解釈が更新?画期的な現代美術作家展
2015.4.10 16:10

1960年代から90年代にかけて活躍した、日本を代表する現代美術作家のひとり、高松次郎(1936~1998)。彼の制作の軌跡を約450点もの作品で辿る大回顧展が、大阪の「国立国際美術館」(大阪市北区)で行われています。

《影》 1977年 アクリル、カンヴァス 国立国際美術館蔵 掲載図版はすべて ©The Estate of Jiro Takamatsu,Courtesy of Yumiko Chiba Associates
《影》 1977年 アクリル、カンヴァス
国立国際美術館蔵 掲載図版はすべて ©The Estate of Jiro Takamatsu,Courtesy of Yumiko Chiba Associates
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高松さんの作品といえば、《影》のシリーズが有名です。人間や物体などの影を描くことで「存在」と「不在」を表現した絵画作品です。また《遠近法》と題したシリーズでは、極端なパースを付けた空間に、人間、球体、机、椅子などを配した立体と絵画を制作しました。ほかには、緩んだネットや布で空間を切り取った作品、言葉による作品などがあり、晩年の《形》と題した絵画シリーズでは、カラフルな色彩と有機的なフォルムの組み合わせから無数のバリエーションを生み出しました。

《遠近法》シリーズの展示風景
《遠近法》シリーズの展示風景画像一覧

本展では、絵画・立体・版画約90点、ドローイング約280点、書籍・雑誌・絵本約40点、記録写真約40点を年代順に展示して、彼の制作活動の推移を明らかにしています。また、完成作品とドローイングを並置することにより、作品ができあがるまでの思考過程に踏み込んでいるのも大きな特徴です。

実は、高松さんは生前にドローイングを公開しておらず、2009年に全ドローイング作品を収めたカタログレゾネが出版されるまで、研究者でさえその存在を詳しく知りませんでした。本展は、そのドローイングに着目した点で画期的と言えます。今後、ドローイングの調査が進むにつれ、作品の解釈が更新されることもあるでしょう。本展はその端緒、あるいは土台となるものであり、後年になればなるほど価値を増す展覧会なのです。

取材・文・写真/小吹隆文(美術ライター)

『高松次郎 制作の軌跡』

期間:2015年4月7日(火)~7月5日(日)
時間:10:00~17:00(金曜~19:00) ※入場は閉館30分前まで、月曜休(5/4開館)
会場:国立国際美術館(大阪市北区中之島4-2-55)
料金:一般900円、大学生500円、高校生以下・18歳未満、心身に障がいのある方とその介護者1名無料(要証明)
電話:06-6447-4680
※会期中に関連イベントあり、詳細は公式サイトにて
URL:http://www.nmao.go.jp/

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