海老蔵、染五郎、獅童など歌舞伎入門
2015.8.18 15:10

映像や他ジャンルの舞台にも積極的に出演し、そこで得た経験を反映した舞台を自ら企画する歌舞伎役者は、昔から少なくはない。とはいえ今年は、芸の脂が乗り始めるアラフォー世代の人気役者たちが企画する初心者向けの公演が、例年にないほどの当たり年だ。ここ最近市川團十郎や中村勘三郎などの名優たちの逝去が相次いで、歌舞伎界にピンチムードがただよっていたけど、それを一気に挽回するような好舞台ぞろい。その公演が9月以降、一気に関西で上演される。

まず中村獅童は、名作童話『あらしのよるに』を新作歌舞伎として上演。獅童自身「気ぐるみではない方法で動物を表現」と言う通り、歌舞伎では衣裳の工夫と巧みな”演技”で、役者が人外のモノに成りきるのは得意とする所。オオカミとヤギの友情という物語も、立場の異なる者同士がその違いを超えて、大きな目標に向かう・・・という歌舞伎でもよくある設定だと考えたら、意外と相性のいい題材かも?

市川海老蔵
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その獅童とタッグを組んで、「六本木歌舞伎」を大阪で上演中(前売完売・当日券あり)なのが市川海老蔵。宮藤官九郎脚本 x 三池崇史演出のこの舞台のように、歌舞伎界切っての名門出身ながらも、アナーキーなほど大胆な企画公演を多数実現しているのだ。その一方で9月の「古典への誘(いざな)い」では、古典作品を中心に上演。海老蔵の解説付きでスタンダードな歌舞伎の何たるかを知っておくと、ほかに彼が手がける舞台がいかに型破りかということを、より理解できるだろう。

『阿弖流為』
『阿弖流為』画像一覧

大阪の劇団「劇団☆新感線」の人気路線「いのうえ歌舞伎」にいち早く目をつけ、幾度もタッグを組んできた市川染五郎は、ついに同劇団の傑作『アテルイ』(今回は『阿弖流為』と改題)を、女形が女役を演じる歌舞伎公演で実現。初演時は新感線というアウェイのフィールドにも関わらず、歌舞伎役者ならではの身体性の高さとカリスマ的な存在感で、国家に反抗した悲劇の武将を見事に演じ切っていた。今回はホームである歌舞伎の舞台だけに、格段にパワーアップしたものを見せてくれるはずだ。

これらの公演以外にも、市川猿之助による歌舞伎版『ワンピース』(大阪公演は未定)や、アラサー世代になるけど中村勘九郎&七之助兄弟(『阿弖流為』にも出演)による『大阪平成中村座』など、歌舞伎初心者を強く意識した注目公演はまだまだ待機中だ。一度観てみれば、かなりの確率でハマる人が多いのが歌舞伎の底知れなさ。単に「あの役者を生で観てみたい!」というのでも、原作に興味を持って足を運ぶもよし。生きのいいアラフォー役者たちが、趣向を凝らして「どうぞどうぞ」と招いてくれているその入口に今立たずしていつ入る?

文/吉永美和子

最新歌舞伎情報

『新作歌舞伎 あらしのよるに』
出演:中村獅童、市川月乃助、尾上松也、中村梅枝、中村萬太郎
日程:2015年9月3日(木)~26日(土)
会場:京都四條 南座

六本木歌舞伎『地球投五郎宇宙荒事』
出演:市川海老蔵、中村獅童、ほか
日程:2015年8月15日(土)~23日(日)
会場:オリックス劇場

『古典への誘(いざな)い』
出演:市川海老蔵、片岡市蔵、市川九團次、大谷廣松
日程:2015年9月5日(土)/・6日(日)
会場:びわ湖ホール 大ホール/神戸国際会館こくさいホール

歌舞伎NEXT『阿弖流為(アテルイ)』
出演:市川染五郎、中村勘九郎、中村七之助、ほか
日程:2015年10月3日(土)~17日(土)
会場:大阪松竹座

『大阪平成中村座』
出演:中村扇雀、中村勘九郎、中村七之助、ほか
日程:2015年10月25日(日)~11月26日(木)
会場:大阪城西の丸庭園内 特設劇場

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