「人間」を表現した現代アート、大阪で

2016.1.18 16:06

第1章「日常の悲惨」冒頭部分の会場風景

(写真4枚)

展覧会タイトルの「エッケ・ホモ(この人を見よ)」とは、磔刑を前にしたキリストを侮辱する民衆に向けて、総督ピラトが発した有名な言葉です。この言葉をタイトルに掲げた本展は、国立国際美術館で開催されており、第2次大戦後の現代美術が人間をどのように表現してきたかを、約100点の作品でたどります。

展覧会は3章構成です。第1章「日常の悲惨」の冒頭は、鶴岡政男、山下菊二、中村宏など昭和20年代から30年代前半の作品が異彩を放っています。それらは、戦争と敗戦により過去の常識がひっくり返ってしまった社会の中で、抑圧され、もがく人間の姿を描いたものです。

第2章「肉体のリアル」より、小谷元彦《Terminal Impact》2014年
第2章「肉体のリアル」より、小谷元彦《Terminal Impact》2014年 ©Motohiko ODANI

第2章「肉体のリアル」では、両足義足の女性が登場する小谷元彦の映像インスタレーションや、自身の整形手術パフォーマンスを記録したオルランの写真など、強烈なインパクトを放つ作品が連続します。価値観の多様化やテクノロジーの進化により、あるべき人間像が揺らいでいる今、これらの表現は切実さをもって観客に迫るでしょう。

第3章「不在の肖像」会場風景
第3章「不在の肖像」会場風景

第3章「不在の肖像」では、ジョージ・シーガル、アルベルト・ジャコメッティ、内藤礼、オノデラユキなどの作品が見られます。「不在」という言葉から、どこか寂しい、虚無的な印象を受けるかもしれません。しかし最後に登場するヨーゼフ・ボイスと島袋通浩の作品からは、逆境を超えて湧き上がる人間肯定のメッセージが感じられ、救われた気持ちになりました。

第3章「不在の肖像」より、ヨーゼフ・ボイス、アルベルト・ジャコメッティ、島袋通浩の展示風景
第3章「不在の肖像」より、ヨーゼフ・ボイス、アルベルト・ジャコメッティ、島袋通浩の展示風景

このようにハードな作品が多い本展ですが、「人間」というテーマは普遍的なので、身構える必要はありません。理屈っぽく考えるのではなく、自分の記憶や経験に引き寄せて鑑賞すれば、きっと深い感動が得られるはずです。

※会期中に関連イベントあり。詳しくは公式サイトにて

写真・文/小吹隆文(美術ライター)

『エッケ・ホモ 現代の人間像を見よ』

期間:2016年1月16日(土)〜3月21日(祝・月) 月曜休 ※3/21は開館
時間:10:00〜17:00(金曜〜19:00)※入場は閉館30分前まで  
会場:国立国際美術館(大阪市北区中之島4-2-55)
料金:一般900円、大学生500円、高校生以下・18歳未満・心身に障害のある方とその付添者1名無料(要証明)
電話:06-6447-4680(代表)

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