映画「暗殺教室」大ヒットの秘密に迫る

2016.3.24 21:00

映画『暗殺教室-卒業編-』の謎多きキャラクター、殺せんせー © 2016 フジテレビジョン 集英社 ジェイ・ストーム 東宝 ROBOT © 松井優征/集英社

(写真4枚)

「映画は商品」である事実と、漫画原作モノで重要なこと

2014年末から2015年にかけて劇場公開された漫画原作の実写映画のなかで、興行収入25億円を突破したのは『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』(32.5億円)と『映画 暗殺教室』(27.7億円)のわずか2本だけ。昨今の日本映画のヒット条件のひとつが「漫画原作モノ」であることは明白だが、それでもここ数年、興行収入「25億円超え」が邦洋合わせて上位約20本しかクリアできていないことを考えると、漫画原作モノであってもかなりハードルが高い。

その点で『映画 暗殺教室』は、発行部数2100万部という人気原作を実写映画化し、きっちりとその数字を稼ぎ出した、まさに大ヒット作と言える。2016年3月25日には、続編となる『暗殺教室〜卒業編〜』が全国公開され、さらに高い興収が期待されている。そんな本作でもメガホンをとったのが、羽住英一郎監督である。

羽住監督は、『THE LAST MESSAGE 海猿』(80.4億円)に代表される海猿シリーズを手がけてきたヒットメーカー。現在までに漫画原作の実写化を数多く手掛けてきた羽住監督、「オリジナルストーリーよりも漫画原作ものの方が、(映画化の)企画が通りやすい。原作が売れていればいるほど、企画書を出すときにも理解してもらえる。大手のメジャー映画で漫画原作ものが多いのは、それがシンプルな理由のひとつです」と、日本における映画製作・配給の現状をまず語る。

「映画は商品、パッケージ作りをやらないと」と語る羽住英一郎監督
「映画は商品、パッケージ作りをやらないと」と語る羽住英一郎監督

アート系で作家性の強い映画は、もちろん見応えがある。しかし映画は、売れるか売れないかの世界でもある。商業系大作が映画ビジネスとして産業体系を構築しているからこそ、アート系作品もそのラインにのることができるのだ。羽住監督は作家性のある映画もちゃんと認めた上で、「映画は商品ですから、ちゃんと売るための『パッケージ作り』をやっていかなければなりません」と話す。特に重要になるのが、キャスティングだ。

羽住英一郎(はすみ・えいいちろう)
1967年3月29日生まれ、千葉県出身。ロボット所属。日本大学芸術学部映画学科卒業。『踊る大捜査線』シリーズのチーフ助監督を務めた後(連続ドラマから劇場版第1作まで)、劇場版第2作ではセカンドユニット監督を担当。映画初監督作は、2004年の『海猿 ウミザル』。以降、ヒットメーカーとして業界から注目を集める。手掛けたテレビドラマに、『海猿 UMIZARU EVOLUTION』(2005年)、『ダブルフェイス』(2012年)、『MOZU』(2014年)など。主な映画作品に、『海猿』シリーズ、『おっぱいバレー』(2009年)、『劇場版 MOZU』(2015年)などがある。

映画『暗殺教室〜卒業編〜』
2016年3月25日(金)公開
監督:羽住英一郎
出演:山田涼介、二宮和也、菅田将暉、ほか
配給:東宝

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