小吹隆文撰・週末アート、8/31〜

2016.8.31 21:00
(写真3枚)

「とにかく誰よりも現場を見て歩く」を信条に、美術ライター・小吹隆文が膨大なアートの海から、いま必見の展覧会をピックアップ! 今週は、地域に密着して街並みの魅力とともに発信する、各地で開催のエリアアートを紹介。

 

ここでしか見られない型破りイベント
『 Open Storage 2016−見せる収蔵庫−』
@MASK(MEGA ART STORAGE KITAKAGAYA)ほか

大阪市のベイエリア、住之江区北加賀屋の元工場・倉庫を活用したアートプロジェクトとして、2014年から始まった「Open Storage」。3回目となる今回は2会場に規模を拡大して、美術展と演劇公演、作品鑑賞ツアーが行われます。

やなぎみわ《『日輪の翼』上演のための移動舞台車》撮影/木村三晴
やなぎみわ《『日輪の翼』上演のための移動舞台車》撮影/木村三晴

まず、「MASK[MEGA ART STORAGE KITAKAGAYA]」で行われる美術展では、ヤノベケンジ、名和晃平、金氏徹平、久保田弘成、宇治野宗輝が、美術館でもなかなか見られない巨大スケールの作品展を開催。そして「名村造船所跡地 クリエイティブセンター大阪」では、メインアーティストのやなぎみわが、トレーラーを改造した移動舞台車で中上健次原作『日輪の翼』を上演します。カタルシスに満ちたアート体験をお望みの方は見逃し厳禁です。

2016年9月2日(金)〜19日(祝・月)の金・土・日曜・祝日
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秋の奈良で極上のアートと舞台を満喫
『古都祝奈良』
@東大寺、春日大社ほか

古都奈良を舞台に、美術展と舞台公演などから成る巨大なアートの祭典が行われます。「古都祝奈良(ことほぐなら)」と題されたこのイベントでは、東大寺や興福寺など奈良を代表する8つの社寺で、蔡國強や川俣正など国際的に活躍する8組のアーティストが作品を展示。

東大寺 蔡國強 “船をつくる”プロジェクト
東大寺 蔡國強 “船をつくる”プロジェクト

古い街並みが残るならまちでは、宮永愛子や西尾美也など気鋭の日本人作家6組が町家などで地域の伝承や歴史を掘り起こす作品を展開します。また、平城宮跡ではSPAC(静岡県舞台芸術センター)と維新派の野外舞台公演が行われ、なら100年会館大ホールで万葉オペラ『遣唐使物語』の上演も。風情豊かな奈良の名所を散策しながら極上のアートと舞台を体験できる、またとない機会の到来です。

2016年9月3日(土)〜10月23日(日)
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真田幸村ゆかりの地で行われる芸術祭
『くどやま芸術祭』
@和歌山県九度山町の世界遺産、まちなか各所(南海高野線九度山駅周辺)

関ケ原の合戦の後、真田昌幸・幸村父子が配流された和歌山県九度山町。大河ドラマ『真田丸』もいよいよ佳境となり、注目が集まるこの地で、現代アートの芸術祭が行われます。

大西高志《六文銭の覚悟》
大西高志《六文銭の覚悟》

会場となるのは南海電車九度山駅の北西に広がる真田庵を中心とする「まちなかエリア」と弘法大師・空海ゆかりの寺社がある「世界遺産エリア」。駅から道なりに歩いていくと、古民家や商店などに作品が展示されており、大西高志、高村総二郎、亀井潤、谷口和正、池原悠太など22組の招待作家による展示が見られます。また、初日には紀州九度山真田鉄砲隊招待作家によるライブペイントなどのステージショーが行われるほか、週末を中心に関連イベントも多数予定。会場周辺には「真田ミュージアム」もあり、アートと歴史と世界遺産を一挙に楽しめるのも魅力です。

2016年9月3日(土)〜10月2日(日)
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