっていくスズ子が『こんなことして何になんねん!』みたいなことを叫ぶ、という展開に持っていくこともできたのでしょうけれど、スズ子としても時代の波には逆らえずに、飲み込まれていく。その『飲み込まれる』様をしっかりと描いたうえで、愛助に背中を押されて『歌の力でみんなが幸せになれるんだ』というところを表現したいと考えました」と、持論を展開した。

また福岡さんは、大戦末期と終戦を上海で迎える羽鳥善一について、「善一が現地で出会うブギのリズムは、今後の物語に大きく作用し、やがてスズ子の代表曲となる『東京ブギウギ』につながっていきます」と予告した。

次週、第14週「戦争とうた」は、年明け1月4日からスタート。12月29日・ 朝8時からは前編の総集編 (NHK総合・BSプレミアム4K)が、1月3日・朝8時からは 「『ブギウギ』お正月スペシャル」(NHK総合)が放送される。

取材・文/佐野華英

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