中村勘九郎「死んでいるとすぐ伝わる」

2015.7.31 15:25

熱く語る中村勘九郎

(写真2枚)

江戸時代の芝居小屋を模した仮設劇場で、様々な歌舞伎を上演する「平成中村座」。人気役者だった故・中村勘三郎が立ち上げたこの催しを、今年になって息子の中村勘九郎&七之助兄弟が父の遺志を継いで復活させた。この秋には、5年ぶりに大阪に帰ってくる! ということで、勘九郎が大阪で記者会見を行った。

「父は”自分は大阪に育てられた”と言ってましたし、(4月に)東京でやって、その年のうちに大阪に戻ってこられるのが幸せです」と勘九郎。今回は会場が大阪城内なのに加え、大阪夏の陣400年記念ということで、豊臣秀吉に縁のある2作品を上演。しかもその両方で、勘九郎が秀吉役を勤める。「(昼の部の『三升猿曲舞』で)僕は初めて此下兵吉(秀吉がモデル)をやります。秀吉は父がドラマで演じたこともあって、子どもの頃から大好きだったので、昼夜ともやれるのがうれしいです」

まるで江戸時代の芝居小屋に迷い込んだような、テーマパーク的な雰囲気も魅力の中村座。しかし一方で、役者にとっては非常に怖い場所でもある。「少しでもここ(胸を叩く)が死んでいると、すぐ(客席に)伝わっちゃう。お客様がほかの劇場とは違うテンションになっているので、そのテンションの倍で行かないといけないから疲れるけど、やはり楽しいですね」

中村勘九郎
中村勘九郎

「今回は平安、戦国、江戸といろんな時代の話をやりますし、より異次元の世界に迷いこんだ気分になっていただけたらと思います」と、舞台機構を柔軟に使える仮設劇場+地の利を活かして、大阪城を借景にした壮観な演出を昼・夜公演ともに盛り込んだそう。舞台上も客席も、江戸時代の歌舞伎の熱気を丸ごと再現するような空間は、特に歌舞伎を観たことがない人にとっては最高の初体験となるはずだ。

取材・文・写真/吉永美和子

大坂の陣400年記念 大阪平成中村座

演目:(昼の部)『女暫』『三升猿曲舞』『狐狸狐狸ばなし』/(夜の部)『俊寛』『盲目物語』
出演:中村扇雀、中村勘九郎、中村七之助、片岡亀蔵、坂東彌十郎、中村橋之助、ほか

日程:2015年10月25日(日)~11月26日(木)・時間は日により異なる
会場:大阪城西の丸庭園内 特設劇場
料金:松・竹席15,000円、梅席12,000円、桜席11,000円、お大尽席36,000円(全席指定)

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