東出昌大の初舞台「羨ましがられる」

2015.4.20 17:49

舞台に初挑戦の東出昌大

(写真2枚)

若手俳優・東出昌大が、5月に行われる舞台に初挑戦する。演じるのは、世界的に著名な英国の作家、カズオ・イシグロの短編集を原作とした『夜想曲集』。気鋭の小川絵梨子が演出を担うことでも話題の今作。初舞台を控える東出に話を聞いた。

「(舞台は)以前からやりたいとは思っていたんです。役者になってから舞台を観る機会も増えて、舞台の上という明らかに嘘だとわかる設定のなかで、いかにリアリティを見せるかとか、映像とはまた別の奥深さを追求したいなと思うようになっていました。」という東出。

ただ、舞台の脚本が映像に比べてあまりにもト書きが少ないことに戸惑っているという。「人から、舞台をやると自由に動けるようになると聞くんです。それはたぶん、何回も同じ芝居を稽古していくことで、ト書きにはない部分を自分でいろいろ想像して動いていくからだろうなと思うんですね。だから演技に説得力も生まれるんじゃないかなと。」

原作はベネチアなどの外国を舞台にした話。翻訳劇に多く取り組んでいる小川の演出には何を期待しているのだろう。「同業の友人からも、小川さんと一緒に仕事することを羨ましがられているんです(笑)。演劇のプロの方だからこそできる解釈もプラスしてくださると思いますし。稽古は本当に楽しみです。回数を重ねると新鮮さが失われるとも聞きますが、自分にはやっぱり準備が必要だなと最近とみに感じていて。それこそ大事なところで台詞を噛んで台無しにしちゃうっていう(笑)、ライブならではの怖さも、練習して叩き込めば何とかなるんじゃないかな。」

人生の晩年を迎えた夫婦の愛情が描かれるなど、細やかな機微を表現することが求められる今回の舞台。難しい作品では?という問いに、「はい、難しいと思います(笑)。たとえば”愛”というテーマひとつをとっても、感情をストレートにぶつけることをしないので。その言葉の裏側にある想いをちゃんと読み取って表現しないと、伝わらないと思うんですね。でも、そこがこの作品のよさだと思うんです。答えが言葉で書かれてないところが、本当にいいんです。」

モデルから転身した際、Lmaga.jpのインタビューでは「この仕事だ!って決めたなら、諦めないで最後までやろう」という想いを語っていた東出。「いろいろお仕事をさせていただいて、新人賞もいただきました。でも、先はまだまだあるので。謙虚にがむしゃらに、やり続けていくしかないなと思っています。お芝居っていうものに、もっと貪欲にのめり込んで。そして、観てよかったと思っていただける役者に。とくに舞台は、高いチケット代を払っていただいて、わざわざ劇場まで足を運んで観ていただくんですから、緊張感を持って臨まないといけないなと思っています」

取材・文/大内弓子 写真/鈴木かずなり

人生の晩年を迎えた夫婦の愛情
人生の晩年を迎えた夫婦の愛情

『夜想曲集』

原作:カズオ・イシグロ『Nocturnes』
脚本:長田育恵
演出:小川絵梨子
音楽:阿部海太郎
出演:東出昌大、安田成美、近藤芳正、渚あき、入来茉里、長谷川寧、中嶋しゅう、ほか

日時:5月30日(土)・31日(日)
会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
料金:9,500円(全席指定)※当日券あり
※未就学児童入場不可
電話:06-6377-3888(梅田芸術劇場)

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