朝ドラ・まんぷく、製塩シーンの撮影秘話
2019.5.2 9:00

2018年10月から6カ月間放送された連続テレビ小説『まんぷく』。そのなかでも、ヒロイン夫婦が15人の若者たち(通称:塩軍団)と悪戦苦闘しながら塩作りをする泉大津編は、視聴者から人気が高かった。戦後間もない頃の製塩作業を再現した撮影について、その舞台裏が明かされた。

第32回より、赤穂の製塩業者(左・山本直匡)から塩作りの手順を教わる萬平(右・長谷川博己)と神部(瀬戸康史)画像一覧

ヒロイン福子(安藤サクラ)の夫・立花萬平(長谷川博己)が、泉大津市に引っ越して最初に立ち上げたのが「たちばな塩業」。そこでの塩作りの撮影は、昔ながらの塩作りをアレンジして挑んだという。

まず萬平が塩作りを学びに行った赤穂のシーンは、2018年7月下旬に収録。中世から近現代にかけての製塩施設を復元した体験・学習施設「赤穂市立海洋科学館・塩の国」(兵庫県赤穂市)でおこなわれ、製塩シーン全般の指導も同施設の職員が協力して、事前に大規模な準備がなされた。

第32回より、製塩業者(岡大介)から塩作りの話を聞く萬平(長谷川博己)と神部(瀬戸康史)画像一覧

「入浜(いりはま)」という、砂を利用した塩田のシーンでは、対応した職員が、「2日前に入浜全体を万鍬(まんが)で引き、沼井のなかに砂を満杯にする作業をしました。砂を浜全体から集めてくるのが大変で、浜に凹凸ができないようにし、沼井に放り込む作業は猛暑のなか大変でした」と、振りかえる。

さらに、鹹水を煮詰めて塩の花を集めるシーンも撮影。「当日、午後2時からの撮影に合わせて平釜の清掃をおこない、鹹水を定量入れ、午前10時に火を入れて焚きはじめました。撮影時に最高の状態にするためには、火加減の調整が必要。職員全員交替で見張りました。放送を見て、良い物が出来ていたので安心しました」と喜んだ。

萬平(長谷川博己)が塩軍団らと鉄板に海水を流し、鹹水を作るシーン画像一覧

2カ所目のロケ地は、7月下旬と8月下旬に「吹上浜」(兵庫県南あわじ市)で、海水を鉄板に流しながら塩分濃度を高める鹹水(かんすい)作りをおこなう塩軍団のシーンを撮影。実はその前の7月半ば、洲本市の製塩会社に塩軍団全員が訪れ、塩作り研修を体験している。

研修のためだけに簡易の鉄板が設置され、鹹水を煮詰めて塩の結晶を作るところまでをおこなった15人。彼らは、劇中と同じように全員汗だくになりながら、塩作りの過酷さや難しさを学び、その後の撮影に挑んだ。

そしてもう1カ所、その鹹水を煮詰めて塩の結晶を作り出す煎熬(せんごう)作業のシーンは、「NHK大阪放送局」のスタジオセットで8月上旬に収録。本物の鹹水をセットの釜で煮詰めたが、この煎熬作業は火加減や温度など、非常に繊細な調整が必要になるため、「塩の国」職員の廣門良信さんが指導にかけつけた。

スタジオでの撮影を支えた「塩の国」職員の廣門さんら(右)画像一覧

撮影当日、刻一刻と製塩シーンの収録時間が近づくなか、「スタジオ内での製塩は、さまざまな制約(収録時間や設備の都合など)があり、完璧に再現することは難しかった」と廣門さん。しかし、多くのスタッフの手で火加減や温度調整が繰りかえされ、ちょうどこのシーンを撮影するタイミングで鹹水が煮詰まりはじめ、無事撮影に望んだという。

こうした塩作りシーンの数々を撮影するにあたり、中心となった3人の助監督(泉並敬眞・佐原裕貴・山田陽介)は、「塩作りはとにかく根気が求められるということを、取材を通して感じました。鹹水作りも煎熬作業も同じ作業の繰り返しですし、何より暑い! 取材させていただいた方々も汗にまみれながら作ってらっしゃいました。少しでもその熱が伝われば」とコメント。

塩作りから、栄養食品「ダネイホン」作りまで、萬平・福子夫妻とともに汗だくになりながら泉大津編を駆け抜けた塩軍団。その舞台裏では、多くのスタッフや外部の協力者らも汗をかいていたようだ。

連続テレビ小説 第99作『まんぷく』

URL:https://www.nhk.or.jp/mampuku/

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