内視鏡カメラで撮影、驚きの昆虫映画
2015.7.10 16:30

独自開発した特殊カメラで、昆虫の日常にせまった映画『アリのままでいたい』。7月11日に公開が迫るなか、撮影総監督を務めた栗林慧さんに3年にもおよぶ撮影への思いをうかがった。

「まずお願いしたいのは、”3Dで見て!”ってこと」。と、にこやかながらも熱っぽく切り出した栗林監督。「最初から3Dを意識した企画だから、昆虫の世界に居るような感覚を体験して欲しいんだ」。そのために監督自ら開発したのが「アリの目カメラ」。昆虫に警戒されずに近づくには、これまでにない極小のカメラが必要だったという。そして、行き着いたのがドイツのカールストルツ社が医療用に開発した内視鏡。カメラ本体の先端からググッと伸びる細いレンズのフォルムはちょっと異様だ。「オフシーズンは、だいたいカメラの改造に費やしたね」と、専用レールも製作。ほかにも、被写体に合わせて何種ものカメラを開発したという。

栗林監督が手に持っているのが、通称"アリの目カメラ"だ!
栗林監督が手に持っているのが、通称”アリの目カメラ”だ!画像一覧

「写真家として50年やってきたけれど、スチールとムービーの最大の違いは、”説明が要らない”ということかな。見れば一目瞭然で理解できるというのがいい。ハイスピードカメラで、人間の目には見えない細かい動きを捉えられたことにもワクワクしたね」。確かに、放尿や産卵、補食の瞬間、飛び立つ時の手足や羽根の動きなど、普段目にすることのない(できない)昆虫たちの姿は、どれも驚きに満ちている。

この作品は長崎県の里山で撮影されたが、監督は日本の日常に土や自然が無くなってしまったことをとても憂えているんだとか。「僕たちの時代は、虫と遊ぶのが当たり前だった。捕まえたら、あれこれ触って遊ぶでしょう。そうしたら、足が取れてしまったり、死んでしまったりするんだけど、そこで罪の意識を感じたり、後悔したりして、命の大切さを学んだ。それは子どもが成長する上で必ず必要な経験だと思うんだ」。加えて、「もし虫がいなかったら花は咲かなくなるし、果物も穫れなくなる。そういった人間の営みの根幹にも”虫”の存在は不可欠だしね」と静かに語った。

「アリの目カメラ」で撮影したカブトムシとクワガタの格闘シーン
「アリの目カメラ」で撮影したカブトムシとクワガタの格闘シーン画像一覧

そんな監督にベストシーンを聞いてみると、「どれも捨てがたいけど、カブトムシとクワガタの王者対決、ツバキスギゾウムシが長い口を使って椿の実に穴を開けて産卵するシーン、200匹のカマキリが卵から生まれる瞬間は、特に思い入れがあるね」。秋篠宮ご一家もご鑑賞され、「珍しいシーンがたくさん見られて楽しかった!」とのお言葉をいただいたとか。DAIGO、吉田羊、杉咲花らの情感豊かなナレーションや、さらにはアニメーションも加わり、世代を問わず楽しめる仕上がり。夏休みの自由研究も兼ねて、家族で行くのもオススメです。

取材・写真・文/hime

映画『アリのままでいたい』

2015年7月11日(土)公開
監督:鴨下潔
撮影総監督:栗林慧
主題歌:福山雅治「蜜柑色の夏休み 2015」(アミューズ/ユニバーサルJ)
出演(声):DAIGO、吉田羊、杉咲花、ほか
配給:東映
1時間20分
梅田ブルク7ほかで上映
© 2015「アリのままでいたい」製作委員会
URL:http://www.ari-no-mama.com/

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