小吹隆文撰・週末おでかけアート、3/2〜

2016.3.2 22:19

1日限りの企画展に参加する7名のアーティスト

(写真3枚)

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「とにかく誰よりも現場を見て歩く」を信条に、美術ライター・小吹隆文が膨大なアートの海から、いま必見の展覧会をピックアップ! 今週は、1日だけの音と映像のインスタレーションや、印象派のモネ、現代版画を紹介します。

ジャンルの概念を超えた超レア企画
『美術と音楽の一日 rooms』
@芦屋市立美術博物館

美術と音楽をテーマにした1日限りの企画が芦屋市立美術博物館で行われます。

参加作家は、サウンドアーティストの藤本由紀夫、映像作家の林勇気と音楽家の米子匡司、サウンドインスタレーションの原摩利彦、ミュージシャンのharuka nakamura、西森千明、Polar M、そして、美術家の村上三郎による紙破りパフォーマンスの記録映像や、作曲家・演奏家の小杉武久の作品も展示されます。この企画が独特なのは、視覚・聴覚といった感覚の区分にとらわれない体験を目指していることです。また、音楽と美術をタイムラインに沿って展開させることで、時間と共に変化する作品を鑑賞するという、普段の美術館とは異なる過ごし方ができるのも興味深いところです。

2016年3月5日(土) 13:00〜19:00
展覧会情報はこちら

 

これぞ究極のプライベート・コレクション
「マルモッタン・モネ美術館所蔵 モネ展 『印象・日の出』から『睡蓮』まで」
@京都市美術館

フランス印象派を代表する画家として絶大な人気を誇るクロード・モネ(1840〜1926)。彼のプライベート・コレクション約90点を紹介しているのが本展です。

クロード・モネ《印象、日の出》1872年  Musée Marmottan Monet, Paris ©Christian Baraja  展示期間 2016年3月1日〜21日
クロード・モネ《印象、日の出》1872年 
Musée Marmottan Monet, Paris ©Christian Baraja 
展示期間 2016年3月1日〜21日

作品は、10代後半に描いたカリカチュア(風刺画)、妻と子供を描いた作品、友人ルノワールによるモネ夫妻の肖像、旅先で描いた風景画、晩年の「睡蓮」や「日本の橋」の連作など。これらはモネが86歳で亡くなるまで手元に置いていた作品で、彼の没後に息子のミシェルが相続した後、マルモッタン美術館に遺贈されました(ちなみに同館は、これを機にマルモッタン・モネ美術館に改称されています)。また同展では、印象派という呼称の由来となった名画《印象、日の出》が期間限定で出品されているのも見どころです。

2016年3月1日(火)〜5月8日(日)
展覧会情報はこちら

 

多様化する版画表現の最先端がここに
『PAT in Kyoto 第2回 京都版画トリエンナーレ2016』
@京都市美術館

2013年に第1回が行われ、そのクオリティの高さから美術関係者の間で高い評価を受けた「京都版画トリエンナーレ」。

小野耕石《Hundred Layers of Colors》 はらシルクスクリーン 油性インク、紙 245×1090cm 2014年 撮影 青地大輔
小野耕石《Hundred Layers of Colors》 はらシルクスクリーン 油性インク、紙
245×1090cm 2014年 撮影 青地大輔

この美術イベントでは、豊富な経験と審美眼を持つコミッショナーが作家を推薦する形式を取っています。また、シリーズ作品やインスタレーション(空間構成)的な展示にも対応できるよう一作家辺りの空間を十分に取っており、その結果レベルの高い展示が実現しているのです。今回の出展作家は、小野耕石、金光男、小出麻代、林勇気、山下拓也など、1980年代生まれを中心とする20名。なかには「これって版画なの?」と驚かされる作品もありそうですが、それ自体が現代の多様化する版画シーンを象徴していると言えるでしょう。

3月6日(日)〜4月1日(金)
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