クールジャパンを紐解く、カルチャー展
2015.8.21 12:41

ゲームは1日1時間、マンガは読んじゃだめ、と言っていた大人たちが今や、アニメ好きの外国人をクールジャパンという言葉で歓迎する時代に。一体、ここ十数年の間に何が起こったんだろう、という疑問を解決してくれそうな展示会が「兵庫県立美術館」(兵庫県神戸市)で開催されます。

「兵庫県立美術館」で開催される「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム展」
「兵庫県立美術館」で開催される「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム展」画像一覧

1989年以降の社会背景から、当時の事件や技術の進歩などと合わせてアニメやゲームを紹介する本企画展。確かに1989年は、いわゆる宮崎事件のクローズアップで”おたく”という言葉がメディアに登場した年。クールジャパンの種がパラッとまかれた瞬間でした。少年ジャンプが400万部発行されるなど、今は厳しい出版界も潤っていたそうです。40代の人にとって起点となるこの年からの展示は、とても懐かしく楽しめ、セーラームーンなど人気作品の原点が散らばっているので、若い人にもいろんな発見があるかも。

1994〜6年、ゲームの進化とエヴァの登場

で、今思えばゲームの一つの起点となるのが、プレステやセガサターンが発売された1994年で、ここでドットの平面から一気に3Dに立体化(いわゆる次世代ゲーム機の登場)。1996年にはポケットモンスターが登場し、コミュニケーションツールとして進化し始めました。この時代は阪神淡路大震災やオウム事件などで世間が不安に包まれていた年で、この気持ちに呼応するかのように1995年秋にはエヴァンゲリオンの放映が開始。結果的には今後のアニメ作品にも影響を与える年になりました。そんなこんなで、歴史背景を見れば、世界進出に貢献した作品やマニアックながらもポップカルチャーに影響を与えた作品と出合えるはず。

ちなみにゲーム業界ではポケモン年の1996年、その後に影響を与える作品が数多く登場し、美しいビジュアルだけでなく、その着眼点の面白さを当時の人たちは楽しんでいました。「夜、トイレのドアを開けるのが怖くなった」と多くの人をビビらせたバイオハザード、音楽ゲームというジャンルを開拓したパラッパラッパーもこの年です。会場内に展示されている格闘ゲームやマリオブラザーズなどからも、この25年がどれだけのものを熟成させたか理解できると思います。

国立新美術館(東京・六本木)で開催時の会場写真
国立新美術館(東京・六本木)で開催時の会場写真画像一覧

2000年〜、若者文化がシブヤからアキバに

そして2000年代はインターネットが登場して、本当にもうわけのわからない時代に。昭和時代は日陰にいた(すみません、偏見です)アニメ・ゲーム好きが、ついには世の中の中心に! 若者文化で言えばシブヤからアキバに!という背景も歴史を沿って探るとその秘密が紐解けるかも知れません。現実、今放送されているアニメのほとんどが深夜枠で、完全に大きい子どもたちのものになっていて、「作品」として小説などと同じ並びで評価されているものも多くあるようです(映画やドラマで漫画原作が多いのもその表れかもしれません)。

それが世界にどう影響を与えているのか、なぜ『クレヨンしんちゃん』がスペインで大人気なのか。疑問は尽きませんが、それを解決するヒントをつかむためにも、この展覧会でクールジャパンの基礎を勉強してみましょう。

ちなみに個人的な話で言うと、かれこれ数年前、知り合いに頼まれてイタリア人に大阪を案内した時のこと。どこに行きたいかを訊ねると「カプコン」と言うので平野町の本社前に連れていくと、予想以上に大興奮してちょっとひいてしまったことがあります。僕らで言うとピクサーやディズニーに行った感覚だそうですが、そういう意味では理解が乏しくて平野町で興奮できない僕らはかなり損をしているのかもしれません。

文/谷知之

「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム」

会場:兵庫県立美術館 ギャラリー棟3F(神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1)
期間:2015年9月19日(土)~11月23日(祝・月)
料金:一般1,000円、大学生700円、 65歳以上/高校生500円
電話:078-262-0901
URL:http://www.artm.pref.hyogo.jp/

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