映像の美術、大阪でフィオナ・タン展
2015.12.26 13:09

大阪・中之島の「国立国際美術館」(大阪市北区)で、映像作品の大規模な個展が行われています。出品作家の名前はフィオナ・タン。彼女は中国系インドネシア人の父とオーストラリア人の母のもとにインドネシアで生まれ、オーストラリアで育ちました。その後、ヨーロッパに移り、現在はオランダのアムステルダムを拠点に活動しています。この複雑な経歴は、彼女の作品に大きな影響を与えました。

フィオナ・タン《興味深い時代を生きますように》 1997年 ヴィデオ 作家蔵 Courtesy of the artist and Frith Street Gallery,London; Wako Works of Art, Tokyo
フィオナ・タン《興味深い時代を生きますように》 1997年 ヴィデオ 作家蔵
Courtesy of the artist and Frith Street Gallery,London; Wako Works of Art, Tokyo
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例えば、初期の代表作である《興味深い時代を生きますように》(1997年)では、自分のアイデンティティを求めて世界各地の親族を訪ね、ついには一族の故郷である中国の村にまでたどり着きますが、その都度外国人である自分に気付かされます。

フィオナ・タン《ライズ・アンド・フォール》 2009年 2チャンネル・HD インスタレーション 作家蔵 Courtesy of the artist and Frith Street Gallery,London; Wako Works of Art, Tokyo
フィオナ・タン《ライズ・アンド・フォール》 2009年 2チャンネル・HD インスタレーション 作家蔵
Courtesy of the artist and Frith Street Gallery,London; Wako Works of Art, Tokyo
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また、アイデンティティの探究は、それを作り上げる記憶へと発展しました。《ライズ・アンド・フォール》(2009年)では、老若2人の女性の日常と水の流れを対比的に捉え、《ディスオリエント》(2009年)では、マルコ・ポーロの『東方見聞録』をナレーションにして、中央アジアなどのエキゾチックな品々を収めた室内と、マルコ・ポーロが訪れた場所の現在の様子などを2つの画面で見せています。

このように、出自、記憶、世界史、美術史などをテーマに静けさと余韻に満ちた世界を作り上げ、観客に考える機会を与えるのが彼女の特徴です。好奇心や探究心の強い人ほど楽しめる作品世界と言えるでしょう。

ただし、映像作品を見るのは時間がかかります。本展も全作品を制覇しようと思ったら4~5時間は覚悟しなければなりません。じっくり腰を据えて作品と向き合ってください。

取材・文/小吹隆文・美術ライター

『フィオナ・タン まなざしの詩学』

期間:2014年12月20日(土)~2015年3月22日(日)
時間:10:00~17:00(金曜~19:00、入場は閉館30分前まで)※月曜休(1/12開館、12/29~1/3・1/13休館)
会場:国立国際美術館(大阪市北区中之島4-2-55)
料金:一般900円、大学生500円(高校生以下、18歳未満、心身に障害のある方とその付添者1名は無料)
電話:06-6447-4680
※会期中に関連イベントあり、詳細は公式サイトにて

URL:http://www.nmao.go.jp/

  
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