キャッツ舞台、都会のゴミ捨て場完成

2016.6.28 12:00

1階下手側の壁には大きなギターも見える

(写真3枚)

13年ぶりに大阪で上演される劇団四季のミュージカル『キャッツ』が、7月16日の開幕を前に11月末までのチケットがほぼ完売という勢いを見せている。その人気を支える理由のひとつである、造りこんだ舞台「キャッツ・シアター」が6月27日、報道陣に公開された。

2階客席まで都会のゴミ捨て場と化した会場の「大阪四季劇場」(大阪市中北区)は、壁や床に無数のゴミのオブジェが飾られ、まるで絵画の中に入り込んだような世界。1階前方やサイドの客席の一部、舞台の額縁にあたるプロセニアムまでも撤去した空間は、広々としていながら一体感が感じられる。舞台監督・福永泰晴さんが、「11トントラックで59台分もの大道具を、1日最大100名以上で仕込んだ」というほど大規模な設営が行われ、猫たちがあらゆるところから登場し、客席も走り抜ける体感型ミュージカルの準備は万端だ。

たこ焼き器など、探すのが楽しいご当地ゴミ
たこ焼き器など、探すのが楽しいご当地ゴミ

舞台美術家の土屋茂昭さんは、「猫の目から見たゴミということで、3倍(の大きさ)を基準に造っています。ご当地ゴミは15点ぐらい。どこに何があるかはぜひ劇場で探して下さい」と話す。串カツだるまのパッケージ、阪神タイガースのマグカップなど大阪名物のゴミをはじめ、ファミリーコンピュータなど時代を感じさせるものも。「劇中の『メモリー』の歌詞にもありますが、観客の皆さんがモノから思い出を辿っていくことで、作品のテーマでもある永遠の命につながります。ゴミ捨て場が舞台というのは、物語にとって必然なんだと意識している」という。

絵本を切り取ったような空間。上から見下ろすと舞台の床の上に虎が描かれているのが分かる。その意味とは・・・、などと考えるのも楽しみのひとつ
絵本を切り取ったような空間。上から見下ろすと舞台の床の上に虎が描かれているのが分かる。その意味とは・・・、などと考えるのも楽しみのひとつ

33年前の日本初演時は、客席に大きなゴミはなくもっとシンプルだったという。そこから公演地ごとにオブジェも進化し、毎回その劇場でしか見られない舞台が、美術作品として完成する。「空間自体が秘めた力を持っている作品だと思います。舞台美術家としては2階がおすすめ。色んな発見がありますよ」と土屋さん。上から見下ろすと舞台の床の上に虎が描かれているのが分かる。その意味とは・・・、などと考えるのも楽しみのひとつ。若手キャストを中心にリハーサル真っ只中の『キャッツ』。間もなくこの劇場に新たな「命」が吹き込まれる。12月1日以降の公演チケットは、7月3日より発売開始。

取材・文・写真/小野寺亜紀

劇団四季ミュージカル『キャッツ』

曲:アンドリュー・ロイド=ウェバー
詞:T・S・エリオット「Old Possum's Book of Practical Cats」より

日程:2016年7月16日(土)〜ロングラン公演
会場:大阪四季劇場(大阪市北区梅田2-2-22 ハービスPLAZA ENT 7F)
電話:06-4796-6600(劇団四季 関西オフィス)
料金:S席10,800円、A席8,640円、ほか
※2016年12月1日(木)~2017年3月31日(金)公演分 7月3日(日)前売発売

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