よう知らんけど日記

第55回 仁鶴さんの声は落ち着くなあ〜。

2013.8.21 18:01

7月☆日
通販のカタログが好き。洋服、雑貨、家電、食べ物問わず、写真見て説明読んで、これええなあー、これあったらここに置いて、といろいろ考えるのが楽しい。雑誌とまた違って、買ってー、買ってー、ってアピールしてくるのがええんやろな。いろんな種類のものがずらーっとあって、色違いも取りそろえられてて、自分がどれでも選べるような、無限の可能性があるような気がするんやろな。でもそれは勘違いやねんな。まず買われへんし、たとえお金がようさんあって、あれもこれも買えたとしても、服を着ていくとこには限りがあるし、使い切れへんし食べ切れへん。 実際に品物が届いたとき(ほかの可能性が消えるとき)より、見てるときのほうが楽しいのはわかりつつ、やっぱりどれ買おうかと夢見ながらページを眺めてしまう。

7月☆日
相変わらず自分のいらち加減をどうにかしたいと思う毎日。しかも内面だけいらちで、外には出されへんというのがまた困りもの。
さっきも入った店でレジに人が並んでるのにもう一人の店員が悠々とモップ掛けしてて、ちゃうちゃう、今やらなあかんのはこっちや、と言いたい気持ちでいっぱいやったのですが、入った店ですぐこういうとこが気になってしまうのは、自分が子供の頃から実家の店を手伝ってたせいもあるんやろなー。母が美容室やってるんやけども、オープン当初の小学1年の時から、夏休みとか店が忙しいときとかやけど、掃除、タオルの洗濯、ロット巻くのの補助、高校生くらいからは受付もやってた。それでつい、客として入った店でも店員目線になってしまうんよなー。お客さん待ってはる! あのテーブル片づけたいっ!! って。

ところで、自分ちの商売手伝ってる子供って、最近見いへんよね。わたしは地元が下町・商店街系やったのもあるけど、同級生が店頭におるとこによう会うたなー。トルコとベトナムに旅行に行ったとき、店番してる子供が多くて、懐かしかった。学校行かれへんと働いてるっぽい子は心配やったけど。

7月☆日
真夏に薄着でスーパーに買い物に行くと、凍死しそうになることがある。冷凍食品の棚のとこらへんとか、危険。

7月☆日
家に帰ってきたときに、エアコン消し忘れてたことに気づいたときのがっくり感、かなりのダメージ。

7月☆日
「バラエティー生活笑百科」(NHK総合)。四角い仁鶴がまーるくおさめます。仁鶴さんの声は落ち着くなあ~。若手の芸人さんが出てる番組が多いからちょっと乱暴な大阪弁を聞きなれてる人が多いと思うけど、大阪の近所のおっちゃんは案外こういうのんびりした、でもちょっと鋭いしゃべりやんな。大阪にいるときは、いかにも台本通りの漫才部分に照れを感じたけど、東京で聞くとなんかええなあと思う。
そうなんです、東京でも放送してるんですよ、「生活笑百科」。絶対関西ローカルやと思ってたのに、東京でテレビつけたらやっててびっくりしました。同じくローカルと思いきや放送してんのは「上沼恵美子のおしゃべりクッキング」(はっ、恵美子つながりや)。
「大阪ほんわかテレビ」「せやねん!」「魔法のレストラン」あたりも放送してくれたらいいのになあ。東京に引っ越してきて間もないころ、なぜか「なるトモ!」の放送が始まって、東京でなるみ見れるーと喜んでんけど一瞬で終わってしまったし……。
東京と大阪のテレビ、特に夕方と深夜の番組はかなり違う。こっちに来て8年もたつので、主に大阪で活動してる芸人さんとかはほとんどわからんようになってしまってちょっとさびしい。

7月☆日
久しぶりにマクドに入って、最近のマクド、こじゃれた内装になってますなあ、と思いながらクォーターパウンダー・チーズ食べてたら、隣のテーブルにやってきたおっちゃん(どちらかというとおじいちゃん)が、携帯電話に向かって結構な大声で話し始めた。
「42億は用意するそうなんで」「おいしい物件だから」「ウチは名前が入れば儲けになるし」「とりあえず今から3,000万」……。

鞄から住宅地図のコピーがのぞいてるので、不動産関係か。さんざん大声でしゃべって、席を立ったおっちゃんを見て気づいた。なんも頼んでない! マクドには100円のもんもいろいろあんのに、涼みにきただけかよ。何十億の話しといて、ひどい話ですわ。ケチやからお金貯まるんかもしれんけど。でも、100円ケチってまで使いたいことってなんやろ。服も持ち物も安物っぽかったし。持ってる金額が増えること自体がよろこびなんやろか。
前に同じマクド入ったときに飲み物なしでいちばん安いハンバーガーだけで勉強してる大学生や、夜にサブウェイの隅っこの席でこっそりお弁当食べてる就職活動中の大学生女子(ちゃんとサンドイッチも頼んでたよ)を見かけて、大変なんやなと実感してたので、世の理不尽を思わずにはいられませんでした。

7月☆日
いつもの英会話教室でのお話。わたしがブーツサンダルをはいていったら、同世代のアメリカ人男子が、「Ninja Shoes!」と喜んでいる。なんとなく想像つきつつも「ニンジャ・シューズって?」と聞き返すと、画像検索で見せてくれた。やっぱり。それは、地下足袋です! でもアメリカでは「Ninja Shoes」として売られてるねんて(もしかして変身機能がついてるとか?)。子供のころはショー・コスギの番組が大人気で、と言わはるので、「外国には日本に忍者おるって信じてる人がいるんやろ」と言ってみたら、「まあ、20年ぐらい前はそうやったけど、今はインターネットあって情報入ってくるから」。今は、って、じゃあやっぱり昔は信じてたんや!
子供のころは、少女マンガでも忍者ものがあったな。『伊賀野カバ丸』とか『かん忍!! 茜』とか、よう読んでた。

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柴崎友香(しばさき・ともか) 1973年大阪生まれ。映画化された『きょうのできごと』で作家デビュー。2007年に『その街の今は』で第57回芸術選推奨科学大臣新人賞、第23回織田作之助賞大賞、第24回咲くやこの花賞受賞。2010年に『寝ても覚めても』で第32回野間文芸新人賞受賞。2014年に『春の庭』で第151回芥川龍之介賞受賞。著書に『青空感傷ツアー』『フルタイムライフ』『また会う日まで』『星のしるし』『ドリーマーズ』『よそ見津々』『ビリジアン』『虹色と幸運』『わたしがいなかった街で』等多数。
公式サイト:http://shiba-to.com/

権田直博(ごんだ・なおひろ) 1981年大阪生まれ。画家。さまざまな手法を使って作品を作り、すべてを絵ととらえている。風呂からパブリックスペースまで幅広く活動中。
キレイ:https://naohirogonda.tumblr.com/
風呂ンティア:https://frontier-spiritus.blogspot.jp/

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公式サイト:http://shiba-to.com/

権田直博(ごんだ・なおひろ) 1981年大阪生まれ。画家。さまざまな手法を使って作品を作り、すべてを絵ととらえている。風呂からパブリックスペースまで幅広く活動中。
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